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- 米求人件数低下や人員削減増加は何を語るのか
2月5日の米国債市場では、株式やビットコインの下落を受けてリスク回避姿勢が強まり、国債利回りが低下した。同日発表の米労働市場指標も悪化し、求人件数や新規失業保険申請件数が予想を下回るなど、労働市場の鈍化が示唆された。1月の人員削減数も大幅に増加し、今後の雇用動向やコストカットによるリストラの増加が注目される。1月の米雇用統計は発表が延期されたが注目度は高そうだ。
リスク資産の下落と米労働市場関連指標の悪化で、米国債利回り低下
米国債市場で2月5日に、国債利回りが低下(価格は上昇)した(図表1参照)。政策金利の見通しを反映する傾向がある短期セクターの低下幅が相対的に大きかった。株式市場や、リスクセンチメントを反映する(筆者には疑問もあるが)とされるビットコインなどの下落を受けリスク回避姿勢が高まり、国債が選好されたようだ。また、同日に発表された米労働市場関連指標が悪化したことも米国債利回り低下の背景と見られる。
米労働省が5日公表した雇用動態調査(JOLTS)によると、2025年12月の求人件数(非農業部門)は654.2万件と、市場予想の725万件、前月の692.8万件を大幅に下回った(図表2参照)。
労働市場から弱めの指標が発表されたが慎重に判断したほうがよさそうだ
5日に発表された米労働市場関連の指標が軟調だった。米金融先物市場では26年6月に利下げを再開する見通しが7割程度にまで上昇した。ただし、米労働市場関連指標の悪化には様々な要因が考えられ、慎重な判断が必要とみている。
図表2に示された求人件数は12月分が市場予想を下回ったうえ、11月分は速報値の714.6万件から692.8万件に下方修正された。専門・ビジネスサービス、小売、金融などが求人件数を押し下げた。一方で、解雇件数は12月が176.2万件と前月から小幅の増加にとどまった。
求人件数の急減は、しばしば失業率の上昇を伴う傾向があるとされるだけに、注意は必要だ。また、転職市場が活況であると上昇する傾向がある離職率は、12月分が2%と横ばいで、回復の鈍さが示唆された。
次に、米労働省は5日、別の労働市場関連指標として新規失業保険申請件数も発表した(図表3参照)。1月31日終了週の申請件数は23.1万件で、前の週の20.9万件を大幅に上回った。同指標の増加からは、失業者の増加が示唆され、労働市場の鈍化を示す数字となった。
なお、新規失業保険申請件数は昨年9月のレイバーデーのように祝日を挟んで上下にぶれることがある。速報性に優れた指標だが、注意すべき点も多い。最新週(1月31日終了週)のデータが上振れた背景として祝日の影響は考えにくいが、それに代わって悪天候が上振れ要因となった可能性が指摘されている。この指標の悪化については判断を先送りした方がよさそうだ。
1月の人員削減数は急増、労働環境の悪化なのかの確認が必要
米国の民間調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス(以降、CGC)は5日、米企業や政府機関が計画する1月の人員削減数が10万8435人だったと発表した(図表4参照)。当データは、CGCが米企業や米政府機関から公表された月次の人員削減計画を集計したものだ。
1月の人員削減数は前月の約3.6万人や、25年1月の約5万人と比べ倍増している。米労働市場は前週まで新規失業保険申請件数が比較的低水準で推移していたこともあり、底堅いとの評価もあった。そうした中、CGCが人員削減の増加を示したことに対して市場から一定の注目を集めた。
ただし、人員削減データは図表4にあるように、月ごとの振れが大きい点に注意が必要だ。25年3月は米政府効率化省(DOGE)が連邦政府職員のリストラを推し進めたことで人員削減が急増した。
また、昨年10月に約15万人の人員削減があった。この時は人員削減の理由として一番多かったのはコストカットで、次がAI導入だった。
今回(26年1月)、人員削減が多かったセクターは配送業とテクノロジーなどだ。自動化が進んだことなどをリストラの理由としているが、どちらのセクターも物流大手1社の影響が大きいとみられる。
米労働市場には様々なシグナルがあり判断が難しいが、筆者はコストカットなどを理由に人員削減が増えるのかどうかに注目している。コロナ禍後の過大な採用拡大の調整がコストカットなどを理由にして推し進められる可能性が考えられるからだ。
本来なら、1月の米雇用統計は2月6日に発表される予定だったが11日に延期された。ここまで紹介した労働関連指標から様々な方向が示されただけに、1月の米雇用統計は大いに注目したい。
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