- Article Title
- 2025年の新興国株式市場と運用の振り返り
・2025年は新興国株式が先進国株式を上回って推移してきた
・当ファンドは中長期的に新興国株式市場を上回るリターンを記録してきた
・金鉱山関連銘柄や、AI(人工知能)半導体関連銘柄への投資がリターンに貢献
2025年は新興国株式が先進国株式を上回って推移してきた
2025年の新興国株式は大きく上昇し、騰落率では先進国株式を上回って推移してきました。主要な資産の中では金に次いで高い騰落率となりました(2025年12月19日現在)。
新興国株式市場に資金が流入してきた背景には、米国の保護主義的な姿勢に対する不信感や政策の不確実性が米国への集中投資に関するリスクを浮き彫りにしたことで、国際分散投資への転換が進んだことが考えられます。米国の政府債務に対する懸念などから米ドルの下落(新興国通貨の上昇)が予想されることや、新興国の多くでインフレの落ち着きを背景として緩和的な金融政策の維持が予想されることなども新興国株式市場に資金が流入する要因となりました。
当ファンドは中長期的に新興国株式市場を上回るリターンを記録してきた
2025年の新興国株式市場では、中国や台湾、韓国の配当利回りが低い大型テクノロジー銘柄の上昇率が顕著となりました。一方で、ピクテ新興国インカム株式ファンド(毎月決算型/1年決算型)(以下、当ファンド)ではそのような銘柄への投資が限定的であったことから、2025年のリターンは新興国株式市場を下回りました。
ただし、当ファンドでは、配当利回りの高さに着目し、配当の持続的な成長が期待される企業の株式に投資することで、中長期的に新興国株式市場を上回るリターンが獲得することが可能であると考えています。過去の実績では、3年、5年、10年の期間において当ファンドは新興国株式市場を上回るリターンを獲得してきました。
新興国株式市場で配当に着目した投資を行うメリット
新興国経済の成長は労働人口や所得の増加、産業構造の変化などを伴う長期的なプロセスであり、その成長が企業価値や株価に反映されていく過程も長期に亘ることが想定されます。その過程では、急速な成長を遂げる企業の株価の急騰など、短期的な投資機会に注目が集まることもありますが、収益や財務の基盤が脆弱な企業や、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の水準が低い企業なども混在し、そのような企業への投資がリターンの棄損につながるリスクもあります。玉石混交とも言われる新興国株式市場で長期的に良好なリターンの獲得を目指すうえでは、持続的な成長が可能であると投資家から信頼される企業を見極めることが重要であると考えます。
そのような中で、持続的な配当の成長が期待される企業は、その原資となる利益の成長が見込まれるほか、キャッシュフローの創出力が高く、財務状況が健全な傾向があると考えます。また、「利益を将来の成長のために再投資し、余剰を配当などの形で株主に還元する」という規律ある資本配分を実践する企業は、資本効率や株主価値の向上を重視する姿勢が強い優良企業であるとも考えられます。当ファンドでは、このような銘柄に選別投資を行い、市場環境見通しなどに応じて機動的な配分を行うことで、中長期的に新興国株式市場全体を上回るリターンの獲得を目指します。
当ファンドの基準価額への寄与度が大きかった主な銘柄
2025年の当ファンドの基準価額の上昇に寄与したのは、高配当かつ高い業績の成長が期待される世界的なテクノロジー大手企業である韓国のサムスン電子や、中国を拠点とする金属採掘企業のズージン・マイニング・グループなどへの投資でした。一方で、南アフリカの小売大手企業のフォスキーニ・グループなどへの投資は基準価額にマイナスに作用しました。
サムスン電子は、AI半導体や半導体受託製造といった成長分野において競合企業に先行を許していたものの、大規模な新規案件の獲得や技術の進展に対する期待が高まったことなどが株価上昇の主な要因となりました。韓国企業の企業価値向上などを目的に韓国政府が推進する「バリューアップ・プログラム」を通じたコーポレート・ガバナンスの向上や積極的な株主還元の実現に向けた取り組みも投資家からの期待を高める要因になったとみられます。当ファンドでは、年初より当銘柄の組入比率を高位に維持して運用を行いました。今後も業績の高い伸びが期待できると考えていますが、株価の上昇に伴い配当利回りが低下したことから、足元では組入比率を低下させる対応を行いました。
ズージン・マイニング・グループは、金価格の大幅な上昇に加え、AIデータセンターの急速な拡大や再生可能エネルギー分野の成長に伴う電力インフラへの需要増加を背景に、銅価格が上昇したことなどから株価が上昇しました。今後も、金については地政学リスクへの懸念などが価格上昇の構造的な要因になると予想されるほか、銅については世界的な供給の制約などが価格を下支えする要因になると考えられます。このような環境下、生産能力の拡充やコスト管理を通じた収益基盤の強化により、安定したキャッシュフローと株主還元の強化が期待されることなどから、当ファンドでは保有を継続しています。
フォスキーニ・グループは、燃料価格の上昇といったインフレの高止まりを背景に消費者の購買力が低迷し、競合との値下げ競争などに伴い収益性が悪化したことなどから株価が調整しました。しかし、今後は南アフリカ政府による輸入課税の強化により、海外のオンライン小売企業との競争環境が改善する可能性があるほか、足元ではインフレ率の低下や政策金利の引き下げが進み、実質賃金の上昇が家計消費を下支えすると期待されています。さらに、不採算店舗の整理やデジタル戦略の強化などを経て収益性の向上が期待される一方、株価バリュエーション(投資価値評価)は割安な水準にあり、配当利回りも高水準を維持していることから、当ファンドでは保有を継続しています。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。
お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。
関連記事
| 日付 | タイトル | タグ |
|---|---|---|
|
日付
2023/09/27
|
タイトル 新興イン | 株式投資の次の一手は? ~割安な新興国高配当株式に注目 | タグ |
|
日付
2023/05/30
|
タイトル 新興イン | 新興国と先進国の経済成長率格差拡大は、 新興国株式に追い風か? | タグ |
|
日付
2022/12/22
|
タイトル 歴史的にも相対的にも割安な新興国高配当株式(2022年11月末アップデート) | タグ |
|
日付
2022/08/30
|
タイトル 新興イン | 相対的に割安な新興国高配当株式~PER水準別・投資期間別の株価騰落率に注目 | タグ |
|
日付
2021/12/07
|
タイトル 新興国金融市場の自由化 | タグ |
|
日付
2021/11/26
|
タイトル 物価上昇局面では新興国高配当株式に投資すべきか? | タグ |
|
日付
2021/10/29
|
タイトル 商品価格の上昇は新興国株式市場に追い風か? | タグ |
|
日付
2021/10/13
|
タイトル 中国の不動産リスクの新興国株式への影響は? | タグ |
|
日付
2021/08/04
|
タイトル 景気拡大かつ物価上昇局面での新興国株式市場 | タグ |
|
日付
2020/12/25
|
タイトル 新興国高配当株式の投資機会到来とみる理由 | タグ |
|
日付
2020/09/30
|
タイトル 米ドル相場から読み解く新興国株式の今後 | タグ |
|
日付
2020/09/17
|
タイトル 今、改めて新興国株式の投資魅力を考える➁ | タグ |
|
日付
2020/09/09
|
タイトル 新興国株式で今、起きていること 2020年9月 | タグ |
|
日付
2020/09/01
|
タイトル 今、改めて新興国株式の投資魅力を考える① | タグ |
|
日付
2020/07/10
|
タイトル 新興国株式の重石となっていた資源価格に回復の兆し | タグ |
|
日付
2020/06/08
|
タイトル 引き続き全体としては慎重な見方を継続 | タグ |
|
日付
2020/06/03
|
タイトル 景気回復への確信が高まる局面での「バリュー株」復活に期待 | タグ |
|
日付
2020/05/27
|
タイトル 2020年年初来の新興国株式市場と当ファンドのパフォーマンス | タグ |
|
日付
2020/05/22
|
タイトル 新興国企業の配当持続性に期待 | タグ |