Article Title
足元の新興国株式のパフォーマンスは堅調な推移に ~新興国企業の躍進にみる新興国株式への期待
2025/05/28

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

・足元の新興国株式のパフォーマンスは先進国株式を上回る推移に
・「失われた10年」といわれる中でも、新興国企業は世界の上位企業へと躍進



Article Body Text

■足元の新興国株式のパフォーマンスは先進国株式を上回る推移に

新興国株式市場は2000年以降 長期にわたって 、 相対的に先進国株式を上回るパフォーマンスとなっていましたが 、 過去 10年の新興国株式は 「 失われた 10年 」 と言えるほど対先進国株式で苦境に立たされてきました 。中国をはじめ 、 新興国の経済成長率の鈍化や地政学的リスクの高まり 、 米国株式一強の動きから 、 米ドルが新興国通貨に対し上昇したことなどが新興国株式が相対的に劣後した背景にあるとみられます 。

しかしながら、 直近 1年は新興国株式が先進国株式をキャッチアップするような動きとなっています 。 中国景気の回復期待に加え 、 新興国経済におけるインフレ圧力低下 、 米ドルに対して新興国通貨が上昇傾向にあることなどが好感されていると考えられます 。 また 、 2025年年初からのパフォーマンスは 、 新興国株式が先進国株式を上回り 、 2025年 4月初旬の急落前の水準をすでに回復し 、 上値を伸ばしています 。

こうした動きを新興国株式の「 失われた 10年 」 からの回復とみるのは時期尚早ですが 、 マクロ環境の改善傾向に加え 、 新興国企業の躍進などを踏まえると 、 新興国株式に改めて注目する必要があると考えられます 。



■「失われた 10年」の中でも、新興国企業は世界の上位企業へと躍進

新興国企業の中には、 過去 10年において 、 世界の売上高上位企業へと躍進した企業が目立っています 。 新興国企業が売上高を拡大させてきた背景には 、 ① 先進国に比べて相対的に高い経済成長率や人口の増加を背景とした内需や市場規模の拡大 、 ② 政府の支援や技術力の向上への取り組み 、 ③ 生産コスト 労働コストや土地価格 の抑制 、 ④ グローバル化の推進 、 などが挙げられます 。

実際、 世界の売上高上位 500企業 下図 の直近と 10年前を比較すると 、 新興国では中国やインドで上位にランクインした企業数が増加したほか 、 フィリピンやカタールの企業も新たに加わり 、 ランクインした企業数は 110社から 152社となりました 。 一方 、 先進国では米国がランクイン企業数を増やしましたが 、日本や英国で 2桁の企業数が減少し 、 全体数も減少しました 。

新興国ではエネルギー分野の企業がその国の売上高1位となる傾向がありますが 、 順位は低いながらもその他の分野 、 たとえば 、 中国では世界最大級の eコマース企業のアリババグループや電気自動車と車載用リチウムイオン電池で高い世界シェアもつ BYD、 大手 IT・ ネットサービス企業のテンセントなどが新規にランクインしました 。 また 、 インドでは生命保険大手企業 SBIライフ ・ インシュアランスや 、 HDFC銀行とICICI銀行などの金融機関が新規にランクインしており 、 人口大国である中 、 規制緩和やデジタル化の進展といった変革が追い風になったとみられます 。 今後も様々な新興国企業が躍進すると予想され 、 新興国株式市場の成長を後押しすると期待されます 。



個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら


MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。



関連記事


気候変動との闘いにおいて樹木を味方につける

日陰から抜け出す:現地通貨建て新興国債券の魅力が高まる

金融市場の見通し(2025年5月)

デフォルトを恐れすぎてはいけない

抗肥満薬の効果を測定する

2025年4月の新興国株式市場