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- 日銀短観と日銀支店長会議:まだ決め打ちできない
日銀は4月27~28日に金融政策決定会合を開催予定だが、追加利上げの有無が注目されている。短期金融市場では利上げが6割超の確率で織り込まれているが、4月は据え置き、6月以降の利上げを見込む声もある。3月短観は企業マインドの堅調さが示されたが、中東情勢の影響は十分に反映されていないようだ。今後も中東情勢や各種経済指標を注視し、日銀の政策判断を慎重に見極めたい。
日銀4月会合での利上げの有無に注目が集まる中、短観等が発表された
日銀は次の金融政策決定会合(以後、会合)を4月27日~28日に予定している(図表1参照)。追加利上げの有無が焦点だが、短期金融市場を見ると、市場は6割超の確率で4月会合での利上げを織り込んでいる。ただし、不確実性が高まる中、4月は様子見で政策金利を据え置き、6月会合以降での追加利上げを見込む声も根強い。
図表1に、日銀関連の主な注目イベントをまとめた。当レポート執筆時点(4月7日)で日銀短観と日銀支店長会議の内容が発表された。これらのポイントを振り返るとともに、今後の注目点を再確認する。
日銀短観は中東情勢の状況を十分に反映したとは言い難いようだ
日銀は4月1日に3月の全国企業短期経済観測調査(短観)を公表した。大企業・製造業のDIがプラス17と25年12月(16)を上回り、4四半期連続で改善した(図表2参照)。大企業・非製造業のDIは36と、市場予想の33を上回り、高水準を維持した。中小企業のDIも製造業は市場予想の7に一致し、非製造業は16と、市場予想の14を上回った。企業マインドの底堅さは、業態、規模にかかわらず概ね堅持される結果だった。
経常利益見通しや設備投資計画も懸念されたような悪化はみられなかった。設備投資計画を見ると、2025年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地投資額)は前年度比7.9%増だった。新たに示された26年度の設備投資計画(全規模全産業、同ベース)は1.3%増だった。期初からのプラス計画となっており、設備投資意欲は比較的高いとみられよう。
3月の短観からは企業マインドの底堅さがうかがえる。一方で、3月短観の回答期間は2月26日~3月31日だが、大半(7割程度)が提出を終える回収基準日は3月12日であり、今日の中東情勢の悪化を十分に反映したとは言い難い。短観の調査項目には業況判断DI の「先行き」がある。結果を見ると、大企業・製造業は14と先行きを慎重にみている。しかし、日本企業が先行きに慎重なのは今回の調査に限ったことではない。中東情勢を反映した結果とみるには不十分だろう。次回の会合における日銀の金融政策を占ううえで、短観から読み取れる情報は決め手となりにくかった。
日銀支店長会議の公表資料はバランスが取れた内容だった
日銀は4月6日に各地域からみた景気の現状、及び地域経済報告(さくらレポート)を公表した。各地域の景気の総括判断を前回の支店長会議開催時点(26年1月)と比較すると、すべての地域で総括判断を維持した。その意味で、総括判断は新鮮味に乏しかった。
一方、さくらレポートでは、企業等の主な声に、中東情勢の緊迫化の影響がまとめられていた。中東情勢に対する企業の声を見ると、原油価格の上昇による輸送コスト上昇、原材料の値上げや物流の停滞などコスト上昇への懸念が指摘されている。一方で、事態が長期化した場合、(足元は堅調だが)中東向け輸出の悪化や、旅行需要の見通し悪化懸念など、景気への影響も指摘されている。日銀支店長会議に伴う報告は全般にバランスをとった内容だったとみている。中東情勢は物価の押し上げ要因でもある一方で、景気を押し下げる要因でもあることの両論併記だからだ。日銀の3月会合の議事要旨である「主な意見」の金融政策運営に関する意見を見ると、「中東情勢は物価上昇と経済の下押しにつながり得るものの、現在の金融環境のもとでは、物価の上昇基調は維持されると見込まれる」といった意見に代表されるように利上げバイアスが強かった。利上げ姿勢を緩めれば円安が進行するという事情があったのかもしれない。ただし、中東情勢のような先行きの展開が不確実な中で開催される会合では、判断の自由度を高めるため、柔軟な姿勢を維持することも必要だろう。今回の日銀支店長会議では企業の景気への不安を示すことで、物価と景気のバランスを取り戻す効果があったように思われる。
なお、日銀支店長会議では中小企業の賃金設定方針に注目していたが、26年度も、昨年度同様の賃上げ方針を多くの中小企業が示したと述べ、利上げの条件が確保されていることを示唆した。利上げ姿勢をしっかり維持したことは重要だ。
図表1の日銀関連イベントに戻ると、8日には内閣府が「景気ウォッチャー調査」を発表する予定だ(図表3参照)。2月は48.9と改善傾向が維持されたが、注目は3月分だ。中東情勢の影響で下振れが想定される。景気ウォッチャー調査の調査期間は毎月25日から月末であることから、足元の中東情勢を反映するとみられる。小売店主らに聞いた「街角景気(景気ウォッチャー調査)」は身近なマインドを探るうえで参考にしたい指標だ。筆者は4月と6月の利上げの可能性はほぼ同程度とみているが、4月会合直前まで各イベントを注視したい。
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