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夏季休暇明けから波乱が想定される英国議会
梅澤 利文
2019/09/03

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概要

英国議会は夏季休暇明けから不透明な動きが想定されます。合意なき離脱など、英国混乱の可能性が高まると下落する傾向があるポンドは16年6月の国民投票後の水準となっています。今後のシナリオを考えると、ポンドが反転するのは「合意による離脱」など可能性が高いとはいえない選択肢に限られそうです。



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英国EU離脱問題:3日に英国議会再開、合意なき離脱阻止へ正念場

英国議会は夏季休会を終え、2019年9月3日から再開しますが、与党・保守党議員の一部が野党議員とともに、英国が欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を回避するため、離脱を延期する法案を準備しています。

この超党派グループが2日に公開した法案によると、ジョンソン首相に①10月19日までに「EUと新たな離脱協定で合意を成立させる」か、②「議会で合意なき離脱の承認を得る」かを求めています。仮に期限内に①、②のどちらも達成できなければ、EU離脱期限を現在の離脱期限である19年10月31日を3ヵ月延ばして2020年1月31日とするようEUに要請するとしています。。

 

 

どこに注目すべきか:英国議会、安全策、協議、内閣不信任、選挙

英国議会は夏季休暇明けから不透明な動きが想定されます。合意なき離脱など、英国混乱の可能性が高まると下落する傾向があるポンドは国民投票後の水準となっています(図表1参照)。今後のシナリオを考えると、ポンドが反転するのは「合意による離脱」など可能性が高いとはいえない選択肢に限られそうです。

ジョンソン首相は、英領北アイルラン ドの国境管理問題が解決するまで英国が関税同盟にとどまるとした「安全策」が削除されるよう、EUとの新たな合意を模索する姿勢を表向きは維持しています。10月のEU首脳会議を目処に、EUと協議を続ける方針を示唆しています。

しかし、EUは新たな合意に消極的で、協議に応じるかも不透明です。また、そもそも「合意なき離脱」を辞さないと公言してはばからないジョンソン首相が、EUと本格的な交渉を行うのかも疑問です。

そこで、 「合意なき離脱」に反対する勢力が、10月末が期限となる離脱を阻止するには、内閣不信任案か期限延期を求める法案が主な対抗手段となります。

ただ、過半数が求められる内閣不信任決議には、保守党の中の「合意なき離脱」の反対勢力の賛成が必要ですが、始まったばかりの内閣に対する不信任は時期尚早で、議論をする前からではハードルが高いように思われます。

今回の超党派グループによる離脱を延期する法案は、とりあえず10月末の離脱を阻止する手段として提案されたと見られます。ただ、ジョンソン首相はこの法案に賛同する与党・保守党の議員らに厳しい処分を示唆すると共に、総選挙の実施をちらつかせています。

そこで政党別の支持率を見ると、足元、保守党はやや回復しています(図表2参照)。過半数に近い英国民が、合意が無くても離脱を支持するという調査もある中、保守党が伸びたと見られます。成果を示す前の総選挙は回避したいところでしょうが、総選挙は単なる脅しでなく、選択肢にあるようです。また、総選挙で支持率通り保守党政権が再選となれば「合意なき離脱」の方針が強まり、ポンドの下押し圧力となることが見込まれます。「合意なき離脱」に反対する勢力の手段が豊富でない中、英国議会の再開を迎えていることが、現在のポンドの水準を示唆していると見られます。


梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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