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米国のバイオテクノロジー株と中国のハイテク株に投資機会を見出す
2022/06/08

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概要

米国株式市場が反発する中、米国のバイオテクノロジー株と中国のハイテク株の投資機会についてテクニカル分析で説明します。



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7週連続の下落の後のリバウンド

株式市場では売りが続いていましたが、水面下では何かが変化していたようです。特に注目すべきは、投機的だとみられている銘柄(IPOや利益が出ていない情報技術関連の銘柄など)の一部が最近になってアウトパフォームし始めたことで、これは、ショート投資家(空売り投資家)がポジションを減らしたか、底値狙いの投資家が弱気な環境の中で買い始めたかのどちらか、もしくはその両方、であることを示唆しています。

株式市場の7週連続の下落と極端に弱気なセンチメント指標は、株式市場のリバウンドのための素地を作ったと言わざるを得ず、また5月25日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な姿勢がピークに達し、インフレが落ち着きを見せ始めるというシナリオに転換したため、市場参加者は市場が反発するという考えを持つことができました(議事録には、金利上昇に対する経済の適応を見るために9月に一時停止する可能性について言及されています)。

最近の上昇には月末のリバランスとショート(空売り)削減の動きが一因であるとの見方もありますが、株式市場が底値を付けたことを示唆する兆候も現れています。

以下の棒グラフは、先週の上昇で5月の損失がすべて帳消しになったことを示しています。

S&P500種株価指数の週次騰落率:5月23-27日の週にパフォーマンスが大きく回復

出所:FactSet, Pictet Trading Strategy 2022年5月30日時点 

リスク資産への投資意欲の高まりを反映した当社のリスク指標

下図は、金/銅レシオ、米ドル/円、米国小型/大型株レシオなど、様々なリスク選好指標を正規化したピクテ独自の「リスクオン/リスクオフ指数」です。

現在、極端なリスクオフの領域から反発しており、すでに標準偏差-2の閾値内に戻っていることから、投資家がリスク回避の姿勢を弱めていることが示唆されています。

リスクオン/リスクオフ指数の推移

出所:FactSet, Pictet Trading Strategy 2022年5月30日時点

より投機的な動きが増加している

急激なパフォーマンスの改善を考えるのは時期尚早だと思いますが、短期的には投機的な上昇の兆しはまだ続いています。このため、投資家は引き続き戦術的なアプローチをとり、リスク・リターンの面で最も効率的な取引を選択すべきであると考えます。

特に、株式市場で最も投機的だとみられている銘柄 (IPOや不採算テクノロジー株など) が再びパフォーマンスを上げ始めたことは、ショート投資家がポジションを縮小した、あるいは底値拾いの投資家が買い始めたことを示唆しています。

最も投機的だとみられている銘柄のうち、ARKイノベーションETFは直近の安値から23%反発し、最近10日間の高値を上回りました。一方で、中国ハイテク株と米国バイオテクノロジー株はまだ10日間の高値を下回り、最もリスク・リターンの面で効率的であるとみられます。

米国のバイオテクノロジーと中国のハイテクは反発の直前?

テクニカル面では、SPDR S&P バイオテック ETF は強気の三角保合いを形成しており、71.50の抵抗線を上抜けすると、50日移動平均線と1月以降の高値を結んだ抵抗線に相当するレベルである83を目標として上昇することになります。一方、66は短期的に重要な支持線となっています。※ターゲット・プライスはチャート分析に基づいたものです。

SPDR S&P バイオテック ETFの推移

出所: FactSet, Pictet Trading Strategy 2022年5月30日時点
※ターゲット・プライスはチャート分析に基づいたものです。

中国テクノロジーETF:魅力的なリスク・リワード比率を提供

同じテクニカルパターンが中国のテクノロジー銘柄でも形成されています。インベスコ・チャイナ・テクノロジーETFの場合、50日移動平均線 (現在44.4)を終値で上回れば、トライアングルブレイクアウトのターゲットであり、1月以降の高値を結ぶ抵抗線と、3月に2度達したレベルである55への上昇のきっかけになる可能性があります。

一方、終値が41を下回ると、このポジティブなシナリオは無効となります。※ターゲット・プライスはチャート分析に基づいたものです。

インベスコ・チャイナ・テクノロジーETFの推移

出所: FactSet, Pictet Trading Strategy 2022年5月30日時点
※ターゲット・プライスはチャート分析に基づいたものです。

ピクテでは、投機的だとみられている銘柄が最近、株を底値で買おうとする投資家の関心を集めており、株式市場の上昇を利用しようとする戦術的投資家にとって潜在的な投資機会を提供し続けているとみています。

投機的な銘柄の多くはすでに短期的に堅調なリターンを得ていますが、米国のバイオテクノロジーや中国のハイテク株は重要な短期抵抗線の下に位置しているにもかかわらず、株価が大きく上昇する寸前であるように見えます。さらに、これらの銘柄は、魅力的なリスク・リワード比率を提供していると考えられます。

 

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