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- 2024年4月のバイオ医薬品市場
■バイオ医薬品関連企業の株価動向
4月のナスダック・バイオテクノロジー指数(ドルベース、配当含まず)は、下落しました。
4月のバイオ医薬品株式市場は、世界の株式市場が下落する中、相対的に下落率が大きくなりました。
長期視点の投資テーマでリスクが相対的に高いバイオ医薬品株式は、米国で高止まりするインフレと、それに伴い高水準の金利が長期化するとの見方が続く中で、投資家の注目が集まりにくい状況が続いています。
株価が上昇した銘柄としては、モデルナ(米国)、アストラゼネカ(英国)などが挙げられます。モデルナは、頭頸部がんに対する同社ワクチン候補とメルク(米国)のキイトルーダの併用について良好な治験結果を発表したことや今後予想されるRSVワクチンの承認への期待などから株価が上昇しました。アストラゼネカは、がん領域の治療薬の好調さにけん引され、2024年1-3月期決算が市場予想を上回ったことで株価が大きく上昇しました。
一方、株価が下落した銘柄としては、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(米国)、ギリアド・サイエンシズ(米国)などが挙げられます。リジェネロン・ファーマシューティカルズは、競合他社が発表したアトピー性皮膚炎治療薬の治験結果が、同社の治療薬デュピクセントを上回ったことなどが株価の下落要因となりました。ギリアド・サイエンシズは、2024年通期の一株当たり利益の見通しを引き下げたことなどが影響し、株価が相対的に大きく下落しました。
■今後のバイオ医薬品市場見通し
足元、バイオ医薬品株式市場では、良い兆候がみられています。2023年に大型案件が多くみられたM&A(合併・買収)の動きは、今後も継続するものと期待されます。特にフェーズ2で良好な治験結果が示された治療薬候補を有するなど買収後のリスクの低い銘柄が注目されます。新薬の開発では、遺伝子治療や免疫学系、循環器系、中枢神経系、がん領域などが注目されます。一方、2024年は米大統領選挙が控えており、その影響については注意深く見ていく必要があると考えます。
長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。
最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。
■バイオ医薬品関連企業の売上高は新薬承認後の業績寄与などにより相対的に高い伸びに
バイオ医薬品関連企業の売上高は、堅調に成長してきました。(図表6参照)バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬承認後の業績寄与が期待されていることから、今後3年間で年率+10.9%の相対的に高い売上高の伸びが予想されています。(図表7参照)
■売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)
■バリュエーション
バイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて2021年夏頃までは株価が上昇し、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇していましたが、2021年秋以降は新薬承認申請に対するFDAの予想外の決定などがマイナス要因となったことに加え、2022年半ばにかけてナスダック市場の下落が大きくなる中、ナスダック・バイオテクノロジー指数も下落したことから、PSR も低下しました。( 図表9 参照)
足元は、良好な治験結果の発表や、再びバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目され、PSRは上昇に転じつつあります。
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