Article Title
バイオジェンのアルツハイマー症治療薬が承認、FDAの判断に注目
2021/06/11

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

一度、開発が中止されるなど紆余曲折があったバイオジェンのアルツハイマー症治療薬アデュカヌマブが米食品医薬品局(FDA)から迅速承認(条件つきの承認で追加の臨床試験で検証する必要あり)を受けました。あらたな市場を生み出すことになる今回の承認はバイオ医薬品セクターにとって明るいニュースであり、このところ株価が弱含んで推移しているバイオ医薬品セクターが見直されるきっかけになることが期待されます。



Article Body Text

米FDAがアルツハイマー症治療薬を承認

2021年6月7日、米大手バイオ医薬品企業バイオジェンが日本のエーザイと共同で開発を進めていたアルツハイマー症治療薬アデュカヌマブ(製品名:アデュヘルム)が、米食品医薬品局(FDA)により承認されました。

今回の承認は、対症療法ではなく、根本的な病気の原因に作用するといった点でアルツハイマーの治療にとって重大な節目となりました。

紆余曲折だったアデュカヌマブ承認までの道筋

アデュカヌマブは、脳内からアルツハイマー症の患者に非常に典型的に見られるたんぱく質であるアミロイドβを取り除く治療薬です。

これまで、同じ作用の仕方をする多くの治療薬候補がありましたが、脳内からアミロイドβを顕著に取り除く効果を見せたのはバイオジェンのアデュカヌマブがはじめてでした。

そしてFDAは脳内からアミロイドβを取り除くという事実により、アデュカヌマブを迅速承認としました。このことは、2つの試験の少なくともひとつにおいては病気の進行を遅らせるというシグナルが出ていましたが、今回の承認がアミロイドβを減少させるというバイオマーカー(生体指標)に基づくことを意味し、今後、臨床的有効性の確認が必要とされています。

しかしながら、バイオジェンは誤って早い段階でうまくいかないと判断し治験を中止したため、治験結果が混乱し、解釈が難しいものとなりました。

実際、昨年、FDAはこれらのデータに基づきアデュカヌマブを承認するか否かについて専門家からなる諮問委員会に諮りましたが、そのとき諮問委員会は反対を表明していました。

FDAは、迅速承認でバイオジェンにアデュカヌマブの販売を認めましたが、アデュカヌマブの投与             が認知機能低下を遅らせ、有効であることを示すために新たに追加の臨床試験を行うことを条件としています。

FDAの判断に変化か?

今回のFDAによる寛大な決定は、専門家である臨床医が納得するようなデータが示されていても、FDAが治療薬を承認しないといういくつかの不可解な決定の後になされたものでした。このことはバイオ医薬品セクターを含む医薬品セクターにとっては明るい兆候であり、2021年6月7日の市場では多くのバイオ医薬品株式が上昇しました。

アデュカヌマブの承認により数千億円規模となる可能性のある市場が生まれたことで、最近、株価が弱含んで推移しているバイオ医薬品セクターが見直されるきっかけになることが期待されます。



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

iTrustバイオ



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/03/25
タイトル iTrustバイオ|主要バイオ医薬品企業の2023年10-12月期決算と注目ポイント タグ
日付
2024/02/09
タイトル iTrustバイオ|2023年10-12月のピクテ・バイオ医薬品マザーファンドの振り返りと今後のポイント タグ
日付
2023/12/27
タイトル iTrustバイオ|主要なバイオ医薬品企業の状況 タグ
日付
2023/12/22
タイトル iTrustバイオ|2023年のバイオ医薬品企業をターゲットとしたM&Aの総額は1,200億米ドルに迫る タグ
日付
2023/11/28
タイトル iTrustバイオ|バイオ医薬品企業の注目の治療薬候補(パイプライン)の2023年の開発と承認の動向 タグ
日付
2023/10/30
タイトル iTrustバイオ|2023年7-9月のピクテ・バイオ医薬品マザーファンドの振り返りと今後のポイント タグ
日付
2023/10/18
タイトル iTrustバイオ|AIが加速する医薬品開発と主なバイオ医薬品企業のAI活用 タグ
日付
2023/09/28
タイトル iTrustバイオ|AIの活用が加速させる新薬開発~迅速なタンパク質の構造解明がもたらす効果 タグ
日付
2023/08/30
タイトル iTrsutバイオ|バイオ医薬品企業をターゲットとしたM&Aの総額 は2021年、2022年を超える タグ
日付
2023/08/04
タイトル iTrustバイオ|2023年4-6月のピクテ・バイオ医薬品マザーファンドの振り返りと今後のポイント タグ
日付
2023/05/31
タイトル iTrustバイオ|景気の先行き懸念が高まる中、バイオ医薬品株式が注目される可能性 タグ
日付
2023/05/08
タイトル iTrustバイオ|2023年1-3月のピクテ・バイオ医薬品マザーファンドの振り返りと今後のポイント タグ
日付
2023/04/21
タイトル iTrustバイオ|米バイオ医薬品企業プロメテウス・バイオサイエンシズを米医薬品大手メルクが108億米ドルで買収 タグ
日付
2023/03/20
タイトル iTrustバイオ|米バイオ医薬品企業シージェンを米医薬品大手ファイザーが430億米ドルで買収 タグ
日付
2023/03/02
タイトル iTrustバイオ|肥満の解消に取り組む医薬品企業 タグ
日付
2023/02/06
タイトル iバイオ|2022年10-12月に相対的に好調なパフォーマンスとなったピクテ・バイオ医薬品マザーファンド タグ
日付
2023/01/18
タイトル iバイオ|パフォーマンスの改善が続くバイオ医薬品株式の注目ポイント タグ
日付
2022/10/04
タイトル iバイオ|バイオジェンがアルツハイマー病治療薬レカネマブ の良好な治験結果を発表、株価は大きく上昇 タグ
日付
2022/04/04
タイトル iTrustバイオ|年初来の動きと今後の見通し タグ
日付
2021/06/22
タイトル 年初来でバイオ医薬品株式が出遅れた背景 タグ
日付
2021/01/19
タイトル コロナ禍でも新薬の開発は順調 タグ
日付
2020/12/17
タイトル 2020年もバイオ医薬品企業をターゲットとしたM&Aが続く タグ
日付
2020/09/18
タイトル M&Aはバイオ医薬品株式の上昇要因 タグ
日付
2020/08/31
タイトル 米食品医薬品局(FDA)の新薬承認環境を考える タグ
もっと見る