株価と1株当り利益とPERの関係

ここでは、株価と1株当り利益(EPS:Earnings Per Share)とPERの関係を4つのパターンで確認していきます。

株価が上昇しても、利益の増加が伴っていれば、PERは変化せず、割高感は増しません。このような株価上昇を本源的な株価上昇と呼べます（図表1-①）。

高い利益成長率が期待される場合、相対的にPERは高めになる傾向があります。これは、たとえPERが高くても、高い利益成長率によって利益が短期間に2倍になってしまえばPERは半分に低下するためです（図表1-②）。

一方、利益成長率がさほど高くないにもかかわらず、人気を集めてどんどん資金が流入した結果、割高化が進み、PERが高くなるケースもあります。たとえ利益が全く増えていなくても、資金流入によって価格がかさ上げされて、より高い値段で取引されるようになれば株価は上昇します。こうしたケースでは株価とPERが上昇していきます（図表1-③）。これが高値掴みをしてしまう典型的なケースですが、このような事態を避けるためには、利益成長率とPERのバランスを考えてみることが有効です。成長率が低いにも関わらずPERが高い、という場合には注意が必要です。

高いPERで投資を開始してしまうと、せっかく利益が伸びてもPERが調整し、株価が下落してしまうということがあり得ます（図表1-④）。資金が流入し、かつ他のものよりも上昇している、という場合にはPERが高い割高な状態になっていることが多く、その後ブームが去って資金が流出すると冷静な投資家が買う適切なPER水準まで株価が下がってしまう、ということがよく起こります。

現在注目されていたり今後が期待される業種・テーマの株式に投資する場合も、PER上昇に期待するのか、1株当りの利益(EPS)成長に期待するのか、両方に期待する場合そのバランスをどう考えるか、をよく考えて投資することが重要です。