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- 金が米ドルに次ぐ存在へ~外貨準備の新たな潮流
・中央銀行の外貨準備に占める金の割合は2000年以降の最高水準に
・外貨準備運用の世界で新たな潮流が根付いているとみられる
・新興国において、「無国籍通貨」とされる金の重要性は高まる可能性
■中央銀行の外貨準備に占める金の割合は2000年以降の最高水準に
世界の中央銀行などが保有する外貨準備において、金の存在感が高まっています。外貨準備とは、各国が急激な為替変動を抑えるため、為替介入の原資として用いられるほか、緊急時に対外債務の返済や輸入代金の決済に備えるための大切な資金です。
国際通貨基金(IMF)および国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシルによると、金の外貨準備に占める割合は20年前(2005年3月末)の13.6%から最新のデータ(2025年3月末)では23.5%となりました。近年の金価格の上昇の影響はあるものの、金は米ドルに次ぐ準備資産であり、その水準は2000年以降の最高水準となりました。外貨準備運用の世界で新たな潮流が根付いているのは確かと言えそうです。
各国中央銀行が外貨準備として金を保有する背景には、危機的状況下でのパフォーマンスや効果的なポートフォリオ分散手段、長期的な価値の保存/インフレヘッジの手段などが挙げられます。そうした中、注目される動きは新興国の中央銀行による金買いの拡大です。
※円グラフの大きさは比較感を平易に示したもので実際と異なります。
※構成比は四捨五入して表示しているため、それを用いて計算すると合計が100%とならない場合があります。
※金の比率は市場価格を用いて算出。※図表の作成に用いた中央銀行が保有する金と、外貨準備の通貨構成の統計は対象国が異なります。
出所:国際通貨基金(IMF)、ワールド・ゴールド・カウンシルのデータを基にピクテ・ジャパン作成
データ・分析等は過去の実績や将来の予測に基づくものであり、運用成果や市場環境等を示唆・保証するものではありません。
■ 新興国において、「無国籍通貨」とされる金の重要性は高まる可能性
リーマン・ショックやユーロ・ソブリン危機などをきっかけに、米ドルやユーロなどの主要通貨に対する信頼が揺らぐ中、新興国の中央銀行は、特定の通貨への依存度を下げ、外貨準備の多様化を図っているとみられます。特に、2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、制裁リスクのある米ドルから金に資金を移す動きが目立っています。実際、外貨準備上位の国々を例に見てみると、外貨準備における金の保有量を大幅に増加させているのが新興国です(図表2)。
ワールド・ゴールド・カウンシルの算出によると、世界の中央銀行の外貨準備に占める金の保有割合は平均で20%超となっていますが、金の保有額を増やしてきた中でも、中国やインド、ブラジル、メキシコなどの主要新興国の水準は平均よりも低い状況にあります。これらの国々が国際社会で存在感を増す中、自国の金融主権の強化を図り、過度な米ドル依存を低減する動きを継続させると予想されることから、特定の国と結びつかない「無国籍通貨」とされる金の重要性はますます高まると考えられます。
※水色は先進国、赤は新興国。先進国、新興国の区分はMSCIの定義に基づく
出所:ワールド・ゴールド・カウンシルのデータを基にピクテ・ジャパン作成
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