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低金利環境下で債券の代替として重要性を増す金
2021/10/04

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概要

主要国の国債利回りが歴史的な低水準となる中、国債への投資による期待リターンは低い水準にあります。また主要国の多くで国債利回りがインフレ率を下回り、実質利回りはマイナスとなっています。こうした環境の下、分散投資の観点から、金への投資は債券投資の代替として重要性を増していくものと考えます。



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歴史的な低水準にある主要国の国債利回り

主要国の国債の利回りは現在、歴史的な低水準にあります(図表1参照)。

1991年8月の主要国の10年国債の利回りをみると、オーストラリア、英国が10%程度、米国、ドイツが8%程度、低い日本でも6%超の水準でした。

世界経済は、過去30年の間に日本のバブル崩壊やITバブル崩壊、リーマンショック、欧州債務危機、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)などの経済危機を何度も乗り越えてきましたが、そのような中で10年国債利回りは低下傾向が続き、2021年8月には、比較的高い水準にある米国とオーストラリアでも1%超、ドイツはマイナス圏となっています。

図表1:主要国の10年国債利回りの推移
10年毎、期間:1991年8月末~2021年8月末

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

債券の代替としての金

債券は、投資において株式と並んで中核となる資産で、株式と異なった動きをする傾向があることもあり、古くから株式との分散投資で活用されてきましたが、現在は金利低下などの影響により、債券投資による期待リターンは過去に比べ低水準となっています。

世界国債の10年間の投資リターンの推移をみると、国債利回りが低下する中で、世界国債の投資リターンが低下していることがわかります(図表2参照)。

図表2:世界国債のリターンおよびリスクの推移
現地通貨ベース、月次、期間:1989年12月末~2021年8月末、年率化

※世界国債:FTSE世界国債指数※リターンは10年間のリターンを年率化※リスクは月次リターンの標準偏差を年率化※2020年代:2019年12月末~2021年8月末のデータを使用し計算
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

債券投資の投資リターンが低下する中、株式などの主要資産と価格変動の動きが低相関もしくは逆相関で分散効果が期待できる資産である金の重要性が高まっていると考えます(図表3参照)。

図表3:資産としての金のイメージ図

※上記はイメージ図です。なお、円の大きさは、投資額の相対的な多寡を示すものではありません。

米国が金本位制を離脱し自由に通貨を供給できるようになったニクソンショック(1971年8月)を起点に米ドルの通貨供給量(M1)の伸びを算出すると、リーマンショック(2008年9月)までは年率約5.2%でしたが、コロナショック後の2021年8月末では同9.3%の伸びと急上昇しています。一方、実物資産で供給に限界のある金の供給量は足元、毎年2%弱の伸びとなっており、これまでの金と通貨の供給量の差を考慮すると、金価格には上昇余地があるものと考えます。

過去の実績:低金利下では金の実質収益率が米国国債を上回る

1955年以降の米国国債(10年国債)および金の超長期(20年間)の実質投資収益率と米国10年国債利回りの関係をみると、利回り水準により、金と米国国債(10年国債)のどちらが優勢か分かれていることがわかります(図表4参照)。注 実質投資収益率:各資産の投資収益から物価上昇の影響を取り除いたもの

米国10年国債の利回りが相対的に高い水準、つまり高金利の環境下では米国国債(10年国債)のほうが実質投資収益率が概ね高くなり、金利水準が相対的に低い場合には、概ね金の方が高い実質投資収益率となりました。

図表4:米国国債(10年国債)と金の実質収益率(20年間、年率化)と米国10年国債利回りの推移
年次、ドルベース、期間:1955年~2020年

※米国国債:米10年国債、金:金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD、米国国債はトータル・リターン※実質収益率は米国国債および金の20年間のリターン(年率化)から消費者物価指数の20年間の上昇率(年率化)を引いて計算
出所:GFD、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

米国株式と組み合わせた場合でも低金利環境では金が優位

また米国株式と金や米国国債を併せ持った場合の実質投資収益率を見ても、1955年以降、米国株式50%+金50%の分散投資は低金利環境に強く、米国株式50%+米国国債(10年国債)50%の分散投資は高金利環境に強いという結果となりました(図表5参照)。

図表5:米国株式50%+米国国債(10年国債)50%と米国株式50%+金50%の実質収益率(20年間、年率化)と米国10年国債利回りの推移
年次、ドルベース、期間:1955年~2020年

※米国国債:米10年国債、金:金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD、米国株式:S&P500種株価指数、米国株式と米国国債はトータル・リターン ※実質収益率は米国国債および金、米国株式の20年間のリターン(年率化)から消費者物価指数の20年間の上昇率(年率化)を引いて計算 ※リバランスなし
出所:GFD、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

低金利環境が続き、債券投資の期待リターンが低下する中、低金利環境下で債券を上回る収益を上げてきた実績のある金は注目の投資対象と言えます。

またこのレポートでは米国株式と金の組み合わせを紹介しましたが、金は米国株式以外の主要資産に対しても逆相関または低相関となっており、分散効果が期待できる資産です。

さらに長期的な観点から将来さらなる通貨価値の下落やインフレが引き起こされるリスクを考えた場合、それらのリスクに備える資産としても金は重要な役割を果たすと考えます。

 



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