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2021年8月の基準価額動向と運用方針
2021/09/27

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概要

2021年8月のノアリザーブの基準価額(分配金再投資後)は上昇しました。ジャクソンホール会議で量的緩和縮小と利上げを切り離し金融緩和の長期化が示唆されたことなどから先進国の株式は上昇しました。一方、新興国株式は中国当局による規制強化への懸念などから下落しました。金は上旬の下落が影響し月間で下落となりました。資産配分は債券の組入れ比率を引上げました。



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2021年8月の基準価額(分配金再投資後)は上昇

2021年8月31日のノアリザーブの基準価額は、前月末比で+28円の9,679円となりました。同期間の主な変動要因は、株式が+67円、債券が+1円、金が-15円、為替が+5円、分配金が-20円でした。基準価額(分配金再投資後)は前月末比+0.50%の上昇となっています(図表①参照)。なお、円資産の比率は、前月末より低下し、59.3%となりました。

運用方針:債券の組入れを引上げ

当月の投資行動は、資産配分では、債券の組入れを引上げました。

株式部分では、世界経済が好調さを維持しているものの、回復ペースは徐々に緩やかなものになっていくとの見方から、ピクテ・テーマ戦略などを一部売却し、世界(新興国含)高配当公益株式や世界ウォーター関連株式といったディフェンシブ性の高い銘柄の組入れを拡大しました。

債券部分では、世界経済の景気回復ペースの鈍化などを背景に長期金利の低下余地は依然として残されているとの見方から、米ドル建て公共債券や米国超長期国債、ユーロ建て債券などを追加で買い増し、ポートフォリオの金利感応度を引上げました。

ファンドのリスク(価格変動)は新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下

ノアリザーブの設定来のリスクは、株式等と比較すると相対的に低位に推移してきました。リスク(価格変動)水準は、新型コロナウイルスの影響で先行き不透明感が高まった2020年3月に急上昇しましたが、足元では新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下しています(図表②参照)。

ノアリザーブと主要資産の騰落率

2021年8月は、米国株式や先進国の株式やドル建て新興国国債などが上昇しました(円ベース)。一方、金や新興国株式、先進国の国債などは下落しました(円ベース)。このような状況下、ノアリザーブの基準価額(分配金再投資後)は上昇しました(図表③参照) 。

世界の株式市場は米国の早期金融引き締めに対する懸念が後退する中、米国株式や欧州株式などが上昇しました。一方、新興国株式は中国の規制強化を巡る懸念などから下落しました。また金は上旬にかけて大きく下落したことが影響し月間でも下落となりました。

今後の運用方針~やや警戒感を強めながらも現状のリスク水準を維持

今後の運用方針については、やや警戒感を強めながらも現状のリスク水準を維持する方針です。

世界経済は、引き続き欧米を中心とした好調な状態が継続しているものの、中国における景気回復鈍化の動きが鮮明になっているほか、新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大によるサプライチェーンの寸断などの影響も懸念され、かつてのような景気回復の勢いは見られなくなってきています。

こうした中で、株式市場においては高値警戒感が燻っており、短期的な調整圧力が警戒されます。しかし、中国の追加金融緩和やFRBのテーパリングの先送りなどが相場を押し上げるシナリオも否定できません。こうした認識に基づき、現段階においては足元のリスク水準を概ね維持し、景気動向や金融政策の転換など、投資環境の変化を慎重に見極めることとする方針です。

当面の変動には注意が必要

ノアリザーブは、市場環境の見通しに変化がある場合、「円安、インフレに備える局面」、「円高に備える局面」、「金利上昇に備える局面」など市場の様々な局面に応じて資産配分の変更を行います。世界ではワクチン接種が拡大しているものの、新型コロナウイルスはデルタ変異株による感染拡大が続いており、依然として先行きに不透明感があります。また、マクロ経済株式:中立を継続や米国金利などの動向が株式や債券、金、為替に大きな影響を与える可能性があります。

市場の動きに配慮しつつ、引き続きバランスの取れたファンド運営を心がける方針です。

株式:中立を継続

【地域・市場別では日本株式の投資判断をやや弱気に、米国株式を中立に変更】

足元の世界経済の成長鈍化は、景気敏感株に影響を及ぼしています。足元の数ヵ月間、景気敏感株がディフェンシブ株に出遅れているのは、経済指標が、市場予想を大幅に上回る状況が見られないためです。こうした状況は当面続くと思われることから、日本株式をやや弱気にみており、景気敏感株の削減を行いました。日本経済は、危機的状況に直面しています。新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、ワクチン接種が他の先進国に大きく出遅れ、経済活動や消費者心理に影響が及んでいるからです。また、民間部門の信用創造が振るわず、9年ぶりの低水準を付ける状況に直面するなど、日本銀行も景気浮揚に苦慮しています。ピクテの景気先行指標は3ヵ月連続で低下していますが、日本は中国の景気減速と外需縮小にとりわけ脆弱であると思われることから、先行きは明るいとはいえません。こうした状況を勘案し、日本株式についてはやや弱気にみています。

一方、米国株式の先行きには楽観的な見方を強めています。ピクテのバリュエーション・モデルでは、米国株式が最も割高ですが、やや弱気から中立への引き上げを促す複数の兆しが散見されます。まず、米国経済が長期トレンドを大きく上回って成長しており、名目GDP成長率が、今年(2021年)、来年(2022年)共に、10%近辺に達すると見込まれています。

次に、新型コロナウイルスの新規感染者数がピークを付けたと考えられます。また、FRBは量的金融緩和の拙速な縮小を望んでいるとは思われないことから、金融政策も引き続き相場の支援材料になると考えています。企業業績も好調です。ピクテのモデルでは、米国企業に関して、他の先進国や新興国の企業以上に、アナリストによる業績予想の上方修正におけるモメンタムが強く出ていることが示されています。

ユーロ圏株式は魅力的であるとの見方を継続しています。サービス活動の指標は、新型コロナウイルス感染が拡大する前の時期を上回る水準で安定的に推移しており、域内の小売売上高も新型コロナウイルス感染拡大前のトレンドを回復しています。ピクテのモデルは、域内企業の利益予想の大幅な上方修正を示唆しています。こうした企業の多くは、経済再開の恩恵に浴する割安株(バリュー株)で、不動産株や債券利回りの上昇が業績の追い風となる金融株などが含まれます。

【業種別では、金融と不動産のやや強気、一般消費財・サービスのやや弱気を継続】

バリュエーションの割安感が際立つ不動産セクターと金融セクターのやや強気を維持する一方で、一般消費財・サービスセクターはやや弱気を継続します。

債券・為替:中国国債のやや強気を継続

【中国国債のやや強気を継続】

中国債券は、世界的な低金利環境下においても魅力的な投資機会を提供する資産と考えています。中国債券はボラティリティが低く、流動性が拡大基調にあることに加え、10年国債利回りも2.8%台と魅力的です。中国では、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた一部地域のロックダウンや旅行規制に起因して消費の低迷が続いており、ピクテの景気先行指数は低下基調を辿っています。このような状況を受けて、中国人民銀行が金融政策において、緩和的な姿勢を強めていることも、債券市場の追い風です。同行は、経済の減速に対応し、7月に預金準備率を50ベーシスポイント(0.5%)引き下げており、一段の金融緩和の準備を整えているものと思われます。量的金融緩和の縮小を検討しているFRBとは対照的な状況です。ピクテのテクニカル指標も強気のトレンドを示唆しています。

【米国国債は中立を継続】

米国国債は中立を維持します。足元の10年国債利回りは、1.3%前後と、ピクテのモデルが示唆する適正水準を0.4%前後下回ります。しかしながら、利回りの急上昇は見込まれません。足元のインフレ圧力は、主に、サプライチェーン上の制約と中古車等、新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けやすい一部の品目に対する需要に起因するものであり、このような要因で消費者物価指数(CPIコア指数)が2.5%程度押し上げられていると考えられます。こういった影響等を除けば、CPIコア指数の上昇は、前年同月比+1.6%と緩やかな上昇に留まります。FRBの高官が、物価動向を巡って激しい議論を交わしたことが明らかになっていますが、2022年2月に任期満了となるパウエルFRB議長の再任が有力視される中では、FRBが拙速にテーパリングに踏み切って金融市場を不安定化させるリスクを冒す必然性は乏しく、時間をかけて慎重に判断する可能性が高いと考えています。

【英ポンドのやや弱気を継続】

為替市場では、堅調な国内経済を追い風に、2ヵ月前に底入れした米ドルが10ヵ月ぶりの水準を回復しています。しかしながら、米ドルの急上昇が今後も繰り返されるとはみていません。したがって、主要通貨は概ね中立にみています。例外は、やや弱気にみている英ポンドです。英国では、イングランド銀行が債券買入の縮小に着手しており、徐々に金融引き締めを進めていく準備を始めています。こうした状況は、依然として脆弱な国内経済に打撃を及ぼす可能性も考えられます。



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