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IMF世界経済見通し、依然下振れリスクを警戒
梅澤 利文
2019/07/24

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概要

今回のIMFの世界経済見通しは、貿易問題や地政学リスクを背景に低迷を続ける世界経済動向を懸念するトーンとなっています。ただ、IMFが指摘する景気悪化要因は、前回と変わっていないことから、新たな下押し材料が生まれたというよりは、状況が改善しないことを警告するトーンとなっています。



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IMF世界経済見通し:貿易摩擦などを背景に世界経済成長率予測を下方修正

国際通貨基金(IMF)は2019年7月23日に世界経済見通し(WEO)を公表しました。19年の世界成長率を3.2%、20年を3.5%と見込み、いずれも前回(4月時点)の予測から0.1ポイント下方修正しました(図表1、2参照)。

世界のモノとサービスの貿易量の伸びは19年が0.9ポイント下方修正され、2.5%を見込んでいます。IMFは、貿易や英国の欧州連合(EU)離脱など政策の不確実性が景気回復を抑制するリスクを警告しています。

 

 

どこに注目すべきか:世界経済見通し、下方修正、貿易戦争

今回のIMFの世界経済見通しは、貿易問題や地政学リスクを背景に低迷を続ける世界経済動向を懸念するトーンとなっています。ただ、IMFが指摘する景気悪化要因は、前回と変わっていないことから、新たな懸念が生まれたというよりは、状況が改善しないことを警告するトーンとなっています。

なお、20年の見通しは、①金融市場の心理改善、②ユーロ圏などの一時的なマイナス要因解消、③アルゼンチンやトルコなど一部新興国の安定化、④その他地政学リスク回避、という前提で3.5%へ改善を見込んでいます。来年の回復と景気後退回避が基本シナリオというIMFの従来からの説明は整合的ですが、シナリオの前提にやや楽観的な面も見られます。その前提で来年まで見越すと世界経済成長率は3.5%程度と、世界景気の不況感が強まるといわれる3%水準を小幅上回るに過ぎません。IMFはバイアスとして上振れよりは下振れリスクを指摘している点に注意は必要です。

地域別に見ると、先進国では米国の19年成長率が0.3%上方修正されています。これは19年1-3月期GDP(国内総生産)が前期比年率3.1%と想定以上に好調であったことを反映したテクニカルな上方修正です。今後は、トランプ政権が実施した財政政策の効果剥落に伴い、20年は1.9%に低下すると見込んでいます。

日本は下方修正されました。足元の成長の中身は在庫増加や輸入の急減による純輸出増加と、内容、基調は弱いこと、消費税引き上げによる変動も懸念しています。

新興国は19年が4.1%と前回から0.3%下方修正されました。20年には4.7%へ回復が見込まれる中、足元、関税引き上げによる貿易や設備投資への影響と、南米などの回復のタイミングの遅れを反映しています。

個別の国では中国は債務削減を進める必要性がある中で、景気下支えと関税引き上げにも対処するという、難しい対応を迫られていることなどから下方修正となっています。

南米の回復の遅れが19年の新興国成長予想を押し下げています。例えば、ブラジルは年金改革法案など構造改革の議会承認をめぐる不透明感による景況感の悪化を指摘しています。確かに、ブラジルの小売売上は足元軟調に推移しています。また、メキシコは通貨安抑制に政策金利を高水準(8.25%)で維持しています。ただ、ブラジルもメキシコも今後利下げが見込まれ、来年の回復が想定されています。

 

 


梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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