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- 2022年6月米国雇用統計-堅調な雇用統計であるが、問題点も
6月の米国雇用統計はその他多くの米国経済データとは対照的に、堅調な結果となりました。家計調査の結果や労働参加率の動向は異なるメッセージを示しており、注意が必要です。
6月の雇用統計は堅調でしたが、一部のデータは異なる結果を示しています。まず、家計調査(この調査により失業率を算出)は、非農業部門雇用者数(NFP)調査とは全く異なり、雇用者数が31万5000人減少したことを示しています。
また、意外なことに、労働参加率は5月の62.3%から62.2%に低下しています。特に、コロナ関連の財政支援が終了を迎えつつあり、低所得者層の貯蓄が底をついている兆候がみられる今、労働参加率低下の原因は謎に包まれていると言えるでしょう。
6月の非農業部門雇用者数から、景気後退の可能性や時期について、様々な情報が得られます。失業率が低水準で推移することは景気後退の前兆となり、直近4ヶ月の失業率は3.6%で推移しています。しかしながら、米国の景気後退に際しては非農業部門雇用者数増加の鈍化が先行する場合が多く、6月のデータからはそのような動きはみられていません。
インフレの観点からは、6月の賃金上昇率が前月比0.3%(5月は0.4%、4月は0.3%)と減速傾向にあることは、インフレ圧力の緩和と言う意味でポジティブに捉えられます。前年比も5月の5.3%から5.1%と上昇ペースが緩やかとなりました。賃金の上昇が継続するとは考えにくいため、米国のインフレ率は夏に安定し、年末には急落すると考えられます。その一方で、FRBは、物価上昇の長期化に不安を感じている消費者が、FRBのインフレ対応能力に対して信頼を喪失していることを懸念している可能性があります。現在FRBは賃金上昇などインフレを加速させる要因ではなく、将来のインフレに関する消費者調査(消費者調査はエネルギーやガソリン価格と強い相関性をもつ傾向がある)を重視しています。
図1:一部の労働力が労働市場に復帰していないため、労働参加率が低迷
出所:PWM-AA&MR, Bloomberg Finance LP(2022年7月8日時点)
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