ささやかなユーロ圏の拡大期待 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ささやかなユーロ圏の拡大期待 梅澤利文 欧州/ユーロ圏

ユーロ加盟国は現在19ヵ国です。15年にリトアニアが加盟して以降、ユーロ圏の拡大は止まっていました。ブルガリアとクロアチアは18年と19年にそれぞれERM2へ加盟申請をしており、今回承認されたことで、ユーロ加盟(加入)に近づいたことになります。市場では早ければ2023年頃の加入が見込まれています。

ブルガリアとクロアチア:ユーロ加盟の準備過程であるERM2への加盟が承認される

 欧州中央銀行(ECB)と欧州理事会は2020年7月10日、クロアチアとブルガリアがユーロ導入に向けた準備過程である欧州為替相場メカニズム2(ERM2)への加盟を承認されたことを共同発表しました。

 ECBは、基本レートを1ユーロ=7.5345クロアチア・クーナ、1ユーロ=1.95583ブルガリア・レバ(またはレフなど)にそれぞれ設定することを表明しています(図表1参照)。両国は今後ERM2が許容するプラスマイナス15%の範囲に為替レートが収まる運営が求められます。市場の圧力なく、ユーロとのペッグ制が少なくとも2年間維持された場合、他の条件も勘案して、正式加盟が可能となる運びと見られます。

どこに注目すべきか:ERM2、ユーロ加盟、欧州債務危機、財政

 ユーロ加盟国は現在19ヵ国です。15年にリトアニアが加盟して以降、ユーロ圏の拡大は止まっていました。ブルガリアとクロアチアは18年と19年にそれぞれERM2へ加盟申請をしており、今回承認されたことで、ユーロ加盟(加入)に近づいたことになります。市場では早ければ2023年頃の加入が見込まれています。

 欧州債務危機(2010年以降)の記憶からかユーロの存続に懸念も見られます。また、ユーロが発足(1999年)した後に、財政条件を緩和して加入を認めたギリシャ(2001年加入)の財政悪化が欧州債務危機の背景というトラウマもあり、ユーロ新規加入に対し慎重な姿勢も見られます。

 しかし、2007年のスロベニアを皮切りに、スロバキア(09年)、エストニア(11年)、ラトビア(14年)、リトアニア(15年)など東欧からの加盟国は比較的スムーズにユーロ圏に適応しているように思われます。

 同じ東欧で、将来的にユーロ加入が期待されるブルガリアとクロアチアも為替レートの動向や財政状況はこれまでのところ、概ね条件を満たしていると思われます。

 例えば、ブルガリアの為替レートは、過去数年、基本レートに設定された水準(1ユーロ=1.95583ブルガリア・レバ)で推移しています。また、財政を見ても、財政収支はほぼ均衡しており(図表2参照)、欧州委員会の予想では、新型コロナの影響で20~21、財政赤字、債務残高対GDP(国内総生産)比率は悪化しますが、比較的小幅となっています。

 また、クロアチアについては、ほぼ固定的なブルガリアに比べれば対ユーロで変動していますが、変動許容幅の15%から見れば小幅な変動と見られます。クロアチアの債務残高は欧州債務危機で拡大したため、足元でも比較的高水準ですが、コロナ前の19年には債務残高対GDP比率は73%と、15年に比べ11%も低下するなど改善しています。

 ブルガリアとクロアチアの人口を合わせても約1100万人で、ユーロ圏の規模拡大への貢献は小幅です。ただ、東欧からはルーマニアも加盟を模索するなどの動きが続いています。

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