Article Title
ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|銀行セクターの混乱は経済を揺るがすとしても2008年の再来にはならず
2023/03/30

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

● 本稿では銀行セクターの混乱に対するピクテの見解をご紹介します。
● スイス政府が介入・主導したクレディ・スイスの救済買収と、米国地銀の相次ぐ破綻が経済に影響を及ばすことは間違いありませんが、深刻な信用収縮が発生する確率は極めて低いと考えます。



Article Body Text

低コストの資金調達は人間の判断力を鈍らせます。几帳面な財務担当者が果敢にリスクを取り、慎重な行動に徹する企業が、正常な環境では回避するはずのリスクの高い事業の魅力に負けてしまうからです。

このように、方向性を見失って混乱してしまうことのコストは、金利が急騰する局面でこそ、露呈するものです。

こうした観点からすると、米国地銀の相次ぐ破綻や政府主導のクレディ・スイスの救済買収は、変則的な対応というよりは必然の結果だったように思われます。

中央銀行による金融引き締めが、景気の悪化をもたらすことは自明の理と言ってよいでしょう。

とはいえ、2008年の金融危機の再来を予想するのは間違いのように思われます。経済成長の鈍化はもとより、経済の急激な収縮の可能性も否めませんが、深刻な信用収縮が発生する確率は極めて低いと考えるからです。

一方、投資家にとっての明るい材料は、10年以上前のリーマン・ブラザーズ破綻の直後に導入された規制によって、世界の銀行セクターを支える基盤が大幅に強化されていることです。

2008年の金融危機の根本的な原因となった不良債権は、金利上昇局面では常に問題を起こすものですが、かつてのように銀行のバランスシートに影響を及ぼすことは、もはやありません。

欧州の銀行は資本規制の強化に対応するため、不良債権を10年前の約1兆ユーロから、融資総額の2%にも満たない3,500億ユーロ以下に削減しています。また、欧州域内の銀行は、その他の財務指標で見ても健全なように思われます。

欧州銀行監督局のデータによれば、30日間の予想預金引き出し額に対する銀行保有の流動資産の比率を表す流動性カバレッジ比率は、欧州域内平均で162%と、銀行規制が定める100%を上回っています。 

一方、バークレイズ銀行によれば、米銀の預貸率(預金に対する貸出比率)は、2007~2008年の約95%から約70%に低下しています。

サブプライム・ローン危機に苦慮した中央銀行は 金融システムの賢明な管理者に姿を変えています。従来型の金融政策では金融リスクの抑制に限界があることをいち早く見抜いた、米連邦準備制度理事会(FRB)が主導する世界の中央銀行は、極めて広範な危機管理策を導入しています。

量的金融緩和、フォワード・ガイダンス、銀行向けの補助金付き融資は、企業ローン、債券および株式の買入れと並行して活用されています。

議論の余地はあるとしても、金融システムを守るため、政府との協調行動を取る中央銀行が出来ることには限りがないように思われます。リーマン・ショックが金融政策立案者にとっての暗闇の時だったとしたら、UBSによるクレディ・スイスの救済買収は、彼らにもっと好意的な光を当てるべきでしょう。

とはいえ、いずれも、経済が無傷で済むことを意味しているわけではありません。

銀行セクターの動揺を背景とした消費者心理や企業心理の悪化は必至です。銀行融資の伸びも大幅に鈍化する可能性が否めません。

クレディ・スイスの破綻に起因して発生するリスクの一つとしてあげられるのが、世界の銀行が資金調達源として依存してきたAT1債市場の終焉です。クレディ・スイス発行のAT1債がUBSによる買収に伴って価値を全て失ったことから、AT1債市場の先行きが疑問視されています。AT1債は、2008年の世界金融危機後に、納税者の負担による銀行セクターの救済を回避する目的で導入された債券です。AT1債が投資家に高いクーポン金利を支払ってきたのは、銀行の経営悪化に伴う組織再編時に株式転換の可能性があるというリスクを有しているからです。AT1債は、市場金利が最低水準に張り付く環境で、投資家や銀行の人気を博し、市場規模は3,000億米ドルに迫っていましたが、スイスの金融当局がクレディ・スイスのAT1債を無価値としたことの影響は避けられそうにありません。少なくとも、投資家がクーポン金利の引き上げを要求する動機となって、銀行の資金調達コストを押し上げる可能性が考えられます。その結果、融資が減少し、とりわけ米国の中堅行の間で既存の融資トレンドが悪化することが予想されます。また、状況が更に悪化すれば、地元の銀行に依存する中小企業や家計への融資が縮小する公算が大きいと考えます。

銀行セクターの苦境は消費者心理や企業心理にも影響を及ぼす可能性があります。信頼感の悪化は消費支出や企業投資を下押す可能性が高く、家計、企業ともに、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に積み上がった貯蓄を崩さず、やりくりする公算が大きいと思われます。

JPモルガンなどの投資銀行は、銀行セクターの苦境が向こう2年のGDP成長率を1%押し下げる可能性があるとの警告を発していますが、ピクテでは、金融の引き締めに対してFRBが利上げの到達点を従来予想から引き下げる公算が大きいと見ており、米国経済の回復力は投資銀行の予想以上に強靭であると考えます。

とはいえ、目先の金融市場を動揺させる可能性のある逆風が吹きつけていることは間違いありません。

金融市場は、経済情勢の悪化に伴って混迷の度合いを深めようとしていますが、米国および欧州市場で展開されている銀行セクターの混乱が深刻な金融危機につながる公算は小さいと考えます。



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

ピクテ・アセット・アロケーション・ファンド(毎月分配型)

ピクテ・アセット・アロケーション・ファンド(1年決算型)



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/02/22
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2024年1月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2024/02/20
タイトル 【動画】ノアリザーブ| 米国景気の軟着陸に楽観的、株価は上昇基調が続く見通し タグ
日付
2024/01/26
タイトル 【動画】ノアリザーブ| 2023年12月の運用状況と今後の運用方針 <松元 浩> タグ
日付
2024/01/24
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年12月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/12/22
タイトル 【動画】ノアリザーブ|11月の運用状況と今後の運用方針 <松元 浩> タグ
日付
2023/12/19
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年11月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/11/27
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年10月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/11/22
タイトル 【動画】ノアリザーブ| 「金」を組み入れた分散投資 ノアリザーブの運用状況 <松元 浩> タグ
日付
2023/10/31
タイトル 【動画】ノアリザーブ|「金」を組み入れた分散投資 ノアリザーブの運用状況 <松元 浩> タグ
日付
2023/10/20
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年9月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/09/26
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年8月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/09/21
タイトル 【動画】ノアリザーブ|いま注目される「金」を組み入れた分散投資<松元 浩> 2023.9 タグ
日付
2023/08/28
タイトル 【動画】ノアリザーブ|いま注目される「金」を組み入れた分散投資<松元 浩> タグ
日付
2023/08/25
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年7月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/07/28
タイトル 【動画】ノアリザーブ|いま注目される「金」を組み入れた分散投資<松元 浩> タグ
日付
2023/07/21
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年6月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/06/28
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年5月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/06/21
タイトル 【動画】ノアリザーブ| いま注目される「金」を組み入れた分散投資<松元 浩> タグ
日付
2023/06/16
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|FOMCを受けた運用チームの見解 タグ
日付
2023/05/22
タイトル 【動画】ノアリザーブ| いま注目される「金」を組み入れた分散投資<松元 浩> タグ
日付
2023/05/18
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年4月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/04/24
タイトル 【動画】ノアリザーブ|今、見直される金を取り入れたアセット・アロケーションの強み <松元 浩>2023.4 タグ
日付
2023/04/17
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年3月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/03/27
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|FOMCを受けた運用チームの見解 タグ
日付
2023/03/20
タイトル 【動画】ノアリザーブ|今、見直される金を取り入れたアセット・アロケーションの強み <松元 浩>2023.3 タグ
日付
2023/03/17
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年2月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/03/16
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|米銀行の経営破綻の影響について考える タグ
日付
2023/02/21
タイトル 【動画】ノアリザーブ |今、見直される金を取り入れたアセット・アロケーションの強み <松元 浩> タグ
日付
2023/02/17
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2023年1月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2023/01/31
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年の振り返りと今後の運用方針 タグ
日付
2023/01/25
タイトル 【動画】2022年12月の運用状況<松元 浩>|ノアリザーブ タグ
日付
2023/01/20
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年12月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/12/14
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年11月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/11/18
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年10月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/11/02
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|分散投資効果が発揮されにくい局面となった2022年年初来の基準価額動向 タグ
日付
2022/10/19
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年9月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/09/16
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年8月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/08/15
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年7月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/07/22
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年6月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/06/15
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年5月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/05/16
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年4月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/04/20
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年3月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/03/22
タイトル ノアリザーブ/ノアリザーブ1年|2022年2月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/02/25
タイトル ノアリザーブ毎月/1年|2022年1月の運用状況と今後の見通し タグ
日付
2022/01/27
タイトル ノアリザーブ毎月/1年|2021年12月の運用状況と今後の見通し タグ
もっと見る