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インフレと金融/経済史⑬~脱グローバル化の時代① 米中貿易戦争~
2026/02/10

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概要


第1次トランプ政権は保護主義的通商政策を強化し、従来のグローバル化路線から大きく転換したことで、世界で脱グローバル化の流れが進みました。


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■第1次トランプ政権の誕生と脱グローバル化の進展

今回から再びインフレ時代に突入した2018年以降の出来事について、脱グローバル化をテーマにご説明していきます。2016年11月に行われた米国の大統領選において、共和党候補のドナルド・トランプ氏が当選を果たし、2017年1月、大統領に就任しました。トランプ大統領は選挙期間中、「America First(米国第一主義)」や「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」といったスローガンを掲げ、格差社会の進行に強い不満を持つ白人労働者層等の強い支持を受けました。実際に、就任後1年間でTPP(環太平洋パートナーシップ)からの離脱、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉、入国管理政策の見直しによる移民制限、エネルギー開発における規制緩和等を進めました。また、トランプ政権は公約にも掲げた対中貿易赤字と各国との貿易不均衡の解消を目指し、2018年以降、中国を中心に新たな関税を設けたり、関税の引き上げを行い、保護主義的な通商政策を強化しました。中国は、2001年のWTO(世界貿易機関)加盟以降、2桁の高いGDP(国内総生産)成長率を継続的に記録し、貿易総額はWTO加盟前の2000年から加盟後15年で約10倍に増大しました注。それに伴い、米国への輸出額も増え、米国の対中国貿易赤字額は急速に膨らみました。2016年時点で米国の貿易赤字総額に占める対中貿易赤字額は40%を超えていたため、トランプ政権は特に対中貿易赤字解消に注力したといえます(図表1)。米国の対中措置をうけ、中国も報復措置を次々と打ち出したことで本格化した米中戦争は世界経済への甚大な悪影響が懸念され、リスクオフの動きが広まりました(図表2)。

注:インフレと金融/経済史⑨~物価低位安定期④中国のWTO加盟①~(https://www.pictet.co.jp/basics-of-asset-management/new-generation/financial-history/20251211.html)、およびインフレと金融/経済史⑩~物価低位安定期⑤中国のWTO加盟②~(https://www.pictet.co.jp/basics-of-asset-management/new-generation/financial-history/20251225.html)をご参照ください。

図表1:米国の貿易赤字額と対中貿易赤字額の推移
(年次、期間:1993年~2019年)


出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成

図表2:米中間の貿易関税について


出所:内閣府のデータを基にピクテ・ジャパン作成

トランプ大統領が掲げたスローガンは従来のグローバル化路線から大きく転換するものであり、保護主義的な通商政策の強化はまさにグローバルサプライチェーンを分断するものとして批判的な声も高まりました。そして、この脱グローバル化の動きはインフレに影響を及ぼすと考えられます。例えば、グローバリゼーションの進展によりサプライチェーンが効率化され、比較優位を活かして生産コストを抑えることで物価が低位で安定していましたが、脱グローバル化はこの効率化を損なうため生産コストが上昇し、最終的に製品価格に転嫁されインフレ圧力の高まりにつながります。関税についても同じく生産コストの上昇につながります。実際に米中貿易戦争の激化により一部製品の値上がりが生じ、2017年から2018年にかけて米国のCPI(消費者物価指数)はやや上昇しましたが、先述の通り、景気減速の懸念からリスクオフの流れが広まり、2019年の同CPIはやや低下しました(図表3)。


図表3:日米欧のインフレ率、の推移
(月次、期間:2016年1月~2019年12月)


出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成

                                  

 

 



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