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2026年の投資環境
2026/01/23

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概要

世界の株式市場は2026年も上昇基調を維持し、新興国株式市場が最も高いリターンをもたらすと見込まれます。債券・為替市場では、昨年以降、国債利回りが上昇傾向にある一方で、米ドル安は今後も継続すると見ています。



目次

1.サマリー

2.概要:ゴルディロックス(適温)状態

3.株式:地域・セクター別動向 - 新興国市場が主導的役割か

4.債券・為替:インフレを上回るリターンを求めて新興国へ

5.グローバル市場の概観:AIブーム、堅調な新興国市場、そして輝く金


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1.サマリー

■主な見解

・世界経済は良好な状態を維持し、米国のGDP成長率の減速は、欧州および日本の回復によって相殺される見込みです。

・金融緩和のペースは鈍化するものの、流動性は依然として潤沢な状態が維持されると見込まれます。

・株式のリスクプレミアムは、歴史的に見ると低い水準にありますが、バリュエーションはバブルの水準には達していません。


■投資への影響

・グローバル株式は本年、約5%のプラスリターンをもたらす一方で、国債利回りは小幅な上昇にとどまる見込みです。

・新興国市場および欧州の中型株式は、相対的に良好なパフォーマンスを示すと予想されます。

・ 米ドル安の傾向が続く中、新興国債券も高いリターンをもたらす可能性があります。


2.概要:ゴルディロックス(適温)状態

世界経済は今後1年間、おおむね良好な環境にあると見込まれ、その状況は株式市場のパフォーマンスにも反映され、2026年には約5%のリターンが期待されます1。おおむね、世界のGDP成長率は長期トレンドと同程度の2.6%で推移すると予想されており、これによりインフレ圧力は抑制される見通しです。実際、投資家は成長見通しについてはより楽観的となる一方で、インフレ見通しについては過度に悲観的ではなくなっています(図1)。同時に、約85%の中央銀行が金融緩和を進めており、その背景には民間部門による信用供与の増加が見られます。その結果、堅調な経済成長と潤沢な流動性が相まって、リスク資産に対する非常に強力な追い風となっています。

しかし、いくつかの留意点があります。第一に、金利はさらに低下するものの、金融緩和のペースが鈍化するため、2025年ほどの流動性押し上げ効果は期待できないでしょう。第二に、米国経済は他国と比べて回復が遅れる見通しです。米国では、成長率が潜在成長率をやや下回り、インフレ率も2026年前半に高止まりした後、後半にかけて徐々に鈍化すると予想しています。当社エコノミストは、米国のGDP成長率が2025年の1.8%から2026年には1.5%へ低下する一方、インフレ率は2.9%から3.3%に上昇すると見込んでいます。世界市場における米国の重要性を踏まえると、こうした動きが株式市場の重石となる可能性があります。

図1:成長しているがインフレではない

主要4カ国*の2025-26年度GDPおよびインフレ率に関するコンセンサス予測(2年間)

*G4は米国、ユーロ圏、日本、中国。

出所: Bloomberg, Pictet Asset Management.
期間:2024年12月6日~2025年11月21日

米国経済の先行きは必ずしも明るいとは言えず、その背景にはトランプ大統領による貿易・移民政策の影響があります。2025年4月の「解放の日」以降、米国の消費者が直面する平均関税率は約3%から10%超へと大幅に引き上げられました。また、政権による移民規制の強化により米国における外国生まれの労働者数が大きく減少し、労働力供給が逼迫した結果、物価には一段の上昇圧力がかかっています。

さらに、トランプ大統領がFRBの独立性を損なおうとする動きを見せているものの、FRBは市場が織り込むほどの大幅な利下げには踏み切らないと想定しています。一方で、債券市場のコンセンサスでは同期間に金利が3.0%まで低下すると予想されており、このギャップから市場参加者の間で失望感が広がる可能性があります。米国株式市場も割高なバリュエーションで取り引きされており、とりわけ株価は景気循環調整後利益(CAPE)ベースで約40倍という水準にあります。この倍率はITバブル期のピークと比較してもわずか10%低い水準にとどまっており、株式市場が不安定化するリスクも意識されます。

国債や社債のバリュエーションも必ずしも魅力的とは言えません。実際、当社が算出した米国の複合リスクプレミアム(株式、国債、クレジットを含む)は2000年以降で最も低い水準にあります。さらに遡ると1974年以来の低水準となっており2、リスク資産全体の期待リターンが歴史的に見ても抑制されている状況が示唆されています。

これは、今後数年間にわたり主要な資産クラス全般でリターンが平均を下回る可能性を示していると言えます。

AI関連銘柄については、現時点では必ずしもバブル状態にあるとは考えていませんが、「マグニフィセント・セブン」に続く「テリフィック20(Terrific 20)」と呼ばれる一群のメガキャップ銘柄については懸念があります。これらの銘柄は、2025年に収益成長を上回るペースで急速にバリュエーションが切り上がっており、大幅な反落が生じた場合には、その影響を受けやすい局面にあります。

一方で、大きな調整が起こる可能性(20%)よりも、市場が一段と上昇する可能性(25%)の方がやや高いと見ています。個人投資家によるAI業界の将来性への熱狂が、最後にもう一度高まる余地が残されており、過去の事例からも、こうした熱狂が相場を一段と押し上げることがあるためです。特に、米国政府の圧力を背景にFRBが積極的な利下げに踏み切り、市場へ大量の流動性を供給する展開となれば、その上昇圧力は一層強まるでしょう。

債券市場に関しては、長期間にわたる弱気相場は終焉を迎えたように見えますが、米国、ユーロ圏、英国ではコアインフレ率が中央銀行の目標をやや上回る水準で落ち着いているため、利回りに上昇圧力がかかる可能性があります。米国債が投資家にとって中核的な資産となり得ることについて疑いの余地はありませんが、関税、逼迫した労働市場、財政刺激策を背景に米国のインフレが本格的に加速した場合には、ネガティブなショックの影響を受けるリスクがあります。私たちは、投資家が引き続き金でリスクヘッジを行うと予想していますが、金価格の急変動には注意を払う必要があると考えています。

先進国市場における一部の動向について慎重な見方を維持する一方で、新興国市場についてはより前向きなスタンスを取っています。新興国債券、クレジット、株式はいずれも複数の好材料が重なっており、魅力的な投資機会と考えられます(詳細は、「3.株式市場」および「4.債券・通貨」を参照)。特に心強いのは、新興国市場が過去のように米ドル安に牽引されるのではなく、国内投資家基盤の拡大、健全な経済政策、より堅固な制度、優れたインフラ、質の高い労働力、シリコンバレー中心地を超えたAIの普及など、国内のマクロ・ミクロの経済要因によって牽引される傾向が強まっていることです。


3.株式市場:地域・セクター別動向 - 新興国市場が主導的役割か

世界の株式市場は好調な推移を続けており、今後もさらなる上昇が期待できる状況にあります。多くの主要経済圏で安定したトレンド的な成長が見込まれるうえ、金融緩和政策や企業収益の拡大も追い風となっています。

もっとも、今後12ヵ月において各市場におけるリターンのパターンが一様であるとは限りません。

MSCIワールドインデックスを上回るパフォーマンスを示すと期待されるのは、欧州の中型株(内需関連)およびバリュー株、米国のグロース株、そして何よりも新興国株式です。あわせて、マクロ経済および地政学的な悪材料に対するヘッジ手段として、安定した収益成長と高い収益性を有するクオリティ株への投資を追加することも有効だと考えます。

新興国市場に中期的な投資妙味がある理由は明確です。力強い長期成長が期待できるうえ、バリュエーションも魅力的な水準にあるためです。残る論点は「なぜ今なのか」ですが、現時点ではその条件がおおむね出揃っているように見受けられます。

マクロ経済面では、新興国株式は米ドル安、実質金利の低下、商品価格の上昇から恩恵を受けると考えられます。ミクロ面でも環境は良好であり、新興国の企業の多くは、人工知能(AI)関連産業の拡大の恩恵を享受しやすい立場にあります。

なかでも、アジアの新興国はテクノロジー革命の最前線に位置づけられます。すでにグローバルなAIサプライチェーンにおいて不可欠な役割を担う企業(先端半導体メーカーなど)に加え、今後、技術のスケール化や収益化の段階で米国のリーディングカンパニーに挑戦し得る企業(中国のハイパースケーラーなど)も台頭しつつあります。

地政学的な構造変化が、新興国株式のアウトパフォーマンスを後押しする可能性もあります。世界貿易協定を巡る不透明感が続く中、国内投資の拡大や新興国同士の資金フローの活発化が見込まれます。例えばインドでは、国内投資家による株式保有比率が市場の18.5%と、過去20年以上で最高水準となっており、海外ポートフォリオ投資(FPI)3を上回っています。これはインドがボラティリティの高い海外資金への依存度を以前ほど高くない水準まで引き下げていることを意味し、その結果として株式市場の変動制が低下する可能性があります。

一方、欧州市場では、特に中型株を中心とする内需関連株に対して強気の見方が広がっています。とりわけドイツでは、大規模な財政支出計画が発表されているものの、当社モデルによれば欧州株式全体は依然として割安な水準にあります。セクター構成の違いを調整すると、欧州株は米国株と比べて約25%のディスカウントで取り引きされており、これはコロナ禍およびウクライナ紛争前の典型的な10%程度のディスカウントを大きく上回る水準です。このことは、欧州株式にとって好材料が株価に織り込まれやすい環境にあることを示唆します。例えば、すでに表明されているドイツの公共投資の一部が実行に移されるだけでも、欧州株は大幅に上昇する余地があります。

米国では、トランプ大統領の主要政策である移民取り締り強化や関税引き上げがスタグフレーションを招くとの懸念がくすぶる一方で、経済はなお底堅さを維持しています。危機を完全に脱したとは言えないものの、米国企業の収益見通しは足元では比較的良好な水準にあります。

その他の動向として、AI投資サイクルは今後も継続する可能性が高いと見られます。

米国の主要AI関連株4のPER(株価収益率)は現在約30倍で推移しており、市場全体の平均である22倍を上回る水準です。もっとも、ITバブル期の100倍超と比べれば、なお抑制された水準と言えます。この水準は、AI関連のリーディングカンパニーの業績によって部分的には妥当と考えられます。これらの企業の四半期ベースの利益成長率は、S&P500構成銘柄のその他の企業と比べて約25パーセントポイント高くなっていることが確認できます(図2)。この成長格差が縮小することは、大きなリスク要因となります。しかし、今後2年間にわたりAIエコシステム全体がおおむね年率20%程度の収益成長を維持できるのであれば、足元のバリュエーションは引き続き正当化され、これらの銘柄はアウトパフォームを続けると見込まれます。

もう一つのポジティブ要因として、これまでのところAI関連の設備投資ブームは、主に営業キャッシュフローで賄われており、株式や債券による調達額は相対的に限定的である点が挙げられます。最近では、後者による資金調達も徐々に増加しつつあります。

もっとも、2026年の市場テーマはAIだけにとどまりません。安定した利益、高い収益性、低いレバレッジを兼ね備えたクオリティ株は、長期にわたる低迷を経験してきましたが、今後は市場変動局面においてポートフォリオの下落リスクを抑制する役割を再び果たす可能性が高いと考えられます。なかでも製薬セクターは有望視されます。薬価を巡るネガティブ要因の多くはすでに株価に織り込まれており、業界要因(M&Aの増加)とマクロ要因(成長鈍化)の双方が、同セクターの潜在価値を顕在化させる方向に働くと見られます。

そのほかのセクターでは、テクノロジー、金融、資本財・サービスにも注目しています。これら3セクターはいずれも力強い収益成長が期待されます。加えて、英国市場はスタグフレーションリスクに対する割安なヘッジ手段を提供しており、魅力的な配当利回りも備えています。


図2:AIプレミアム

主要AI関連株とS&P500(主要AI関連株を除く)との四半期EPS成長率およびコンセンサス見通し

出所: Refinitiv, Pictet Asset Management.
期間:2024年1月1日~2025年11月26日
*主要AI関連株: NVIDIA, Microsoft, Broadcom, Oracle, Palantir, AMD, Arista, Micron Tech, Applied Materials, LAM, KLA, Synopsys, Intel, Cadence Design, Marvell, Monolith Power, Dell, HPE, Pure Storage, SMC, Teradyne, Entegris, Meta, Amazon, Alphabet.

4.債券・通貨:インフレを上回るリターンを求めて新興国へ

先進国債券への投資配分を増やす根拠は、必ずしも強固とは言えません。2025年もインフレ率は中央銀行の目標を上回る水準が続き、経済成長も底堅く推移すると見込まれるため、金利の低下幅は市場コンセンサスほどには大きくならないと見ています。

2026年には、先進国ソブリン債の利回りが緩やかに上昇すると予想しています。また、FRBによる利下げはコンセンサスよりも小幅にとどまると見られることから、市場のボラティリティが高まるリスクがあります。トランプ大統領の主要政策は本質的にスタグフレーション的な性質を持つと考えられ、米国のインフレ率は3.3%と、目標を上回る水準で推移すると見込まれます。

米国10年国債利回りは、2026年年初から潜在的名目GDP成長率とほぼ水準の4.2%をやや上回る水準で推移しています。

グローバル債券市場の主なリスクは、イールドカーブの大幅なスティープ化です。インフレが予想以上に高まる、あるいは変動が大きくなる可能性に対して投資家が要求する追加の補償であるインフレ・リスク・プレミアムが上昇する恐れがあります。現在、ほぼすべての市場でイールドカーブは通常よりフラットな形状となっていますが、各国政府が財政ルールを継続的に遵守できない場合、長期金利が短期金利を大きく上回って上昇する可能性があります。財政赤字がさらに拡大すれば、国債の発行残高は増加し、利回りには上昇圧力がかかると考えられます。

米国では、トランプ政権が利下げを求める政治的圧力に過度に迎合的と見なされる議長を指名することで、FRBの独立性を損なうリスクがあると見ています。一方でポジティブな要因として、米国債市場は二つの要因により下支えされる可能性があります。第一に、2026年第1四半期に想定されるFRBの量的緩和再開、第二に、補完的レバレッジ比率(SLR)緩和の可能性です。SLRは銀行の自己資本比率規制の一つであり、リスクの大小にかかわらず、すべての銀行資産に一律の資本を求める仕組みです。これらの要因が米国債への需要を高め、利回りには下押し圧力がかかると見込まれます。

この環境下では、物価連動国債(TIPS)は引き続き相対的に良好なパフォーマンスを維持すると見込んでいます。

他方で、英国債も依然として魅力的に映ります。経済減速が一段と進んだ場合、イングランド銀行(BoE)が市場で現在織り込まれている水準を上回る利下げに踏み切る可能性があるためです。魅力的な利回りに加え、財政運営の引き締め姿勢が明確になっていることも、重要なサポート要因となるでしょう。

新興国債券については、投資環境が一段と改善することが見込まれます。

この資産クラスは、インフレ率の低下、高い経済成長、さらに中央銀行による追加利下げと通貨高を見込めることなど、好ましいファンダメンタルズに支えられ、先進国債券を上回るパフォーマンスが期待されます。

とりわけ、新興国の中央銀行による一段の金融緩和が強力な追い風となるでしょう。政策金利は、2025年の平均約5.5%から最大150ベーシスポイント低下すると予想しており、その中でもブラジルは最も大幅な利下げを実施する国の一つになると見られます。

実質金利が依然として5%を大きく上回るブラジルおよび南アフリカの債券、さらにエジプトやナイジェリアを含むフロンティア市場に、最も大きな投資機会が存在すると考えています。また、米ドル建て債券よりも現地通貨建て債券により大きな妙味があると見ていますが、信用力が過去最高水準にあり、デュレーションも比較的短いことから、新興国の米ドル建て社債についても前向きなスタンスを維持しています。

ソブリン債以外では、投資適格債に対してもポジティブな見方を持っています。発行体は強固なバランスシートと堅調な収益力を背景に、経済ショックに耐え得る体力を備えており、その結果としてバリュエーションも依然として魅力的です。一方で、米国ハイイールド債の見通しはより複雑です。過去の景気サイクルと比較しても極めてタイトなイールドスプレッドで取り引されており、今後スプレッドは約350ベーシスポイントまで拡大すると予想されますが、それでもなお長期平均である500ベーシスポイント超を大きく下回る水準で推移する可能性が高いと見ています。

金については、引き続き戦略的な安全資産として位置づけています。もっとも、2025年の顕著な上昇を経た現在、2026年前半には米国のインフレ率がピークを迎え、その後2026年後半には成長加速が見込まれることから、それ以降の金の上昇余地は限定的となる可能性があります。

通貨については、2026年に米ドルが約5%下落するとの見通しです。これは、米国とその他の先進国市場との国債利回り格差が縮小するとの予測を反映しており(図3)、通貨の長期的な下落トレンドとも整合的です。ただし、FRBが政治的圧力に屈し、必要以上の追加緩和策を講じた場合、米ドルは一段と下落する可能性があります。最悪のケースでは、このようにFRBが過度にハト派的なスタンスへ転換した場合、米ドルは二桁台の下落を余儀なくされるリスクもあります。


図3:ドル安基調

金利差縮小でドルの下落リスク

出所: Refinitiv, Pictet Asset Management
期間:2022年11月1日~2025年11月27日

米ドル安の恩恵を最も受ける通貨としては、ユーロと円を想定しています。いずれの通貨も現時点で割安と判断されるうえ、今後1年で米国との成長格差が縮小すると見込まれることから、両通貨に対する一段の上昇要因となるでしょう。

スイスフランはディフェンシブな特性を背景に長期的な上昇トレンドを維持していますが、今後1年程度の対ユーロ相場については、ユーロ圏の方が高い成長率を示すと予想されるため、スイスフランはやや軟調に推移すると見ています。

英ポンドについては、引き続き慎重な姿勢を維持しています。経済の弱さが残存していることに加え、英中銀が金融緩和的なスタンスを取っているためです。現在、英ポンドは貿易加重ベースでブレグジット前の水準まで回復しています。


5.グローバル市場概観:AIブーム、堅調な新興国市場、そして輝く金

世界の株式市場は、AI投資ブームへの期待からハイテクやコミュニケーション関連株への買いが集まり、2025年は年間で二桁の上昇となりました。一方、債券は年間の上昇率が3%未満にとどまり、インフレ率を下回りました。

新興国市場が株式パフォーマンスの上位を占め、韓国、中国、メキシコ、ブラジル、南アフリカなどが堅調に推移しました。とりわけ韓国は顕著で、グローバルAIサプライチェーンへの投資を担う投資家から資金流入が続き、米ドルベースで年間70%以上の上昇となりました。

市場がハイテク株に大きく依存しているにもかかわらず、米国株式市場は主要市場の中で出遅れ、先進国株式の中ではスイスに次いで低パフォーマンスとなりました。これは、AI関連株への投資機会が世界的に広がっていることのあらわれとも言えます。

英国株は米国株を上回るパフォーマンスとなり、魅力的なバリュエーションに加え、金融や公益事業などのセクターに資金が流入した結果、現地通貨ベースで20%以上上昇しました。日本株も20%以上上昇し、AI・テクノロジー分野への強い投資意欲やコーポレートガバナンス改革が国内外の投資家をひきつけました。

セクター別では、コミュニケーション・サービスが約30%上昇しました。AI関連の設備投資ブームへの期待が収益見通しを押し上げ、2024年に30%超の上昇を記録した流れが継続しました。当社試算によれば、すでにAIエコシステムに組み込まれているITセクターは20%上昇しました。公益事業セクターも20%以上上昇し、AIデータセンターによる電力需要の増加とデイフェンシブな特性が追い風となりました。

米国債は約8%上昇し、他の先進国国債を上回るパフォーマンスとなりました。FRBが利下げを実施する中、関税措置によりリスク資産のボラティリティが高まったことで、安全資産としての需要が続いたことが背景にあります。

英国債はBoEが成長支援のため利下げを行ったことから、現地通貨ベースで4%以上上昇しました。一方、日本国債は、日本銀行が債券購入を減らしイールドカーブ・コントロールを緩和したことでターム・プレミアムが拡大し、3%以上下落しました。

クレジット市場では、新興国社債が信用力の改善と各国中央銀行による金融緩和の恩恵を受け、約9%上昇しました。米国投資適格債およびハイイールド債はともに約7%上昇し、比較的良好なパフォーマンスを示しました。

原油価格は約16%下落しました。中国をはじめとする主要消費国の経済成長が伸び悩む中、OPECによる増産に加え、米国を含む非OPEC諸国からの供給増加が重なったことが要因です。

金価格は50%以上上昇し、インフレや地政学的リスクへの懸念が続く中、2024年からの上昇基調を継続し、史上最高値を更新しました。

ビットコインは高いボラティリティが続きました。2025年10月に1ビットコイン当たり12万米ドルを超える史上最高値を付けたものの、その後急落し、暗号資産市場の流動性低下とマクロ経済の不確実性を背景に、リスク資産の代替と見なされる暗号資産の売りが広がった結果、年間の利益の大半を失いました(図4)。


図4:暗号資産からの逃避

ビットコインは7ヵ月ぶりの安値まで下落。暗号資産がリスク資産からの大規模な資金流出を主導

出所: Refinitiv, Pictet Asset Management
期間:2023年11月23日~ 11.2025年11月25日

米ドルは2025年12月までに7%以上下落し、前年の上昇分をほぼ打ち消しました。その背景には、公共部門の財政赤字拡大や、トランプ政権によるFRBを含む米国機関への攻撃的な姿勢に対する投資家の警戒感があります。

安全資産と見なされるスイスフランは先進国通貨の中で最も上昇し、年間で最大12%の上昇となりました。米ドル安の恩恵を受けたブラジルレアルやメキシコペソなど中南米通貨はいずれも10%以上上昇し、ユーロも10%以上の上昇となりました。円は前年に10%下落した反動もあり、2025年はほぼ横ばいで終えました。


1.MSCI All Country World Index
2.米国株式リスクプレミアム:12ヶ月予想収益率から10年物実質米国債利回りを差し引いた値。米国信用プレミアム:米国投資適格債(66%)および米国ハイイールド債(33%)の対米国債スプレッド。米国10年物期間プレミアムは、FRBのACMモデルを用いて算出。出所:Refinitiv DataStream, IBES, US Federal Reserve, Pictet Asset Management. 期間:2025年11月14日時点。
3.National Security Exchange https://nsearchives.nseindia.com/web/sites/default/files/inline-files/Market%20Pulse_Aug%202025.pdf
4.NVIDIA, Microsoft, Broadcom, Meta, Amazon, Alphabet, Oracle, Palantir, AMD, Arista, Micron Tech, Applied Materials, LAM, KLA, Synopsys, Intel, Cadence Design, Marvell, Monolith Power, Dell, HPE, Pure Storage, SMC, Teradyne, Entegris

 


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