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中東での紛争下の金融市場
2026/04/08

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概要

米国・イスラエルによるイラン攻撃とそれに続く地域紛争が金融市場に与えている影響について、ピクテ・アセット・マネジメント シニア・マルチアセット・ストラテジスト アルン・サイ(Arun Sai)が分析しました。



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米国・イスラエルによるイラン攻撃と、それに続く地域紛争の発生から約5週間が経過し、金融市場は重要な分岐点を迎えています。現時点では、初期段階に見られたインフレに対応した金利上昇主導の調整局面から、景気減速リスク(成長不安)へと市場の焦点が移行しつつある可能性が高まっています。この転換は、短期的な市場の方向性以上に、資産配分の判断という観点から重要な意味を持つと考えられます。


■ 市場全体の環境認識

今回の地政学的ショックは、エネルギー価格の上昇を通じたインフレ懸念を背景に、資産クラス横断的な換金売りを誘発しました。しかし、その性質は2022年のロシア・ウクライナ戦争初期とは異なります。当時と比較すると、労働市場の逼迫度は明らかに低下しており、財政・金融政策もすでに引き締められた局面にあることから、賃金上昇を伴うインフレが持続的に再燃するリスクは限定的と考えられます。現時点では、インフレリスクが過大に織り込まれる一方で、景気減速リスクは十分に評価されていないという、市場の歪みが生じている可能性があります。


■「インフレリスク」から「成長不安」への転換点

現在の金融市場は、クラシカルな成長不安局面へ移行する瀬戸際にあるとみられます。仮に原油価格が高水準で推移した場合、企業・消費者マインドの悪化、金融環境の実質的な引き締まり、エネルギー関連セクターを起点とした供給ショックを通じて、景気への下押し圧力が一段と強まることは避けられません。市場は通常、こうした変化を経済指標に先行して織り込み始めます。このような局面では、ディフェンシブセクターや長期債、円やスイスフランといった安全通貨など、成長リスクを意識した防御的資産の役割が、あらためて再評価されると考えています。


■ シナリオ分析とリスク評価

景気への恒久的なダメージを回避するには、近い将来に信頼性の高い形での緊張緩和が不可欠です。ただし、仮に緊張緩和が実現したとしても、断続的な緊張の再燃、原油などの供給制約、ホルムズ海峡の正常化に時間を要することなどから、不安定な移行期間が続く可能性があります。その場合でも、世界株式市場の上値余地は約10%程度にとどまる一方で、紛争の長期化やエネルギーショック下での金融引き締めの継続は、リスク資産に対して大きな下押し圧力をもたらす可能性があります。現状では、リスクとリターンのバランスは下方に非対称であると判断しています。



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