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- 環境変化確認編②~物価と政策金利の変遷~
2020年以降、新型コロナウィルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻が招いた急激なインフレ進行の収束のため、世界各国の中央銀行は急ピッチな利上げを行いました。
■2020年以降に進行した激しいインフレ
今回は2020年以降、大きく変動している物価動向と政策金利について確認いたします。まず物価についてです。2000年以降、米国のインフレ率は概ね2~3%で推移し、ユーロ圏においても一時的にデフレ圧力が高まる局面や圏内の加盟国間で差が生じる局面がありましたが概ね2%前後で推移していました。一方、日本はバブル崩壊後の長期的な経済停滞が尾を引き、欧米諸国に比べインフレ率は非常に低く、たびたび物価下落を経験してきました。しかし、2020年以降、新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、状況は一変しました。多くの国で渡航制限や外出制限が課され、ヒト、モノ、カネの流れが強制的に遮断されました。グローバリゼーションにより、国際分業が進んでいた世の中において、国境を超えるサプライチェーンが途絶えたことで供給面での大きな経済停滞が生じました。景気を下支えすべく、各国の政府と中央銀行は大規模な財政出動や金融緩和政策を行いましたが、経済活動再開後もサプライチェーンの再構築はなかなか進まず、モノやサービスの供給不足がインフレの進行につながりました。さらに、2022年にロシアがウクライナに侵攻すると、この2ヵ国が主に供給しているエネルギー資源や穀物類等の国際価格が高騰、インフレに拍車をかけました(図表1)。2022年には米国で9%、ユーロ圏で10%を超えるインフレ率(前年同月比)を記録しました。
図表1:米国、ユーロ圏、日本のCPIの推移
(月次、1971年2月~2025年2月、ユーロ圏は1997年1月以降)
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
■中央銀行の政策金利
急激に進行したインフレを沈静化させるため、日本を除く多くの国々が政策金利の引き上げを行いました。米国のFRBは2022年3月より利上げを開始し、0.0~0.25%だった政策金利は途中、4会合連続で0.75%の利上げが行われる等、非常に早いピッチで進み、2023年7月には5.25~5.5%まで引き上げられました。ユーロ圏においてもECBが2022年7月より利上げを開始、0%だった政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は2023年9月には4.5%まで引き上げられました(図表2)。一方、日本でも同期間にインフレが進行しましたが、欧米諸国に比べると相対的に大きな上昇ではなかったことや、日本銀行の金融政策決定会合において、インフレはコストプッシュ型であるが故に、持続的かつ安定的に物価目標を達成していく見込みが十分にないと判断され、継続的な賃上げ等による実体経済の回復により、賃金と物価の好循環が起きていると確認できるまで、緩和的スタンスを維持することが決定されました。その後、2024年3月の金融政策決定会合にて、先述の賃金と物価の好循環の強まりが確認されているとの認識が多くの政策委員会委員に共有され、2%の物価安定の目標が持続的、安定的に実現していくことが見通せる状況になったと判断され、マイナス金利の解除とイールドカーブ・コントロールの撤廃が行われました。2025年2月末時点での政策金利は0.5%となっています。
図表2:米国、ユーロ圏、日本※の政策金利の推移
(前年同月比、1971年2月~2025年2月、ユーロ圏は1998年12月以降)
※1971年2月~1994年9月:公定歩合、1994年10月~2016年1月:無担保コール翌日物、2016年2月~2024年2月:政策金利残高に付与される金利、2024年3月~2025年2月:無担保コール翌日物
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
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