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- 市場予想を上回るインドのCPIにやや警戒感
中央銀行は利上げが最終局面に近いとき、利上げの累積効果を見守る、という表現を使う傾向がみられます。インド中銀も最近の議事要旨などで同様の表現を使っており、利上げの最終局面が近いとは思われます。ただし、6月のインドのインフレ率は主に食品(野菜)価格の上昇により市場予想及び前月を上回りました。インド中銀は物価に対しやや警戒感を高める可能性があるように思われます。
インドの6月の消費者物価指数は市場予想を上回る結果に
インド統計局(インド統計・計画実施省中央統計局)が2023年7月12日に発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.81%上昇と、市場予想の4.6%上昇、前月の4.25%上昇を上回りました(図表1参照)。食品価格の上昇が市場の想定を上回ったことなどが、今回のCPIの予想を超える上昇の背景とみられます。
インド商工省が6月14日に発表した5月の卸売物価指数(WPI)は前年同月比でマイナス3.48%となり、市場予想、前月を下回りました(図表1参照)。WPIの6月分は7月14日に発表が予定されていますが、市場では6月は前年同月比でマイナス2.5%程度の下落が続くと見込んでいます。
インドのCPIとWPIの動向に差異がみられる
インド準備銀行(中央銀行)の金融政策について、筆者は当面政策金利は据え置かれ、その次のステップは利下げと述べてきました。この考えの大枠に変更はありませんが、今回のCPIを受け、食品価格に注意を払う分、据え置き期間がやや長期化する可能性もあるとみています。
インドのインフレ率の特色を簡単に確認します。図表1にあるように主に最終商品の価格動向を反映するCPIと、原材料価格など企業間取引価格を反映するWPIの差異が拡大傾向です。この主な理由は指数の構成に求められます(図表2参照)。CPIでは食品が約46%であるのに対し、WPIでは食品関連は23%弱にすぎません。なお、WPIでは昨年比で価格が弱含んでいる製造業関連が65%弱、同じく燃料(エネルギー関連)が約13%と指数の大半を占めていることが前年に比べマイナス傾向となっている背景とみられます。
一方、インドのCPIは食品が半分近くを占め、その食品価格が上昇に転じたことが6月のCPIを押し上げた主な要因とみられます(図表3参照)。
なお、米国のインフレ要因となっているサービス部門はインドのCPIではヘルスケアや、教育、娯楽関連を含むその他が主に該当し、3割以下となっています。サービス部門のCPIにおける構成割合は相対的に低く、CPIへの影響も低いとみられます。
インド中銀は当面、食品価格に注意を払う必要があると思われる
インドの6月の食品CPIは前年同月比で4.6%上昇し前月を上回りました。主に野菜価格の上昇が食品CPIを押し上げました。野菜価格は6月に前月比で12.5%と高騰し、価格上昇は7月も続いていると報道などで伝えられています。
なお、菜食主義者が多いインドでは野菜価格の高騰は国民生活に打撃となることが懸念されることから、インド中銀も当面は食品の価格動向を注視するものと思われます。
インドの食品価格を占ううえでモンスーン(夏季の南西風がもたらす雨季、農作物の生産を左右する傾向がある)が注目されます。今年はモンスーンの開始が遅れましたが、その後雨量は増えており、今後の展開に注意は必要です。そのうえ、今年はエルニーニョ現象の影響が懸念されています。例えば隣国のタイでは雨量が少なく米作に影響が出ている模様です。インド中銀の議事要旨(6月の金融政策委員会)においてもエルニーニョ現象の食品価格への影響をモニターする必要性について言及しています。
なお、インド中銀が今回の議事要旨で示した今年度のインフレ率見通しは年率5.1%上昇で、前回の5.2%上昇から小幅引き下げています。しかし、期間ごとにみると4-6月期のインフレ率は4.6%上昇としています。すでに足元で野菜価格が高騰しているうえ、天候の影響が懸念されることから、今後の展開次第では上方修正を迫られる可能性も考えられます。
インド中銀の中期的な物価目標はCPIで4%と定め、2〜6%を許容範囲としています。しかし、インド中銀のダス総裁は物価目標の上限(6%)を下回るだけでは不十分で、あくまで4%が目標であることを示唆しています。景気への配慮から、将来的な利下げは頭の片隅にあるのかもしれませんが、目先の食品価格の動向に不安がある中、当面はインフレの落ち着きを優先する構えと思われます。
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