無風のFOMCからわかること | ピクテ投信投資顧問株式会社

無風のFOMCからわかること 梅澤利文 北米

今回の金融政策の据え置きは、景気の現状認識や追加財政政策が交渉中であることから、驚きはない結果です。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFRBの戦略見直しを近い将来に完了することを示唆しており、フォワードガイダンスの強化など金融政策の変更と合わせ、早ければ次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では何らかの変化も想定されます。

FOMC:市場予想通り、主な金融政策を据え置き緩和姿勢を維持、政治動向を注視

 FRBは2020年7月28~29両日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催しました。市場予想通り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを据え置く(0~0.25%)など、金融緩和姿勢を維持しました。

 パウエル議長は、今後の進路は「非常に不確実」だと述べ、個人消費の一部指標は6月後半以降低下し、労働市場も小規模な企業を中心に雇用の伸びが鈍化していると指摘し、追加の財政政策の必要性を示唆しています。

どこに注目すべきか:FOMC、追加財政政策、戦略見直し、株購入

 今回の金融政策の据え置きは、景気の現状認識や追加財政政策が交渉中であることから(図表1参照)、驚きはない結果です。ただ、FRBのパウエル議長はFRBの戦略見直しを近い将来に完了することを示唆しており、フォワードガイダンスの強化など金融政策の変更と合わせ、早ければ次回のFOMCでは何らかの変化も想定されます。

 まず、景気認識については、経済の再開や政策支援を受け経済活動は回復したと述べる一方で、雇用などの水準はコロナ前を大きく下回ること、足元で感染拡大が懸念されることを強調し、金融緩和姿勢を維持しています。一定の回復と、今後の不透明感という景気認識は金融政策の据え置きと整合的と思われます。なお、今後の動向については声明文に「経済の動向はウイルスに大きく左右されるであろう」という、言われるまでもなく当然の内容を新たに挿入することで、懸念が残ることを示唆しています。

 景気下支えに大きな役割を果たしたと見られる財政政策が追加策を巡り現在交渉中であることも据え置きの要因であった可能性があります。現段階では共和党と民主党の主張は、規模を見ても違いがあります。民主党案は概して支援が手厚く、また地方政府支援を組み込んでいますが、共和党は地方政府支援や医療従事者への支援は民主党と違う手段を検討している模様です。ただ、家計支援など既存のプログラムが期限切れを迎える中、両党とも家計支援や給与保護の重要性は認識しており、近いうちに、何らの合意があるものと見ています。

 据え置きとなったFOMCですが、パウエル議長の会見にはいくつか注目点も見られます。

 例えばパウエル議長はFRBの戦略見直し(インフレ目標を平均などに修正などが検討されていると思われる)が近い将来に完了する可能性を示唆しました。戦略の変更の公表はかなり先であっても、金融政策は戦略の変更内容を踏まえた方向で調整される可能性が考えられます。9月のFOMCで金融政策に変更(コロナ次第ながら)も考えられます。

 金融政策の手段について、イールドカーブコントロールは会見でも言及が無く、優先順位が相当低くなった印象です。また、会見の後半で女性記者からFRBが株式を購入する可能性について問われ、パウエル議長は購入に極めて消極的でした。金融市場の機能を維持するためには、条件付ながら非投資適格債(ジャンク債)まで購入対象に含めたFRBですが、株式購入には距離を置きたい印象です。金融市場の機能維持の範囲では、手が出にくいのかもしれません。

執筆者

梅澤 利文ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


ページの先頭へ戻る