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新興国投資編(16)新興国の成長の恩恵を投資で受けるとは?為替編
2021/01/21

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概要

新興国に限らず海外の資産に投資をする場合、為替ヘッジをしない限り、為替変動の影響を避けられません。ここでは新興国投資でその成長の恩恵を為替変動で受けるとはどのようなことか、また注意点などを確認していきましょう。




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新興国通貨の上昇要因

新興国投資において、新興国の成長の恩恵を、為替の面で受けるということは、為替差益を得るということになります。そのためには新興国通貨価値の上昇やドル円レートが円安になることが必要です。まず新興国通貨の上昇要因を見ていきましょう。

まず、前回ご説明した通り、二国間の経済成長率の差は長期的に為替変動に影響を与える要因の一つと考えられます。新興国は、先進国よりも実質GDP成長率や金利が相対的に高い水準にあります。高成長を反映し、新興国の金利が高水準にあれば、新興国資産への需要が増し、新興国通貨の上昇が期待できます(図表1)。

また、二国間の貿易や投資といった国際取引も為替市場に影響を与えます。国際収支の中で、特に為替変動に影響を与える項目として、貿易収支、第一次所得収支、直接投資・証券投資があげられます(図表2)。

新興国は人件費などの製造コストが先進国よりも安いため、先進国の製造業の中には新興国を生産拠点とする企業も存在します。これによって、新興国の生産活動が増加し、先進国への輸出が増えることで貿易黒字が積み上がることが考えられます。一方、内需が強く貿易赤字の新興国であれば新興国通貨売り要因となります。一方、相対的に高金利の状況であれば、海外からの投資が期待でき、新興国通貨買い要因となります。

為替レートと物価上昇率(ブラジル)

前項では為替変動に影響を与える要因として、経済成長率の差や経常収支などがあることを確認しました。ここでは物価の影響を確認していきましょう。


例えばブラジルの物価は20年間で約3.3倍になっています(図表3)。こうしたインフレの影響などもあり、ブラジルの通貨であるブラジルレアルの対円レートはこの間に1レアル=58.67円から19.89円に下がり、約3分の1の価値になりました(図表4)。為替変動だけで見ると大幅にマイナスとなっていますが、この間の株式のリターンは円ベースで164.9%となっています。

このように一般的に物価上昇は通貨安要因となり、選ぶ通貨や投資期間によってはリターンの変動要因のうち、為替要因がマイナスになってしまうこともあります。よって、投資対象を選ぶ際には為替変動の影響を考慮してもリターンをあげられるのか、また為替ヘッジの活用なども検討する必要があります。

新興国への投資での注意点

では、次に注意点を確認していきましょう。まず流動性リスクの確認が必要です。取引量の小さい市場に、まとまった資金が出入りした場合、大きな価格変動を引き起こすからです。

各通貨の市場規模を比較してみると、米ドルやユーロと比べて他の通貨の市場規模が小さいことがわかります(図表5)。新興国の通貨は相対的に金利水準が高く、魅力的な投資先と考えられますが、市場規模の小さい国も多く、単一国への投資では価格変動が大きくなる傾向があり、分散投資が重要と言えます。

また、海外の債券や株式に投資する際には、取引している金融機関が通貨ごとに設定した為替スプレッドが適用されます。為替スプレッドとは、各社の基準為替レートと取引為替レートとの差分であり、為替の取引手数料に相当するものです。

円貨から外貨に交換する場合は基準為替レートにスプレッドを上乗せし、外貨から円貨に交換する場合はスプレッドを差し引きます。新興国通貨のスプレッドは先進国通貨に比べ、相対的に高い場合が多く、投資対象を選ぶ際にはこうした取引コストも考慮する必要があります(図表6)。

このように新興国の資産へ投資する際には、投資対象そのものに加え、為替変動リスクや流動性リスク、またコストなど様々なことを検討して投資先を決定することが重要となります。



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