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- 米国・イスラエルとイランの軍事衝突:投資家のためのシナリオ
米国・イスラエルとイランの軍事衝突が、世界の金融市場を混乱させています。投資家が考慮すべきシナリオをご紹介します。
米国・イスラエルとイランの軍事衝突および、それが地域紛争へと発展するリスクが、世界の金融市場に混乱をもたらしています。原油および欧州のガス価格は急騰し、株式市場は大幅に下落しています。
現在の懸念は、世界がロシアによるウクライナ侵攻後に見られたような、激しいエネルギー価格ショックを再び経験する可能性があることです。
こうした事態を完全に否定することはできませんが、当社の基本シナリオではありません。一般に、地政学的危機が経済成長や金融市場に長期的なダメージを与えることは稀です。1970年代の石油危機は大きな例外ですが、その再来を示唆する兆候は現時点ではほとんど見られません。
現在の世界経済は当時と比べて石油依存度が大きく低下しており、米国は石油の純輸出国となっています。世界全体でみても原油の供給量は十分であり、各国の備蓄も概ね適切な水準に保たれています。
このため、仮に原油価格が30%上昇した場合でも、世界のGDP成長率を押し下げる影響は約0.2ポイントにとどまり、インフレ率も1ポイント強の上昇にとどまると想定されます。
もっとも、経済や市場に影響を与える要因は原油価格だけではありません。投資家のセンチメントも重要な要素であり、この点では、現在の市場は相対的に脆弱に見えます。
株式などのリスク資産は、米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃が行われる数週間前から、不安定な均衡状態にありました。市場は、マクロ経済のファンダメンタルズ改善と、米国ハイテク株の先行きに対する信認低下という二つの要因の間で揺れていたため、株式の値動きは通常以上に変動が大きくなる可能性があります。
今後の市場動向をより深く理解するため、当社では複数の紛争シナリオを検討し、その影響を分析しました。
経済・市場シナリオ
出所: Pictet Asset Management, LSEG.
*期間:2026年2月25日~2026年3月4日
考慮すべきシナリオ
紛争がロシアや中国などを巻き込む形で大幅に拡大しない限り、株式市場の下落は多くのシナリオにおいて限定的にとどまると見込まれます。
債券市場は当初、原油価格の上昇に伴うインフレ率の高止まりを織り込む形で、厳しい展開となる可能性があります。一方で、より深刻な原油高は、個人消費や企業マインドを冷やし、利下げ期待の高まりを通じて債券利回りの低下につながることが想定されます。
金は高い流動性を有する価値の保存手段であり、長期的にはインフレに対する戦略的なヘッジとして機能することから、恩恵を受けやすい資産になると考えられます。ただし、短期的には地政学リスクの高まりや金利見通しの変化により、価格変動が大きくなる可能性は残ります。米ドルも、安全資産としての需要の高まりに加え、米国が主要なエネルギー生産国であることから、当面は上昇基調が続くと見込まれます。その後、紛争が沈静化し、市場のリスク回避姿勢が後退すれば、米ドルは徐々に反落へと転じる可能性があります。
最も穏やかなシナリオでは、紛争は早期に収束し、イランは軍事的に弱体化する一方で、現政権は存続すると想定しています。これとは対照的に、最も極端なシナリオでは、軍事衝突が地域を超えて拡大する能性は低いものの、起こりえる事態として考慮しています。
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