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投資を始める前に知っておきたいこと⑫ 〜積⽴効果とは?〜
2021/09/02

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概要

・「平均」には様々な種類があり、調和平均は一定額を積⽴投資する場合の「ドルコスト平均法」が生み出す積⽴効果を考える上で役に⽴ちます。
・積⽴投資を活⽤して投資信託を毎⽉1万口ずつ買い付けていくと、平均買付単価は1万口当たりの基準価額の算術平均となり、毎⽉10,000円ずつ買い付けていくと、平均買付単価は1万口当たりの基準価額の調和平均となります。




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3つの平均

「平均」には様々な種類があり、一般的に使われる「平均」は代表的な3つの平均のうちの1つなのです。3つの平均は「算術平均(相加平均)」、「幾何平均(相乗平均)」、「調和平均」の3つです。一般的な平均は前回ご説明した「算術平均(相加平均)」のことです。「幾何平均(相乗平均)」は、対象となるデータを掛け算して、データの個数で累乗根をとることで求められます。「調和平均」は、対象となるデータの逆数の算術平均の逆数で求められます。例えば1、2、3という数字でこれらの平均を計算すると、算術平均は(1+2+3)÷3=2、幾何平均は3√(1×2×3)=1.82、調和平均は3÷(1/1+1/2+1/3)=1.64となります。

この3つの平均には、常に「相加平均≧相乗平均≧調和平均」という関係が成り⽴ちます。投資を考える上で、この3つの平均の考え⽅はとても役に⽴ちます。「幾何平均(相乗平均)」は平均収益率や平均成⻑率、平均変化率を考える上で役に⽴ちます。また、調和平均は一定額を積⽴投資する場合の「ドルコスト平均法」が⽣み出す積⽴投資効果を考える上で役に⽴ちます。

⽇本国債:FTSE⽇本国債指数 ⽇本株式:MSCI⽇本株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使⽤し、ピクテ投信投資顧問作成

積⽴投資の効果

1万口当たりの基準価額が10,000円、翌月5,000円、となった投資信託に⾦額指定で10,000円ずつ積⽴投資していたとすると、平均買付単価は算術平均の7,500円にはなりません。10,000円の時10,000円分で1万口買い、5,000円の時10,000円分で2万口を買い、合計20,000円で3万口を保有することになります。すると1万口あたりの平均買付単価は20,000円÷3万口×10,000=6,667円です。これは10,000円と5,000円の調和平均である、2÷(1/10,000円+1/5,000円)=6,667円と一致します。

投資信託を毎月1万口ずつ買い付けていくと、平均買付単価は1万口当たりの基準価額の算術平均となりますが、毎月10,000円ずつ買い付けていくと、平均買付単価は1万口当たりの基準価額の調和平均となります。調和平均は算術平均よりも小さくなる性質をもっているため、一定額の積⽴投資をすることで、算術平均価格よりも安い平均買付単価で投資していくことができ、⼤きな積⽴投資効果を⽣み出します(図表1)。算術平均が⼤きな数字の影響を強く受けやすい傾向があるのに対し、調和平均は小さな数字の影響を強く受けやすい傾向があります。積⽴投資を⾏うと、基準価額が安い時に多く買うことができるため、平均買付単価を低くする効果があります。この効果は、価格変動幅の⼤きいものほど⼤きな効果が得られます。

図表1:基準価額と平均買付単価の推移イメージ図

例:基準価額10,000円でスタートし、5年で2,000円まで下落し、その後5年で10,000円まで回復したファンドを毎月1万口ずつ購入した場合と毎月10,000円ずつ購入した場合

1万口ずつ購入した場合には基準価額5,467円(A)まで回復した時に損益がプラスになりますが、10,000円ずつ購入した場合には基準価額が4,400円(B)まで回復した時に損益がプラスになります。

積⽴投資をする際、口数指定の場合は買付単価が算術平均となり、⾦額指定の場合は買付単価が調和平均となります。調和平均は算術平均よりも小さくなる性質をもっているため、⾦額指定の⽅が買付単価が安くなります。

なお、例とは反対に基準価額10,000円でスタートし、高値をつけてから10,000円まで戻った場合には、積⽴投資をしていても、ピークからの下落局⾯で基準価額が買付単価を下回り、損益がマイナスになります。



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