- Article Title
- ホルムズ海峡封鎖の長期化観測 カーグ島の米地上部隊派遣は「最悪のシナリオ」か?
トランプ米大統領は当初、イランへの攻撃について「2〜3日で終わらせる」と語っていたが、直近では4〜6週間、場合によってはさらに長期化する可能性すら高まってきた。米国によるイラン・カーグ島への地上部隊派遣は「最悪のシナリオ」となりうるため注意が必要だが、その一方で、イラン戦争が収束する「楽観シナリオ」についても押さえておきたい。
イラン戦争の収束目途は4-6週間?
世界の石油消費量の約5分の1が通過するホルムズ海峡の封鎖が、大方の予想に反して長期化する可能性が高まっている(図表1)。
トランプ米大統領は米アクシオスに対し、イランへの攻撃について「2~3日で終わらせることもできる」と2月28日(土)に述べていたが、翌日の米ニューヨーク・タイムズに対しては「4~5週間継続する意向だ」とも語っており、当初から見通しはぶれていた。
しかし、3月15日(日)の米CBSの番組で、米国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長は、「任務完了には4~6週間を要する」と、国防総省が3月14日(土)の時点でみていたと説明しており、おそらくトランプ政権内では、3月下旬から4月上旬あたりを任務完了のおおよその目途としている(あるいは、世間にそのように認識させたいと考えている)可能性がある。
米国はカーグ島の軍事施設を空爆
しかし、米国がイランの「生命線」とも呼ばれるカーグ島の軍事施設を3月13日(金)に攻撃して以来、事態は悪化の一途をたどっているように思われる(図表2)。
カーグ島はペルシャ湾においてイラン本土から約25キロ沖に位置する、面積約20平方キロメートルの小島であるが、同時にイランの原油輸出量の9割を担う重要拠点でもある。
カーグ島の石油インフラが損傷した場合、米国内のエネルギー価格も高騰しかねないため、米軍による空爆ではカーグ島の石油インフラは攻撃対象から外されたと指摘されている。
最悪のシナリオはカーグ島への米地上部隊派遣か?
だが、イランはカーグ島攻撃への報復として、中東地域にある米国関連のエネルギー施設への攻撃を行うと警告している。一方、米国も、イランがホルムズ海峡を通過する船舶を妨害した場合には、カーグ島の石油インフラを攻撃すると警告している。
仮に米国がそのような行動に出る場合、カーグ島へ地上部隊を派遣するのではないかと専門家は指摘している。そうなれば、イラク戦争やアフガン戦争のような戦争長期化のリスクが市場で嫌気される可能性が出てくるだろう。また、イランによるホルムズ海峡の機雷敷設も本格化し、原油の供給不足による世界経済の下振れ懸念も同時に高まる可能性がある。
WTI原油先物価格は再び1バレル100ドルを超える場面も
3月16日(月)のWTI原油先物価格は、一時1バレル=100ドルを超えるなど、不安定な相場展開が続いている(図表3)。
原油先物価格の高騰は、ホルムズ海峡封鎖の長期化リスクが織り込まれ始めていると解釈できるだろう。また、FF金利先物市場の動向を見ると、市場参加者が年内に1回程度の利下げを見込むにとどまっており、明らかに利下げ期待が後退していることがうかがえる。(図表4)。
利下げ期待の後退は株式市場のバリュエーションを押し下げる要因となるため、中東産エネルギーへの依存度が低い米国株や一部の新興国株であっても、無傷ではいられないだろう。
イラン戦争の「楽観シナリオ」は?
このまま米国は、イラク戦争やアフガン戦争のように長期戦へ突入するのだろうか。その可能性を探るうえでヒントとなりうるのが、全米のガソリン小売平均価格とトランプ米大統領の支持率である。(図表5、6)。
米国では物価高騰によって「アフォーダビリティ(暮らし向き)」が政治の争点となっている。イラン戦争(=ホルムズ海峡封鎖)の長期化によってガソリン価格が高騰すれば、物価高に苦しむ米国民の家計がさらに圧迫されることとなり、トランプ大統領の支持率低下にもつながりかねない。今年11月3日に中間選挙を控えるトランプ政権にとっては、是が非でも避けたいシナリオだろう。
仮にガソリン価格の高騰などによってトランプ氏の支持率が顕著に低下し始めれば、米国がイラン戦争において一方的に「勝利宣言」を行い、事態を収束させる可能性も高まるのではないかと考えられる。これがマーケットにとっての「楽観シナリオ」だ。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●投資信託は値動きのある有価証券等に投資するため、基準価額は変動します。外貨建資産の場合は為替変動リスクもあります。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により損失が生じ、投資元本を割り込むことがあります。運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性、特定の目的への適合性を保証するものではありません。記載内容は作成日現在のものであり、予告なく変更される場合があります。また、過去の実績は、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
●投資信託は預金等ではないため、元本および利回りの保証はなく、預金保険機構または保険契約者保護機構の対象ではありません。また、登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料の内容は、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を目的としたものではありません。
●当資料に掲載されている内容に関する著作権その他の知的財産権は、原則として、当社、ピクテ・グループまたは正当な権利者に帰属します。無断での使用、複製、転載、改変、翻訳、配布等は禁止されています。マーケット・データのご利用に関する詳細は、当社ウェブサイト 「会社情報」の「運用・方針等」内の「マーケット・データ利用規約」をご参照ください。