Article Title
悩めるハイテク企業:タクティカルなリバウンドを期待
2022/05/12

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

米国ハイテク株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めが加速するとの見方から、長期金利が大幅に上昇したことや、中国の新型コロナウイルス対策の都市封鎖(ロックダウン)により、世界経済の減速懸念が高まったことなどを受けて、下落しました。ただ、このような株式市場の動きは、短期的に売られすぎていると思われる優良銘柄に、タクティカルな投資機会をもたらす可能性があります。



Article Body Text

年明け以降、リスク資産を取り巻く環境は急激に悪化し、株価変動も市場環境がさらに悪化する可能性を示唆するものが多くなっています。注目すべきポイントは:先行指標によると、経済面では、製造業の活動は引き続き停滞しており、歴史的にも逆イールドカーブはリセッション入り前に発生していることが観測されます。

ハイテク株安(過去数十年にわたり米国株式市場をリードしてきた同セクター全体のパフォーマンスの低下)は、依然として投資資金の流出が止まらず、その一方で、エネルギー株へ投資資金が流入しているものの、中期的に株式市場を押し支えるには不十分な可能性があります。

ハイテク企業の第1四半期決算が予想を大きく上回ったにもかかわらず、投資家は依然として株式市場の見通しに対して不安を感じています。

先週水曜日の連邦公開市場委員会(FOMC)の「ハト派的な金利の引き上げ」は、当日の株式市場を上昇させることができましたが、再び勢いが衰え、S&P500指数は年初来安値を更新しました。

以下の図1は、ナスダック100の銘柄のうち、52週高値から20%以上下落した銘柄の割合を示しています。この指標から、60%を超える銘柄が20%以上下落していることが分かります。また、このような下落が広範囲に拡大しており、今や半数を超える銘柄に及んでいることを示しています。このような無差別的な売りは、短期的に売られすぎていると思われる優良銘柄に、タクティカルな投資機会をもたらす可能性があります。

ここ数日のボラティリティの高さと流動性の低さ、それに加えてドル高は、長期投資家の投資を促すような要因でないことは明らかです。長期投資家は少なくとも第2四半期末まで、当面静観する姿勢を維持すると考えます。しかしながら、よりタクティカルな投資家にとっては、足元のテクノロジー株への無差別な売りは、優良銘柄への投資機会を生み出すと考えています。

図1:ナスダック100-52週目の高値から20%以上下落した銘柄の割合(%)

出所:Fectset, Pictet Trading Strategy 2022年5月9日時点

短期的に、ナスダック100 は売られ過ぎであり、リリーフ・ラリーを引き起こす可能性があります。ただ、長期的に、投資家のセンチメントは依然として非常に悲観的です。再び強気相場に回復するためには、長期投資家の投資を促す確固たるカタリストが必要です。現状、企業の堅調な業績、予想ほどタカ派的でないFRB、堅調な労働市場を表す雇用統計だけでは、十分な安心感を投資家に与えられていません。次の焦点は5月11日に発表される予定である米国の4月の消費者物価指数(CPI)ですが、ここでインフレ減速を示唆する材料が現れれば、重要なカタリストの一つとなる可能性があります。


●当資料はピクテ・グループの海外拠点からの情報提供に基づき、ピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集し、作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら




関連記事


中国債券市場の振り返りと見通し(2024年3月)

新興国社債市場の振り返りと見通し(2024年3月)

新しい産業革命

2024年3月の新興国株式市場と今後の見通し

人工知能(AI)はあなたの仕事を奪うか?

代替タンパク質業界の新たなプレイヤー