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重要な経済指標とは(9)米国小売売上⾼
2017/12/01

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概要

●米国小売売上⾼とは、米国内の百貨店やスーパー等の小売業・飲食業などの月間売上⾼について、サンプル調査をもとにした景気関連の経済指標のことを指します。毎月、米国商務省が総合指数とともに、変動の⼤きい⾃動⾞等を除いたコア指数を発表しています。
●小売売上⾼は、米国のGDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費の代表的な指数であるため、米国の⾦融政策、株式、債券、為替市場の動向に⼤きな影響を与えます。




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米国小売売上⾼とは

米国小売売上高は、米国内の百貨店やスーパー等の小売業や飲食業などから無作為に抽出した約5,000社を対象としたサンプル調査をベースとしています。米商務省経済分析局が、毎⽉第2週に前⽉分について、総合指数やコア指数といった項目の前⽉比と実額を発表します。実際に調査した⽉から2週間後に発表されるということで速報性が高く、景気の先⾏指標として注目度が非常に高い指標です。調査する対象は耐久財と非耐久財に⼤別され、変動の⼤きい⾃動⾞関連等を除いたコア指数がGDPの個人消費支出の算出に使われています。

この指標の重要性は、個人消費が米国のGDPの約7割を占めている(下記グラフご参照)ことから、小売売上高の動向が米国景気に⼤きく影響するということです。例えば、例年1⽉に発表される数値には、前年のクリスマス商戦の結果が反映され、最も消費が旺盛な時期の米国の消費者マインドを色濃く反映しています。同様に、10⽉に発表される数値には、米国の学校の新学期である9⽉の情勢が反映されています。

最近の小売売上⾼動向

小売売上高に⼤きな影響を与える要因の一つが天災です。特に、今年米国南部を直撃した⼤型ハリケーン「ハービー」によって、8⽉の小売売上高の総合指数は速報ベースで前⽉比マイナス0.2%(翌⽉にマイナス0.1%に上方修正)となりました。これは、前代未聞の規模の洪水被害をもたらした「ハービー」によって、⾃動⾞販売がマイナス1.6%と⼤きく落ち込んだことが原因です。一方、⾃動⾞を含めないコア指数は前⽉比横ばいとなって、個人消費は引き続き堅調さを示していました。

翌9⽉の小売売上高の総合指数は、速報ベースでプラス1.6%(翌⽉に1.9%に上方修正)となり2015年以来の高い伸びとなりました。前⽉のハリケーンの影響で買い控えられていた⾃動⾞がプラス3.6%となり、これも2015年以来の高い伸びを記録しました。また、10⽉の総合指数もプラス0.2%と堅調に推移し、米国経済が好調さを維持していることが確認されました。

今後の⾒通しについても強気の⾒方が増えてきています。例年、11⽉第4⾦曜⽇は「ブラックフライデー」と呼ばれて、クリスマス商戦の幕開けを告げるイベントです。速報ベースですが、今年の「ブラックフライデー」は過去最高ともいわれる売上を示しています。

小売売上⾼総合指数

小売売上⾼コア指数



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