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先週のマクロ経済およびマーケット情報をピクテがアップデートします。
先週は欧州中央銀行(ECB)の利上げ発表、加えて金曜日に発表された米国消費者物価指数(CPI)(前年同月比8.6%増、市場予想8.3%増、前月比1%増)がインフレの加速を示唆したことが注目されました。米国コアCPIは前年比6%に達し、前月比0.6%増となりました。総合インフレ率については、主に食品価格とエネルギー価格の上昇、旅行需要の増加、運賃や家賃の上昇にけん引され、上昇しました。この予想外のデータは、すでにピークに達していると考えられていたインフレ率が依然として上昇し続けていることを表しています。そのため、今後数ヶ月間で米国連邦準備制度理事会(FRB)がより積極的な利上げを実施する可能性が議論されています。このニュースを受けて市場は売りに転じ、S&P500は週に5%下落し(ナスダックは5.7%下落)、債券利回りは上昇しました。
欧州では、先週木曜日の会合でラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が7月に25bpsの利上げを実施し、資産購入プログラム(APP)を7月1日に終了することを発表しました。19カ国からなるユーロ圏のインフレ率は5月に過去最高の8.1%を記録し、ECBにはインフレ対策への圧力がさらに強まっています。また、ECBは9月の利上げも予定しているものの、利上げ幅(25bpsまたは50bps)はインフレ率の水準によって決定されることが会合後に発表されました。市場分断化リスクについては、ECBは可能な限り柔軟に対応し、必要に応じて資産の購入を再開すると述べました。ECBは2022年のインフレ率を6.8%、2023年を3.5%、2024年を2.1%と予想しています。GDP成長率については、2022年に2.8%、2023年に2.1%、2024年に2.1%と予想されています。
地政学関連では、ウクライナでロシアがシエビロドニエスト市とスロビャンスク市を奪取しようとする戦いが続いていることが注視されています。フランスのマクロン大統領はウクライナ訪問を計画中とされていますが、詳細は未定となっています。英国の国防長官はゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナ軍の軍事的ニーズについて協議しました。ウクライナの財務相はBloombergラジオのインタビューで、同国はIMFの支援が必要だと述べました。その一方で、ルーブルに上昇圧力がかかり続けているため、ロシアは政策金利を戦争前の水準まで引き下げました。
コモディティ関連では、ブレント原油が120米ドル/バレルを超える水準で取引されており、生活費の高騰により家計は圧迫されています。英国では燃料とガス価格に関するデータが公表されており、ガソリン価格が高騰したため、平均的なサイズの乗用車を満タンにするための費用が100ポンドまで上昇していることがわかりました。
米国のマクロ環境では、ミシガン大学消費者指数が58.4から50.2に低下し、予想されていた58.2を大きく下回りました。6月3日終了週では、住宅ローン30年固定金利の平均契約金利は、前週の5.33%から5.4%に上昇し、2009年以来の水準を記録しました。米国の2022年4月の貿易赤字は、過去最高だった3月の1077億ドルから871億ドルに縮小し、市場予想の895億ドルを下回りました。6月4日終了週の新規失業保険申請件数は22万9000件(市場予想20万5000件)となり、前週から2万7000件増加しました。また、前述の通り、最も注目されたのは5月のCPIが予想を上回り(前月比1%、市場予想0.7%)、前年同月比8.6%と40年以上ぶりの高水準となったことです。航空運賃や中古車は価格が継続的に上昇しており、コアインフレ率は前年同月比6%(前月の6.1%をわずかに下回る)と、非常に高い水準を維持しました。
欧州では、2022年第1四半期のユーロ圏GDPが前期比0.6%上昇しました(確定値、市場予想0.3%)。6月のセンティックス(Sentix)投資家信頼感指数は-15.8となり、先月の-22.6から上昇しましたが、依然として低い水準にあります。2022年第1四半期の輸出は市場予想の0.9%を下回り、0.4%の増加となりました。ドイツでは、4月の製造業受注が前月比2.7%減少し、先月の4.2%減から引き続き減少傾向となりました。その一方で、工業生産は前月比0.7%増加し、市場予想の1.3%増を下回りましたが、先月の3.7%減から回復しました。
日本では、2022年第1四半期の実質GDP成長率は前期比年率0.5%減少し、1次速報値の1.0%減から上方修正されました。4月の家計消費は前月比1.70%減少しました。
中国では、マークイット/財新中国サービス業PMIが26ヶ月ぶりの低水準である4月の36.2から41.4に上昇しましたが、ロックダウン(都市封鎖)の影響を受け、景気好不況の目安である50を3ヶ月連続で下回っています。2022年5月の貿易黒字は、前年同月の432.8億ドルから788億ドルに急増し、市場予想の580億ドルの黒字を上回りました。これは上海と北京でロックダウン(都市封鎖)を緩和したことによりもたらされ、年初来最大の貿易黒字となりました。輸出は前年同月比16.9%増加しました。
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