スウェーデン、開始も早ければ出口も早いマイナス金利 | ピクテ投信投資顧問株式会社

スウェーデン、開始も早ければ出口も早いマイナス金利 欧州/ユーロ圏

スウェーデン中銀は15年2月にはレポ金利をマイナス金利とし、ユーロ圏や日本などと共に、マイナス金利の運営で知られていました。スウェーデン中銀はマイナス金利の副作用への懸念などから、出口戦略を実施したと思われます。現在マイナス金利政策を採用する欧州中央銀行(ECB)や日銀も副作用を認識していますが、すぐに追随する可能性は低いと見られます。

スウェーデン中銀:ほぼ5年にわたるマイナス金利から脱却

 スウェーデン中央銀行(リクスバンク)は2019年12月19日、市場予想通り政策金利をマイナス0.25%からゼロ%に引き上げました。イングベス総裁は、景気減速の兆候よりもマイナス金利の悪影響を懸念する考えを示しました(図表1参照)。

 なお、スウェーデン中銀は、今後の見通しとして政策金利が2021年末までゼロ%で推移し、今回初の公表となる22年末でようやく0.13%に到達するという道筋を示唆しました。

どこに注目すべきか:マイナス金利、出口戦略、家計債務、CPIF

 スウェーデン中銀は15年2月にはレポ金利をマイナス金利とし、ユーロ圏(預金ファシリティ)や日本などと共に、マイナス金利の運営で知られていました。スウェーデン中銀はマイナス金利の副作用への懸念などから、出口戦略を実施したと思われます。現在マイナス金利政策を採用する欧州中央銀行(ECB)や日銀も副作用を認識していますが、すぐに追随する可能性は低いと見られます。

 まず、スウェーデン中銀が15年にマイナス金利を採用した背景を振り返ると、為替レートをクローナ安とすることと、それに伴うインフレ率の底上げを目指したと見ています(図表2参照)。地理的、経済的に近いユーロ圏が14年からマイナス金利政策(最初ということではスウェーデンは09年から1年ほど一部マイナス政策金利をデフレ回避のため導入)を採用したことによるクローナ高への対応によるものでした。

 次に、マイナス金利の出口戦略の理由として声明では、低金利が続いたことで家計の債務残高が積み上がってきた点を指摘しています。スウェーデン家計の債務残高対可処分所得比率を見ると、リーマンショック(08年)の頃で160%を下回っていましたが、同比率は190%程度とじり高となっています。そのうえスウェーデン中銀の予想を見ると、同比率は今後数年200%に向け上昇傾向が続くことが予想されています。クローナの水準やインフレ率が目標(2%)を下回るも、近辺での推移となったことで、計画的に準備したことで困難なマイナス金利の出口戦略が実現した運びです。

 なお、スウェーデン中銀が注視する基調消費者物価指数(CPIF、住宅ローンの影響を除いたCPI)の同行による予想値を見ると、22年に向け2%への回復が見込まれています。

 スウェーデン中銀のマイナス金利出口戦略を実現したとしても、ECBや日銀が直後に追随する可能性は低いと見ています。インフレ率の見通しが低いからです。例えば、ECBで21年が1.4%、22年で1.6%と2%を大幅に下回るからです。

 また、フォワードガイダンス(将来の金融政策の方針)が全く異なります。スウェーデン中銀はフォワードガイダンスでマイナス金利からの出口戦略を以前から明確に、繰り返し述べてきました。一方、ECBは反対に、例えばマイナス金利を強化する金利の階層化を導入したばかりです。いずれの中銀も出口戦略の準備を進めていないようです。

 スウェーデン中銀は以前マイナス金利の副作用に銀行への影響も示唆しており、家計債務以外にも要因がありそうです。良きケーススタディとして同行に注目しています。

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


関連レポート

一覧へ

ページの先頭へ戻る