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- ファンド・マネージャーによる新興国株式市場見通し
・新興国の株式市場は年初来、先進国の株式市場を上回って推移してきた
・新興国株式市場はマクロ経済の追い風や割安感などから引き続き魅力的な投資先として期待
・高配当戦略で成長分野にも幅広くアクセスできるのが新興国株式市場の特長
2025年の新興国株式市場は、年初より米国などの先進国を上回る好調なリターンを示してきましたが、本稿では、新興国インカム株式ファンド(以下、当ファンド)のファンド・マネージャーによる今後の新興国株式市場の見通し等についてQA形式でご紹介します。
新興国株式市場に資金が流入してきた背景には、米国の保護主義的な姿勢に対する不信感や政策の不確実性が米国への集中投資に関するリスクを浮き彫りにしたことで、国際分散投資への転換が進んだことが考えられます。今後については、米国の政府債務に対する懸念などから米ドルの下落(新興国通貨の上昇)が予想されることや、新興国の多くでインフレの落ち着きを背景とする緩和的な金融政策の維持が予想されることなどが、新興国株式市場にとって追い風になると期待されます。また、新興国には世界経済の成長ドライバーである人工知能(AI)などの技術革新や、持続可能なエネルギー・システムへの移行などを支える企業も多く存在し、株価の成長や積極的な株主還元が期待される銘柄も多いと考えられることも魅力です。新興国株式市場は株価バリュエーション(投資価値評価)が相対的に割安な水準にあり、その潜在的な成長性が評価されることで、世界の株式市場の中でも優位性を維持するものと期待されます。
前述のAIの普及については、半導体やデータセンターなどに関連するテクノロジー企業が直接的な関連企業として挙げられ、業績の成長が期待される銘柄群として注目しています。また、AIデータセンターが大量に電力を消費することから、AIの普及に伴う電力需要の増加が世界的な課題となっていますが、電力インフラの強化や再生可能エネルギーを中心とした持続可能なエネルギー・システムへの移行(エネルギー・トランジション)に関連する企業として、銅やリチウムなどの資源やウランなどのエネルギーを供給する鉱山企業や、電力設備関連企業などにも注目しています。
当ファンドは、新興国株式の中でも高配当利回りの銘柄に着目して運用を行います。株価バリュエーション(投資価値評価)が割安で、配当の裏付けとなる利益の成長が見込まれる優良企業に投資を行うことにより、安定したパフォーマンスが獲得できるという利点があると考えています。
新興国株式といえば高い業績成長が期待される成長(グロース)株への投資が想起される一方で、高配当の企業には、業績は安定しているが成長率が低い銘柄が多いというイメージがあります。しかし、新興国株式市場で配当利回りの高さに着目して銘柄の絞り込みを行うと、先進国株式市場と比較して、情報技術セクターの構成比率が高くなる傾向があります。そのため、新興国の株式市場では、AI半導体関連銘柄などの高成長が見込まれる銘柄にも投資が可能であるといえ、配当利回りに着目して投資を行う場合の選択肢が広いといえます。先進国の株式市場では、一般的に業績の成長率が相対的に低い傾向があるとされる公益や生活必需品セクターの構成比率が高くなる傾向があるようです。
なお、新興国の株式市場では、金融セクターやコミュニケーション・サービス・セクターの高配当利回り企業の構成比率が先進国の株式市場と比較して相対的に高くなっていますが、これらのセクターに属する企業は、新興国の経済成長に伴う中間所得層の増加による恩恵を受けると考えています。より多くの人々が金融サービスやモバイル通信サービスにアクセスできるようになることに伴い、関連する企業の業績も中長期的に成長することが期待されます。
中国経済については依然として景気の弱さが示されているほか、不動産市況の低迷や、銀行の不良債権比率の増加などが報じられており、回復には時間を要するものと考えられます。そうした中で、当ファンドでは収益性や資本の健全性が高く、不動産市況の低迷などに対して十分な管理能力を有すると考えられる大手国有銀行など、安定的かつ持続的な配当の成長が期待される銘柄に選別投資を行っています。中国の株式市場は、景気の弱さや米中対立の影響などが懸念される中でも2025年年初より堅調に推移し、当ファンドで組入上位に含まれる大手銀行株や保険株などがパフォーマンスに貢献してきました(以下、組入銘柄については2025年10月31日現在)。
「フロンティア市場」は一般的な新興国よりもさらに発展途上段階にある国の市場です。当ファンドでは、このようなフロンティア市場の銘柄に限らず、投資対象候補となる銘柄について経営陣との面談や企業訪問などを含めた詳細な調査を実施します。また、ピクテのエコノミスト・チームや現地の金融機関など社内外の広範な情報網を活用して地政学リスクなどの投資対象国および株式市場に関するリスクや投資機会についても評価します。
組入上位に含まれるカザトムプロムは、フロンティア市場に該当するカザフスタンのエネルギー企業です。投資判断を行う前に実際に同社に訪問して経営陣と面談を行いましたが、業績成長に対する確度や株主還元の強化に対する意欲などが確認できました。なお、現地市場では当銘柄の流動性が低いため、ロンドン市場に上場しているGDR(グローバル預託証券)を通じて投資を行っています。
カザフスタンは、世界9位の面積を誇る広大な国土に豊富なエネルギー資源や鉱物資源が埋蔵されている世界有数の資源国であり、レアアースやレアメタル、原子力発電の燃料として利用されるウランなどへの需要が経済成長につながると考えられます。
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