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IMF世界経済見通し、上方修正の要因とメッセージ
梅澤 利文
2021/04/07

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概要

国際通貨基金(IMF)は4月6日に世界経済見通しを発表しましたが、加盟国(20年10月、190カ国)全体の通貨動向や雇用や経済発展、国際貿易に関与する機関だけに、そのメッセージもバランスに配慮している印象です。ワクチン接種の進展や経済対策を背景に世界経済見通しを上方修正する一方で、新興国、とりわけ低所得国などへの配慮を求める内容となっています。



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IMF世界経済見通し:経済対策の効果で経済見通しは上方修正だが格差を警告

国際通貨基金(IMF)は2021年4月6日に最新の世界経済見通し(WEO)を公表しました。21年の世界成長率の予測を6%と、前回(21年1月)の5.5%から上方修正しました(図表1参照)。ただ、各国内および先進国と発展途上国との格差拡大や乖離(かいり)に警鐘を鳴らしました。

今回の上方修正のけん引役となったのは米国で21年の成長率は6.4%と大型の追加経済対策を背景に前回の5.1%から大幅に上方修正されています。

どこに注目すべきか:IMF、世界経済見通し、ワクチン接種、DSSI

国際通貨基金(IMF)は加盟国(20年10月、190カ国)全体の通貨動向や雇用や経済発展、国際貿易に関与する機関だけに、そのメッセージもバランスに配慮している印象です。ワクチン接種の進展や経済対策を背景に世界経済見通しを上方修正する一方で、新興国、とりわけ低所得国などへの配慮を求める内容となっています。

まず、各国の主な特色を見ると、米国はワクチン接種の進展と巨額の財政出動で1.3%の大幅な上方修正となっています。昨年末に成立した総額約9000億ドルの追加経済対策に加え、先月には1.9兆ドルもの追加経済対策を成立させています。米国のGDPがコロナ危機前の水準に回復するのは21年前半とIMFは想定しています。

ユーロ圏の21年成長率は4.4%が今回予想されており、前回からの修正幅は0.2%に留まります。ユーロ圏のワクチン接種の遅れ、また一部の国での深刻な感染再拡大、さらに今だに本格化していない財政出動などが背景と見られます。この点を確認する意味で、ユーロ圏の22年の成長率見通しを見ると3.8%と、米国の22年の成長率見通しの3.5%を上回っています(図表2参照)。財政政策として期待の高い欧州復興基金の稼動が年後半以降に(遅れるとの懸念はあるが)見込まれることや、ユーロ圏のワクチン接種の今後の拡大を来年の予想に反映させたと見られます。

なお、IMFがヘッドラインに示す経済見通しはメインシナリオに基づいた経済予想ですが、サブシナリオがいくつか示されています。その中でワクチン接種が10%ほど早まった場合、世界の成長率は21年が0.5%、22年は1.0%をメインシナリオの成長率に上乗せすることが期待できると推定しています。

反対に、供給のボトルネックなどによりワクチン接種に遅れが出た場合21年は1.5%、22年は1.0%ベースラインから引き下げる必要があるとの試算を紹介しています。非対称な試算結果を示すと共に、現在ワクチン接種の遅れが深刻な低所得国への配慮というメッセージも含まれているように思われます。

WEOの中で、今回の危機の特色として倒産が少ないことを指摘しています。典型的な景気後退局面では倒産が増える傾向にありますが、今回はむしろ減っています。これは前例のない経済支援の効果とみられます。しかし、恐らくIMFのメッセージは低所得国への支援は今後も必要ということと見られます。G20の債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)には73もの国がいまだに関与していることも指摘しているからです。


梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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