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新興国の経済動向と金融政策
2022/08/12

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概要

新興国の経済動向と金融政策についてピクテがご紹介します。



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経済データの動向

購買担当者景気指数(PMI)

中国のNBS製造業PMIは予想を下回り、経済活動の拡大・縮小の分かれ目となる50を下回りました。また、Caixin製造業PMIも市場予想を下回るなど、経済活動の鈍化がより現実味を帯びてきています。NBSの製造業景況感の悪化は、生産と新規受注の減速が起因しており、両者のPMIは活動縮小の領域に転じました。

貿易

中国の輸出は、パンデミック後の経済再開と輸出価格の上昇により、予想を上回り、大幅に増加しました。一方で、輸入は、建築設備、ハイテク製品、コモディティなどの輸入減速により、予想を下回る結果となりました。

消費者物価指数(CPI)

韓国のCPIは概ね市場の予想通りの結果となりました。ヘッドラインCPIとコアCPIの上昇率は、ほぼ全ての主要カテゴリー(特に食品、住宅、公益セクター)で幅広い上昇がみられたことにより、さらに加速しました。

インドネシアのCPIは予想を上回りましたが、コアインフレは市場の予想とほぼ一致する結果となりました。主要要因は食品価格と輸送価格の高騰ですが、インフレの加速は依然として広範囲に及んでいます。

タイのCPIは予想を大幅に下回り、世界的な原油価格の下落に伴う輸送価格の上昇が緩和されたことを背景に、上昇率は鈍化しました。食品価格とコアインフレの上昇は依然として加速しており、コアインフレはタイ中央銀行のインフレ目標である1-3%の上限である3%(前年比)で加速していることから、インフレへの懸念は解消されていないと考えられます。

フィリピンのCPIは食品価格と輸送価格にけん引され、予想を大幅に上回りましたが、一部のサービス産業でもインフレの加速がみられました。

ペルーのCPIは前月比0.94%増と予想を上回り、教育セクターを除く全セクターで幅広く上昇しました。

コロンビアのCPIは予想を上回り、食品と衣料品の価格上昇を受け、前年同期比で10%以上上昇しました。また、補助金が削減されたことにより、燃料価格が上昇し、その結果輸送価格も上昇しました。

トルコのCPIは前年比では79.6%上昇し、前月比では2.37%の上昇と、市場予想をやや下回る結果になりました。

中央銀行

ブラジル中央銀行(BCB)は予想通りの50bpsの利上げを実施しましたが、利上げサイクルが終わりに近づいている可能性を考慮し、今後の利上げはデータ次第で決定すると発表しました。また、BCBは2024年のインフレ予想に焦点を移し、2024年第1四半期のインフレ率の見通しを3.5%としました。

インド中央銀行(RBI)は予想を15bps上回る 50bpsの利上げを実施し、2023年度の経済成長率とインフレ率の予想を据え置きました(それぞれ7.2%、6.7%)。全会一致で「金融緩和策の撤回」の姿勢を維持し、金融政策の正常化を進めることを示唆しましたが、金融政策決定会合(MPC)委員のうち1名はこの決定に懸念を示しています。

ルーマニア中央銀行は予想を25bps下回る75bpsの利上げを実施しました。インフレ率は第3四半期にピークを迎え、2022年末には中立金利が6.25%になると予想されています。

チェコ国立銀行は政策金利を据え置きました。2022年第2四半期のGDPが予想を上回る結果となったにもかかわらず、金融政策決定会合では5対2と意見が分かれたことは、ハト派が優勢であることを示唆しています。


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