韓国、第2波もささやかれる中での金融政策 | ピクテ投信投資顧問株式会社

韓国、第2波もささやかれる中での金融政策 梅澤利文 アジア

韓国中銀の今回の利下げは市場予想通りです。一方、通貨ウォンの動向を見ると、年初から新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化、金融緩和観測などを背景に概ねウォン安傾向です。大幅な下落ではないものの、足元回復も見られる東南アジアの通貨に比べると、ウォンは比較的軟調な動きとも見られます。

韓国金融政策:政策金利引き下げを全会一致で決定、非伝統的政策を示唆

 韓国の中央銀行にあたる韓国銀行は2020年5月28日、金融通貨委員会を開き政策金利を0.75%から0.25%引き下げて、過去最低の0.5%にすると発表しました(図表1参照)。

 また、韓国中銀の李柱烈総裁は28日、韓国経済について、今年の成長率予想を2月時点の予想のプラス2.1%から今回マイナス0.2%へ引き下げ、アジア金融危機以来のマイナス成長に陥るとの見通しを示しました。

 さらに、この日の利下げで政策金利は実効下限制約に近づいたと指摘し、非伝統的な政策手段を通じた成長支援を検討していると明らかにしました。

どこに注目すべきか:ウォン、利下げ、非伝統的政策、行動自粛

 韓国中銀の今回の利下げは市場予想通りです。一方、通貨ウォンの動向を見ると、年初から新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化、金融緩和観測などを背景に概ねウォン安傾向です。大幅な下落ではないものの、足元回復も見られる東南アジアの通貨に比べると、ウォンは比較的軟調な動きとも見られます。

 ウォン安の要因は韓国中銀の金融緩和姿勢と見られます。前回の3月16日の利下げは緊急に金融通貨委員会を開催し0.5%と大幅な利下げを実施しました。最も2月27日の委員会で、コロナ感染拡大が懸念されていたものの、政策金利を据え置いたことに批判が強かったことへの対応と、韓国政府が感染拡大抑制に行動自粛を開始する時期(図表2参照)を見計らっての利下げと思われます。

 なお、利下げ余地は限定的となりつつありますが、韓国中銀は恐らく債券購入を中心とした非伝統的な政策手段を実施する構えで、金融緩和姿勢を維持しています。

 次に、韓国の景気回復の鈍さもウォンの足かせと思われます。韓国中銀は今年の成長率予想をマイナス0.2%に下方修正しました。輸出主導の経済構造を脱しきれない韓国にとり、外需頼みの苦しい展開が続きそうです。

 また、足元ウォンは下落傾向となっている人民元との相関が高まっています。米中関係の悪化は韓国にも巡り巡って影響が及ぶ可能性が考えられます。

 最後に、最近の気になる点として、コロナウイルスの感染再拡大の懸念があげられます。韓国のコロナによる死者数は300人以下と感染抑制に成功した国という評価があります。韓国では3月から行動自粛として経済活動を制限してきましたが、4月20日から段階的に緩和を進めてきました(図表2参照)。しかし、足元新規感染者が増加傾向で28日は79人、29日で58人が確認されました。外出自粛の目安50人を超えたこともあり、韓国では再び外出自粛が要請されています。仮に感染再拡大、経済制限拡大となれば先の経済予想は想定が甘いということも懸念されるだけに今後の動向に注意が必要です。韓国に気の緩みがあったのかはわかりませんが、緊急事態制限が解除された日本も、他山の石として韓国の動きは見ておく必要がありそうです。

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


関連レポート

一覧へ

ページの先頭へ戻る