5GとIoT

5Gとスマートシティ

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5Gの登場によりモバイル通信が飛躍的に進化し、IoT(モノのインターネット)に様々な新しい可能性が生まれています。




最新世代のモバイル通信である5Gのおかげで、デジタルの世界は根本的に変わろうとしています。それは、5Gが IoT(モノのインターネット)の可能性を大きく広げるからです。

そもそも5Gは、4Gに比べてセル(1つの基地局のカバーエリア)1つあたりのデータ容量が約1,000倍も増加しています。アンテナ1本あたりで100倍以上の数の端末を扱えるため、同時接続数も多くなります。応答時間は4Gの60ms(ミリ秒)以上から5ms以下に短縮され、ほとんど瞬時に通信可能です。データ通信も100倍速くなり、現在の3Gbps(ギガビット/毎秒)に対して、ネットワークの拡大とともに20Gbpsにまで向上します。


5Gのもたらす大規模な技術的躍進は決して贅沢なサービスというわけではなく、むしろますます必要不可欠なものになってきています。例えば、5Gへの拡張がない場合、スイスでは3年以内にインターネットトラフィック(通信量)の容量が60%以上不足すると言われています。

5Gのメリットは、容量や速度にとどまりません。前世代の移動通信システムにおける携帯電話用アンテナに比べ、5Gは同じ量のデータを送信するのに必要な電力が3分の1で済みます。また、デジタル技術とインターネットへの接続性が向上したことで、プロセスの最適化につながり、一般的に電力を節約することが可能になっています。

また、5Gネットワークは「スライス」(用途に応じてネットワークを仮想的に分割すること)ができるため、容量の一部を緊急サービス用に確保することができ、残りのネットワークが過負荷になった場合でも、クリアな通信チャネルを確保することができます。



通信革命

5Gにより、画期的な新しい用途が生まれています。エネルギー効率の向上により、5Gに接続されたセンサーは長時間電力網に接続する必要がなく、通常のバッテリーで4~5年稼働させたり、エネルギーハーベスティング(身の回りの熱や振動などのエネルギーを「収穫」して、電力に変換すること)の手法を用いたりすることが可能になります。同時に、容量の大幅な増加により、こうした相互接続センサーを大量に使用することが可能になります。

このようなセンサーのネットワークは、他のテクノロジーを加速させることにつながります。例えば、自動運転の車です。この自動運転を可能にするコンピューターのデータ処理は、重く、かつ電力を消費します。しかし、クラウド上で処理を行うことで、自動車自体にこの処理能力を持たせる必要がなくなります。そして、自動車をクラウドに接続し、インテリジェントな道路信号や信号機など、5Gで接続された何千もの固定センサーに直接接続することができます。高度な自動運転インフラには5Gが必要なのです。

5Gの最も興味深い直接的な用途の1つは、建物の保守管理を可能にすることです。建設機械はますますハイテク化されていますが、大きな建物だと、前世代のモバイルネットワークも従来のWiFiネットワークも十分に行き渡らないという問題があります。同時に、都市部ではGPSの精度が低いという難点も抱えています。しかし、5Gならこれらの問題を解消することができます。例えば、GPSは都市部では10~20メートル程度の精度で機能しますが、5Gなら、わずか数センチメートルの精度を実現することができます。こうして全てをカバーすることで、完全かつタイムリーな建設モデリング(建築物の3次元データの作成)が可能になります。また、自動運転車と同じように、建築現場でのロボットの利用も可能になります。

5Gはまだ始まったばかりで、適用範囲は広くなく、アンテナも十分ではありません。しかし、5Gが本格的に普及すれば、それを基盤とした画期的な応用事例が次々と生み出され、その多くはきっと私たちがまだ想像すらしていないようなことでしょう。




執筆者|ステファン・メツガー

ピクテのテーマ株式運用のアドバイザリーボードのメンバー。スマートシティの専門家であり、デジタル開発のアドバイザーを務める。

 




本ページは2022年6月にピクテ・アセット・マネジメントが作成した記事をピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集したものです。




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