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新型コロナウイルス パンデミック化の経済的影響
田中 純平
2020/02/28

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概要

これまで局所的に感染が拡がっていた新型コロナウイルスはここ数日間で世界的に感染が拡大、新たな局面を迎えつつある。WHO(世界保健機関)は世界的流行を意味するパンデミックが起こる可能性について言及したほか、米CDC(疾病対策センター)もパンデミックが近づいていると懸念を示した。パンデミック化した場合の経済的影響は甚大だ。



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中国では感染者数の増加ペースが鈍化するも、中国以外では逆に加速

WHOによれば中国における新型コロナウイルスの感染者数は2/27時点で78,630人(前日比+0.6%)となり、ここ数日で明らかに増加ペースが鈍化した。一方、中国以外の感染者は3,664人(同+25.6%)と伸び率が加速しつつある(図表1)。特に感染者が拡がっている国は韓国やイタリア、イランであり、各国が水際対策で感染拡大を防ぐことがますます困難になっている(図表2)。これを受けて世界の株式市場は2/21から大きく下落する展開となり、韓国株やイタリア株が大幅安となったほか、南米大陸で初の感染者が出たブラジルでも株式市場が急落した。さらに、これまで堅調に推移してきた米国株も下落に転じ、大幅続落の展開となった。

 

 

パンデミック化の経済的影響は?

投資家が警戒するのは新型コロナウイルスのパンデミック化だ。韓国やイタリア、イランだけでなく、GDP(国内総生産)で世界全体の約1/4を占める米国でも感染が拡がった場合、世界経済への影響は計り知れない。世界銀行による過去のパンデミックをモデルケースとした推計(世界GDP変化率)では、軽度(1968年-69年の香港インフルエンザ)で0.7%の下振れ、中等度(1957年のアジア・インフルエンザ)で2.0%の下振れ、重度(1918年-19年のスペイン・インフルエンザ)で4.8%の下振れとなっている。今回の新型コロナウイルスが香港インフルエンザと同等であれば比較的軽微にとどまるが、中等度以上であれば甚大な影響が予想される。

パンデミック化の分水嶺となりそうなのが米国だ。米国の感染者数は足元で徐々に増加しているほか、2/26には初の感染源不明の症例がCDCから報告された。中国との人の往来が頻繁であるサンフランシスコ市も非常事態宣言を出すなど、状況は日々刻々と変化している。

新型コロナウイルスのパンデミック化に備え、引き続き公益や不動産といった相対的にリスクの低いセクターやゴールド等に分散投資をし、ポートフォリオのリスクを下げて資産運用を行うことが当面重要になるだろう。

 

 


田中 純平
ピクテ・ジャパン株式会社
投資戦略部長

日系運用会社に入社後、主に世界株式を対象としたファンドのアクティブ・ファンドマネージャーとして約14年間運用に従事。北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードの受賞歴を誇る。ピクテ入社後はストラテジストとして主に世界株式市場の投資戦略等を担う。ピクテのハウス・ビューを策定するピクテ・ストラテジー・ユニット(PSU)の参加メンバー。日経CNBC「朝エクスプレス」、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」に出演。週刊エコノミスト「THE MARKET」で連載中。日本経済新聞やブルームバーグではコメント多数引用。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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