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米国への集中リスク回避で注目したい新興国株式
2025/09/29

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概要

・新興国の株式市場は年初来、先進国の株式市場を上回って推移してきた
・米国の政策の不確実性も米国への集中投資から国際分散投資への動きを後押し



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新興国の株式市場は年初来、先進国の株式市場を上回って推移してきた

新興国の株式市場は2025年年初より堅調に推移し、騰落率では米国など先進国の株式市場を上回っています(円ベース、2025年9月25日現在)(図表1)。

近年、株価の好調な推移を背景として、世界的に投資家が資金を米国の株式市場に振り向ける動きが強まりました。しかし、2025年以降はトランプ米政権の保護主義的な姿勢に対する不信感が強まったことに加え、政策の不確実性が米国への集中投資に関するリスクを浮き彫りにしたことから、国際分散投資への転換が進み、新興国の株式市場にも資金が流入したと考えられます。米ドルに対して新興国通貨が上昇したことや、新興国の多くで金融緩和が見込まれていることに加え、新興国の株式市場の割安なバリュエーション(投資価値評価)なども追い風になったと考えられます。

国別では韓国や南アフリカなどの上昇率が顕著となりました。韓国は、AI(人工知能)半導体向け需要の拡大に加え、政権交代に伴うコーポレート・ガバナンス改革に向けた取り組みへの期待などが株式市場の上昇要因になったと考えられます。また、南アフリカは金などの資源価格の上昇や、中央銀行が緩和的な金融政策を実施していることなどが資金流入の背景にあると考えられます。


値動きの大きい新興国の株式市場だからこそ実践したい「分散投資」

高い経済成長への期待などが新興国株式投資の魅力ですが、単一の国や通貨に対する集中投資は、そのリスクを十分に考慮して行う必要があるといえます。図表2は、過去の主な新興国株式と米国株式の騰落率ランキングの推移です。これを見ると、年ごとに上位・下位の入替わりが激しいことや、国ごとの騰落率の格差が大きいことが分かります。例えば、2025年(右端)の騰落率4位のブラジル(緑色)の過去の推移をみると、2022年や2023年は好調で騰落率上位となった一方で、前後の2020年、2021年や2024年には下位に沈むなど、相対的な好不調の変化が大きかったことが示されています。

このように、新興国の株式市場は短期的な変動が大きくなる傾向があるため、長期的な視点で投資を行うことが重要となります。また、新興国経済の高い成長率を捉えることを目標とするであれば、投資対象を特定の国に絞るのではなく、新興国の株式市場全体に幅広く分散投資を行うことも有効な手段であると考えられます。


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