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実践的基礎知識 決算書の読み方編(10)< 投資可否分析②>
2022/02/18

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概要

前回は財務諸表分析に基づく投資可否分析の手順として、まず資産を区別し、運用対象資産を把握することについて解説しました。今回は運用対象資産を把握した後のステップとして、「最大許容損失額」と「実際許容損失額」の考え方について解説します。



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最大許容損失額の考え方 

貸借対照表(B/S)上の区別をしたうえで、運用対象資産を時価評価したときの最大許容損失額を考えます。

運用で損失が発生した場合、運用対象資産と純資産が同額だけ失われることになります。こうした損失発生に見舞われた場合でも資金ショートを回避するためには、流動負債相当の流動性(支払原資)は確保しておく必要があります。

従いまして、「運用対象資産の時価合計」から「流動負債」を差し引いた金額が「最大限負担できる損失額(最大許容損失額)」ということになります(図表1)。

図表1:最大許容損失額のイメージ図

実際許容損失額の考え方

実際に運用提案を行う場合には、期間利益の確保(税引前当期純利益の範囲内)や資金繰り計画なども併せて検し、上記で算出した最大許容損失額の範囲内で実際に負担できる損失額(実際許容損失額)を把握する必要があります。(図表2)。

実際許容損失額を把握する場合には、予め経営者にインタビューを行い、運用に対する考え方や経営計画等を十分に理解しておくことが重要です。

こうして財務諸表分析から得られた「実際許容損失額と、商品/ポートフォリオ分析から得られた「想定最大損失率」を併せて検討することで、顧客の意向を踏まえた最適な資産運用提案を行うことができます。

図表2:実際許容損失額のイメージ図

 

許容損失額の計算例

ここまでの解説を踏まえ、最大許容損失額の計算例(図表3)と、実際許容損失額の計算例(図表4)を掲載しました。実際のコンサルティングをイメージしながらご確認ください。

図表3:最大許容損失額の計算例

図表4:実際許容損失の計算例



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