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- クレジット市場ースプレッド拡大による痛み続く
金融市場に回復の動きが見られているものの、米国とユーロ圏のハイイールド債券スプレッドの見通しは暗く、一方で、デフォルト率は相対的に緩やかに上昇する可能性が高いと思われます。しかしながら、短期投資適格債は投資妙味が増していると考えられます。
流動性の確保、資金調達が困難であることに加え、デフォルト率が上昇する可能性があることから、ハイイールド債券のスプレッドは今後も拡大すると考えられます。
しかしながら、ハイ・イールド債券のデフォルト率の上昇は、過去の景気後退期に比べてより緩やかなものになる可能性があります。債券借り換え需要の低下、依然として堅固なファンダメンタルズ(米国低格付け企業の純レバレッジ比率は第2四半期に3.6倍と低く、インタレスト・カバレッジ・レシオは6.1倍と高い水準にある)、ハイイールド債券インデックスの質が向上したことを背景に、デフォルト率は過去の景気後退期より緩やかなペースで上昇すると考えられます。そのため、スプレッドが過去の景気後退期のように1000bps以上の水準まで拡大する可能性は低いと思われます。その一方で、投資家が企業のバランスシートを再評価し始めているため、リスクプレミアムは上昇すると考えられます。欧州経済が深刻な景気後退に陥った場合(ロシアのガス供給が完全に停止した場合など)、ユーロ圏ハイイールド債券のスプレッドは市場予想を上回る水準まで拡大する可能性がありますが、欧州経済が強い回復力を示した場合、スプレッドは市場予想を下回る水準で年末を迎える可能性があります。
上述の高い不確実性から、投資適格債(IG) の「安全な」キャリーを選好し、ハイイールド債券ユニバースでは魅力的な 「ライジングスター」(IGへの格上げの可能性が高いクレジット)に投資することが考えられます。今年に入り米国2 年債利回りが急騰(8月9日に3.27%)したことから、米国の短期投資適格債が提供するキャリーは、格付けによっては非常に魅力的だと言えるでしょう。デュレーションが短いため、1年から3年の米国投資適格債バケットは、全銘柄を対象とするICE BofAML米国投資適格債インデックスよりも相対的に良好な運用成績を収めています。
このようなアウトパフォーマンスは、ソブリン債券の利回りやスプレッドのボラティリティが高い環境下で、短・中期の米国投資適格債に投資する理由の一つとなるでしょう。しかしながら、不確実性の高い状況が継続することから、ICE BofAMLの米国投資適格債のスプレッドは年末にかけてやや拡大する可能性があり、ユーロ圏投資適格債のスプレッドは、エネルギー供給不足により、ユーロ圏企業が大きな打撃を受ける懸念から、スプレッドは米国より高い水準で推移すると考えられます。
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