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2023年12月のバイオ医薬品市場
2024/01/22

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概要


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■ バイオ医薬品関連企業の株価動向

12月のナスダック・バイオテクノロジー指数(ドルベース、配当含まず)は大きく上昇しました。

米連邦準備制度理事会(FRB)高官のハト派姿勢を強める発言や長期金利の低下がバイオ医薬品株式の上昇要因となりました。バイオ医薬品銘柄は、市場全体に対して出遅れ感があることから、マクロ経済環境が利回り低下を促す状況が続けば、株価には上値余地があると見ています。バイオ医薬品業界のM&A(合併・買収)の動きは、ブリストルマイヤーズスクイブ(米国)がカルナ・セラピューティクス(米国)を総額140億米ドルで買収することを発表するなど、引き続き好調な推移となりました。

株価が上昇した銘柄としては、イミュノジェン(米国)、モデルナ(米国)、ブループリント・メディシンズ(米国)などが挙げられます。イミュノジェンは、米医薬品大手アッヴィに約101億米ドルの規模で買収されたことを受けて株価が急騰しました。モデルナは、2022年末から続いた株価の低迷から反発しました。ブループリント・メディシンズは、非進行型全身性肥満細胞症(ISM)治療薬アイバキット発売後の売上げが、今後数四半期にわたって好調を維持するとの期待を背景に株価が堅調な動きとなりました。

一方、株価が下落した銘柄としては、アルジェニクス(オランダ)などが挙げられます。アルジェニクスは天疱瘡治療薬候補の治験失敗を受けて株価が大きく下落しました。



■ 今後のバイオ医薬品市場見通し

足元、バイオ医薬品株式市場では、良い兆候がみられています。M&A(合併・買収)の動きは大型案件が相次いで発表されており、この傾向は継続するものと期待されます。特にフェーズ2で良好な治験結果が示された治療薬候補を有するなど買収後のリスクの低い銘柄が注目されます。新薬の開発では、遺伝子治療や免疫学系、循環器系、中枢神経系、がん領域などが注目されます。米国のインフレ抑制法案については、財務上の重大な影響はないものと思われますが、M&Aのターゲットとされる企業が変わる可能性や、がん領域および低分子化合物におけるイノベーションへのマイナスの影響、治療薬について新たな適応拡大を追求するかどうかに関連した戦略の変更が予想されます。また2024年は米大統領選挙が控えており、その影響についても注意深く見ていく必要があると考えます。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。

最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。







■バイオ医薬品関連企業の売上高は新薬承認後の業績寄与などにより相対的に高い伸びに

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)
バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬承認後の業績寄与が期待されていることから、今後3年間で年率+11.8%の相対的に高い売上高の伸びが予想されています。(図表7参照)




■売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)



■バリュエーション

バイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて2021年夏頃までは株価が上昇し、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇していましたが、2021年秋以降は新薬承認申請に対するFDAの予想外の決定などがマイナス要因となったことに加え、2022年半ばにかけてナスダック市場の下落が大きくなる中、ナスダック・バイオテクノロジー指数も下落したことから、PSRも低下しました。(図表9参照)
足元は、良好な治験結果の発表や、再びバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目され、PSRは上昇に転じつつあります。






 


                                                                    

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