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- 中国26年1-3月期GDP、幸先良いスタートだったが
中国の2026年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比5.0%増と市場予想を上回った。生産活動と輸出が成長を牽引した。一方、小売売上高の回復は鈍く、不動産市場低迷や米中対立の長期化が背景と見られる。工業生産は半導体関連などが好調で輸出をけん引する品目と整合的だった。中国の成長は今年も外需と生産活動頼りだろう。26年の成長目標は達成可能と思われるが簡単ではなかろう。
中国の1-3月期のGDP成長率は前年同期比で5%増だった
中国国家統計局が4月16日に発表した1-3月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比5.0%増と、市場予想の4.8%増、2025年10-12月期の4.5%増を上回った(図表1参照)。生活実感に近いとされる名目GDPは前年同期4.9%増と、25年10-12月期の3.9%増を上回った。
16日には、3月分の主要月次データも公表された。小売売上高は3月が前年同月比で1.7%増と、市場予想の2.4%増を下回った。個人消費は回復感に乏しい数字だった。一方で、3月の工業生産は5.7%増と、市場予想の5.3%増を上回るなど底堅かった。中東情勢が悪化した時期でもあったが、影響は比較的小幅だったようだ。
中国の1-3月期の成長率は外需と生産活動が押し上げ要因だった
中国の1-3月期GDPの押し上げ要因は、月次データから判断して主に生産活動と輸出であった。一方で、消費の回復は鈍い。堅調な生産と輸出と、軟調な消費という構図は昨年後半から続いている。この問題の解消が26年のテーマであろう。
まず、プラス要因である。14日に発表された3月の貿易統計の内容を確認する(図表2参照)。輸出は3月が前年同月比で2.5%増、輸入は27.8%増だった。ただし、図表2にあるように、中国の1-3月期のデータは春節(旧正月)に伴う大型連休の日程が異なることを受けデータが大幅に変動した。また前年同月比のデータは昨年のトランプ関税前の貿易動向でも変動が大きくなったようだ。
そこで1-3月の輸出の伸びを均して見たものが実態に近く、1-3月は15%近辺の伸びと見られる。
輸出を押し上げた品目としては、AI需要を受け、半導体関連が好調を維持し、電気自動車(EV)を含む自動車なども堅調だった。中東情勢の悪化を受け衣料品や玩具などは3月に悪化に転じた一方、風力発電機など再生可能エネルギー関連(太陽光発電は除く)は底堅かった。
一方で輸入は3月に前年同月比27.8%増と急拡大したが、原油の輸入金額は昨年を小幅下回っている。エネルギー価格上昇の影響とは考えにくい。輸入についてもデータにノイズがあるようだ。そこで、1-3月期の貿易収支を見ると、昨年から小幅な減少にとどまった。純輸出(輸出-輸入)は1-3月期に中国経済の押し上げ要因だったと見られよう。
ただし、中東情勢悪化が長期化した場合、輸出は下押し、輸入には上振れ方向で作用すると見られる。今後の展開に注視が必要だ。
次に、堅調な伸びを確保した3月の工業生産(図表3参照)の内容を見ると、AI機器が前年同月比で24.4%増と高い伸びを維持しており、堅調な半導体輸出と整合的だった。自動化を支える工業用ロボットなどの生産も好調だった。
一方で、セメントやガラスなど建築関連の生産は軟調だった。不動産市場の回復の遅れが示唆される。また、自動車はEVを含めて伸びは軟調で、国内需要の回復は相対的に鈍いことがうかがえる。
中国の個人消費に底打ち感は見られるものの回復ペースは鈍そうだ
国内需要の回復の鈍さは、図表3の3月の小売売上高に反映されている。小売売上高は前年同月比で、ベースは異なるが、1-3月期GDPの伸びを下回る水準にとどまった。小売売上高を1-3月期ベースで見ても2.4%増と、GDPを下回っている。
ただし、月次ベースで比較するため、25年11月、12月の小売売上高の伸びを確認すると、前年同月比で各々1.3%増、0.9%増だった。3月の伸びは昨年末を小幅ながら上回っており、底打ち感もうかがわせる。消費センチメントを反映する可能性がある飲食店収入は1-3月期が4.2%増だった。しかし、小売売上高についても1-3月期のデータは変動が大きく判断がしにくい点に注意が必要だ。
中国の個人消費の回復には多くの課題が残る。不動産市場回復の遅れ、米中対立は長期化の様相を呈していることなどだ。関税などを巡る米中対立は足元では緊張緩和の印象もある。しかし、これは単なる小康状態と見るべきだろう。台湾問題など外交問題も含め米中の根本的な対立要因は多岐にわたる。対立が解消したとは言い難い。
不動産投資は低迷したままだ。3月の不動産投資は年初来前年同期比で11.2%減と大幅なマイナスが続いている。住宅不動産販売では18.5%減と、さらにマイナス度合いが大きい。住宅価格は昨年後半から一部に底打ちの動きも見られるが、依然下落傾向だ。住宅問題は消費を慎重にさせる要因と見られ、対応が求められる。中国当局も3月の全国人民代表大会(全人代)で住宅対策を発表した。しかし、過去の対応策の焼き直しが大半で、対応には手詰まり感も見られる。
中国の今年の成長は外需と生産活動に依存することとなりそうだ。一方、消費の回復は鈍く、回復ペースの鈍化も見込まれる。中国の1-3月期の成長率は26年の成長目標「4.5〜5%」の上限と幸先良いスタートだが、目標達成は簡単ではなく、今後は下限の4.5%程度に向かうと見込まれる。
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