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- 6月解散・7月総選挙のシナリオ
報道各社の世論調査で岸田文雄内閣の支持率は低下基調にある。もっとも、通常国会が会期末を迎える6月、岸田首相は衆議院の解散を検討するのではないか。そう考える理由は、1)5月19~21日のG7広島サミット、2)前回総選挙との間隔、そして3)低迷する野党の支持率・・・の3点だ。解散・総選挙の可能性は、新総裁就任後の日銀による金融政策にも影響しよう。
解散・総選挙:今夏である3つの理由
NHKが1月7~9日に行った世論調査によれば、発足以来16ヶ月目を迎えた岸田内閣の支持率は33%で、これまでの最低であった昨年11月と並んだ。ただし、過去10代の政権では、既に3番目の長さになっている。
岸田首相が本格的な長期政権を目指す場合、来年9月の自民党総裁選で再選されなければならない。そのためには、来夏までに衆議院を解散、総選挙において自民党が勝つことが必須の条件だろう。来週には通常国会が召集されるが、会期末となる6月は、岸田首相にとり解散の好機ではないか。
理由の第1は、5月19~21日にG7広島サミットが開催され、岸田首相が議長を務めることだ。2016年のG7伊勢志摩サミットでは、閉会後にバラク・オバマ米国大統領が広島を訪れ、安倍晋三内閣(当時)の支持率が上昇した。今回、ジョー・バイデン大統領による長崎訪問も検討されている模様で、岸田首相は外交力を示すチャンスと言える。
理由の第2は、過去の総選挙の経験則に他ならない。自民党が結党された1955年以降、総選挙は22回行われた。このうち、前回から3年以内に行われた10回のうち、9回で解散時与党第1党は過半数を超える議席を獲得した(図表1)。
一方、3年超の間隔で行われた12回の場合、与党第1党は8回で過半割れしている。既に前回の総選挙から1年3ヶ月が経過、今夏は解散に早過ぎるタイミングではないだろう。
理由の第3は、岸田内閣への批判が、野党への期待には結び付いていないことだ。報道5社による直近の世論調査を集計すると、自民党の支持率が平均34.4%なのに対し、野党第1党の立憲民主党は7.3%に過ぎない(図表2)。
また、野党による選挙協力も固まっていない状況だ。衆議院定数465議席中、62.2%に相当する289議席は小選挙区で選出されるため、野党の分裂は与党に有利な材料だ。これら3点を考えると、G7サミット後、岸田首相が解散に踏み切る可能性は十分にあり得るだろう。
政界は総選挙を意識:金融政策にも影響の可能性
サミット前のゴールデンウィーク期間中、岸田首相は議長国としての調整を理由にウクライナを電撃的に訪問、リモートによる出席が見込まれるウォディミル・ゼレンスキー大統領と会談することも考えられる。これも、岸田首相にとっては外交力をアピールする重要な機会になるかもしれない。
また、2月下旬にも日銀の次期総裁、副総裁候補が国会に提示され、衆参両院において審査を受けることになる。与野党議員は金融政策に対する見解を問うだろう。岸田首相が6月解散・7月総選挙のシナリオを検討しているとすれば、今年前半に関しては市場の不安定化を望まないと考えられる。
そうした政権の意向を背景に、次期総裁・副総裁候補は金融政策の変更に関し慎重なスタンスを示すのではないか。
いずれにせよ、今後半年間、政治は総選挙の可能性を強く意識した動きになるだろう。
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