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12月の米小売売上高と米消費動向の注意点
梅澤 利文
2026/02/13

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概要

2025年12月の米小売売上高は前月比横ばいで、市場予想を下回り、年末商戦後半に消費の勢いが鈍化した。自動車や家具、家電、衣類などの売上高も12月は伸び悩んだ。ただし、ガソリンの伸び悩みには注意が必要だ。株高や労働市場の堅調さ、減税などが消費サポート要因だが、貯蓄率低下や消費者信頼感指数の下落など不安材料もある。今後も消費は底堅そうだが、状況変化に注意が必要だ。




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12月米小売売上高、市場予想を下回り消費の勢いに減速懸念

米商務省が10日発表した2025年12月の小売売上高(速報値)は前月比0.0%と横ばいで、市場予想の0.4%増、11月の0.6%増を下回った(図表1参照)。12月は年末商戦(11月~12月)後半の時期でもあり、消費の勢いは落ちたようだ。

ガソリンと自動車販売を除いた売上高(消費実感に近いとされる)も12月は0.0%と横ばいで、市場予想の0.4%増を下回った。小売売上高統計の指数のうち、自動車、ガソリン、外食、建設資材を除いたベースの小売売上高(コントロールグループ、 GDP(国内総生産)の算出に使用される)は0.1%減とマイナスとなり、市場予想の0.4%増、前月の0.2%増を大幅に下回った。

12月の米小売売上高は堅調だった11月を下回った

年末商戦後半の12月の米小売売上高は消費の伸び悩みを示唆する数字だった。年末商戦当初となる11月6日に、全米小売業協会(NRF)が発表した年末商戦の売上高予想は前年比3.7%〜4.2%増加し、初めて売上高が1兆ドル(約153.5兆円)台に達すると見込まれていた。そうした中、小売売上高については11月が比較的堅調で年末商戦の出足の良さが示唆されたが、12月に息切れした。小売売上高の内容を、まず確認する。

主な品目の売上高の伸びの推移をみると、自動車等、家具、家電、衣類などは11月に比べ12月の伸びは鈍化した(図表2参照)。年末商戦で売り上げ増が期待されるのは生活必需品でない商品、家具や家電、衣類などだが、図表2にあるように軒並み12月に息切れした。

ただし自動車等の11月の急増(前月比1.2%)の反動で鈍化した面もあろう。11月の急増にしても10月に電気自動車(EV)の助成廃止で急落したことが影響したとみられる点に考慮は必要だろう。

ガソリンは12月が前月比0.3%増と11月を下回ったが、12月のガソリン販売価格は下落傾向だった。小売売上高のデータは物価変動の調整を行わないため、この影響もある程度想定される。

一方、建設需要が底堅い中、建設素材は高水準の売上高の伸びを維持した。

12月の米小売売上高は比較的堅調だった11月の反動で勢いが落ちた。26年1月についても、悪天候の影響で消費が抑制された懸念はある。一方で、年初からトランプ減税(25年末に期限を迎える予定だった個人所得減税は、25年7月に成立した「減税・歳出削減法」により恒久化・延長された)による消費押し上げ効果も期待される。目先の個人消費はプラス材料とマイナス材料のバランスを保ち底堅く推移することも想定される。

米国消費は堅調だが下支え要因の変化には注意が必要

ここまで、米小売売上高については、主に短期要因を見てきた。追加の要因として、これまでの株高による資産効果も高所得層の消費を支えたとみられる。今後も株高が続くようであれば消費は下支えされよう。しかし、株式市場の勢いが失われた場合、消費に潜在的な不安要素もある。それを示唆している可能性があるのが貯蓄率の低さとみている(図表3参照)。25年11月の貯蓄率は3.5%と、4月の5.5%をピークに縮小傾向だ。

米商務省が発表した25年11月の米個人消費支出(PCE)統計によると、個人所得は前月比0.3%増と、10月の0.1%増を上回ったが、市場予想の0.4%増は下回った。一方で、個人支出は11月、10月ともに0.5%増で、やや「買いすぎ」を示唆している。結果として貯蓄率は低下傾向だ。

米国消費を支えてきた株高などは、最近やや元気ないが、健在だ。米労働市場も失業率は歴史的な低水準との見方もできよう。減税や利下げなど政策的なサポートもある。米国の消費は当面、堅調であることは想定される。

ただし、不安の兆しにも目を向けたい。調査データであることから回答の信頼度などには注意は必要だが、米調査会社コンファレンス・ボードが1月27日に発表した1月の米消費者信頼感指数は84.5と2014年5月以来11年8カ月ぶりの水準に低下した。同調査では職の探しやすさも調査しているが、仕事は見つけにくくなっていることが示唆されている。米国の失業率は低水準で、労働環境は良好に見えるが、実際に職を探している人々の目線では違った景色が映るのかもしれない。

なお、別の消費者センチメント調査であるミシガン大学消費者マインド指数は1月に改善を示した。調査対象によりブレがある点など、一つのサーベイだけで判断するのは危険ということが示唆されよう。ただ、各調査には、何らかのメッセージが含まれている可能性もある。仮に消費を支える要因に変化が起きた場合に、これまでの消費行動は維持可能なのだろうか。これに備えた頭の体操は、無駄にはならないと思われる。


梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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