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NYダウ 次の焦点は経済活動の再開か?
田中 純平
2020/05/08

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概要

NYダウは大規模な金融/財政政策に加えて、経済活動の一部再開などが好感されるかたちで、3月23日の年初来安値から反発基調となっている。しかし、経済活動の一部再開が見切り発車となる州が相次いでおり、新型コロナウイルスの感染が再び拡大するリスクが高まっている。



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米国30州が経済活動再開へ動き出す

トランプ政権は経済活動再開に向けたガイドラインを公表している。過去14日間における新型コロナウイルス感染者数の減少やPCR検査等による陽性率の低下などを主な基準としているが、例えば経済活動を今月から再開したテキサス(TX)州では新規感染者数が再び増加傾向にあるほか、ジョージア(GA)州でも陽性率が一般的な目安とされる10%を超えるなど、見切り発車で再開された州が多くなっている。トランプ政権のガイドラインに強制力はなく、経済活動再開を判断するのはあくまで州政府になる。そのため、特に共和党知事州では選挙戦を意識して経済が優先される傾向にある。前述したTX州とGA州はいずれも共和党所属の知事であり、それ以外でも経済活動再開へ動き出した大半の州が共和党知事州となっている。

ハーバード大では、経済活動を5月中に再開させるには1日当たり最低でも50万~60万件のPCR検査等が全米で必要だと試算している。しかし、過去14日間の平均検査数は24万件、陽性率は10%を上回っており、明らかにPCR検査が不足していることが分かる。このような状況ではいつ感染が拡大してもおかしくない。実際、ワシントン大の保健指標評価研究所(IHME)は、新型コロナウイルスによる8月までの米国の死者数をこれまで7万2400人と予測していたが、今月4日に13万4475人へ上方修正した。その原因として挙げられたのが時期尚早な経済活動再開に伴う移動の増加だ。

 

 

当面はニューヨーク州における経済活動の再開時期が注目材料だが…

当面はニューヨーク(NY)州がいつ経済活動を再開できるかが焦点になるだろう。しかし、仮にNY州で感染が収束し再開が実現できたとしても、早期に経済活動を再開させた別の州で感染が拡大すれば、人の移動よって再びNY州で感染が拡大してしまう可能性がある。中小企業の勤務時間の推移を見る限り、経済活動の再開は極めて緩慢なペースで進んでおり、米国経済は感染第二波に対して脆弱な状態にあると言える。NYダウのダウンサイド・リスクは今なお顕在だ。


田中 純平
ピクテ・ジャパン株式会社
投資戦略部長

日系運用会社に入社後、主に世界株式を対象としたファンドのアクティブ・ファンドマネージャーとして約14年間運用に従事。北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードの受賞歴を誇る。ピクテ入社後はストラテジストとして主に世界株式市場の投資戦略等を担う。ピクテのハウス・ビューを策定するピクテ・ストラテジー・ユニット(PSU)の参加メンバー。日経CNBC「朝エクスプレス」、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」に出演。週刊エコノミスト「THE MARKET」で連載中。日本経済新聞やブルームバーグではコメント多数引用。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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