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- 米雇用統計を前に、求人件数、ADPなどを一気見
12月の米ADP雇用報告で非農業部門の雇用者数は市場予想を下回り、米労働市場の鈍化が示唆された。米労働省は7日に発表した雇用動態調査(JOLTS)では求人件数が市場予想を大幅に下回った。求人件数が低水準なことから失業者1人当たりの求人も減少している。一方、ISM非製造業景況指数は上昇傾向を維持、サービス部門は堅調だが、製造業との格差や価格上昇圧力は懸念材料だ。
12月ADP雇用報告で米国の非農業部門雇用者数は市場予想を下回った
米民間雇用サービス会社ADPが1月7日に2025年12月の全米雇用報告を発表した。米民間(非農業部門)雇用者数は前月比4.1万人増と、市場予想の5万人増は下回ったものの、11月の2.9万人減(速報値の3.2万人減から上方修正)を上回った(図表1参照)。
部門別の雇用者数の伸びを見ると、12月は教育・医療サービスや娯楽・ホスピタリティーの分野が大きく伸びた。一方、専門職・ビジネスサービス分野と製造業で減少した。規模別では大企業が採用を手控え気味であったが、11月に雇用が大幅に減少した要因であった小規模事業者に採用を回復する前向きな動きが見られた。
求人件数は24年9月以来の低水準だが、底堅さを併せ持つ面も
米国で2026年に既に発表された主な経済指標として、ADP雇用報告以外にも雇用動態調査(JOLTS)、米ISM景況指数などがある。結果を振り返ると強弱入り混じるが、景気は底堅い一方で、米雇用は緩やかに鈍化している印象だ。
ADP雇用報告は、小規模事業の採用回復など明るい兆しはあるものの、全体として非農業部門雇用者数は市場予想を下回っており、米労働市場の鈍化を示唆したと見ている。
なお図表1にあるように12月の転職者の賃金の伸びは前年同月比で6.6%と、21年以来最も低い伸びとなった11月の6.3%から回復した。これが、持続的なのかについては今後を見守りたい。
米労働省は7日に雇用動態調査(JOLTS)を発表した(図表2参照)。11月の求人件数(非農業部門)は714.6万件と24年9月以来の低水準で、市場予想の約764.8万件、10月の744.9万件を下回った。求人件数の減少を受け、労働需給のバランスを示す目安として金融当局が注視する失業者1人当たりの求人件数は0.9件と、21年3月以来の低い数字となった。22年のピーク時には2件に達していただけに、仮にさらなる低下が続くようであれば、失業率への影響などが懸念される。
一方で、雇用動態調査の中には、転職市場の活況度を反映する傾向があるとされる離職率が前月から改善した。また、解雇件数は12月が168.7万件と6ヵ月ぶりの低水準で、前月の185万件を下回った。前月は23年以来の高水準だっただけに、企業は新規採用に慎重ながら、解雇にもそれほど積極的でない様子がうかがえる。
なお、大手求人企業(インディード)が提供する高頻度の求人件数データを見ると、求人件数は11月月初に底打ちし、12月は底堅く推移している。雇用動態調査とはサンプルが異なるため単純に比較はできないが、筆者は求人件数が底割れするイメージを描いていない。
12月のISM景況指数は製造業と非製造業で明暗分かれた
米サプライマネジメント協会(ISM)が7日に発表した25年12月の米ISM非製造業(サービス業)景況指数は54.4と、市場予想の52.2、前月の52.6を上回り、上昇傾向が維持された(図表3参照)。また、構成指数で内訳を見ても製造業における生産指数に相当する事業活動指数は56.0と1年ぶりの高水準で、前月の54.5を大幅に上回った。先行きを示唆する新規受注も57.9と、24年9月以来の高水準だったうえ、新規輸出受注も54.2と、約1年ぶりの高水準だった。
注目したいのは雇用指数で12月は52.0と、25年5月以来の50超えとなった。ISM非製造業景況指数の中では出遅れ感があった指数だけに、今回の回復が持続的なのかに注目したい。
ISM非製造業景況指数の調査回答者のコメントも概ね景気回復に肯定的だ。輸送サービスが年末商戦の活況を指摘するなど、季節的な影響があったのかもしれないが、教育サービスのように人手不足を訴える部門も見られた。サービス部門はおおむね堅調と見られる。
ただし、気になる点もあった。まず、複数の部門で価格上昇圧力を指摘するコメントが見られた。人手不足の部門もコスト上昇圧力に直面する可能性も考えられる。米政府機関閉鎖の影響で、物価指標から得られる情報は不十分であった。足元のサービス価格の動向をしっかり確認する必要がありそうだ。
別の懸念は製造業との格差だ。5日発表された12月のISM米製造業景況指数は47.9と下落基調が維持され、好不況の分かれ目の50を10カ月連続で下回った。調査回答者のコメントでは関税の影響を指摘する回答が目立った。関税そのものは合意が進んでいる面を指摘する声がある一方で、価格への影響など現場では関税の負の側面が残っていることがうかがえる。
年初からの雇用関連指標や製造業の景況感指数からは利下げの必要性がうかがえるが、まずは物価動向を見極めてから追加利下げというシナリオを筆者は見込んでいる。今週末の雇用統計等次第だが、次の利下げは4-6月頃と見ている。
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