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米国西部・南部の感染は経済・市場を左右
市川 眞一
2020/07/03

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概要

新型コロナウイルス禍が米国西部・南部の主要州で拡大している。カリフォルニア、フロリダ、テキサス、アリゾナの4州が特に懸念されるのは、経済規模が大きく、感染者が急増しているからだ。テキサス、フロリダは、共和党の知事が経済活動再開の一時停止に追い込まれた。これらの州の感染状況は、米国の政治・経済に大きな影響を及ぼす可能性があり注目される。



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米国の感染:「第2波」ではなく「第1波」

新型コロナウイルスは、震源地である中国、一時は医療崩壊に陥った欧州主要国、そして北東アジアの日本、韓国では第1波が収束した模様だ。一方、米国及び新興国において、感染が急速に拡大している。アンソニー・ファウチ米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長が指摘するように、米国の状況は感染第2波ではなく、第1波が続いていると考えるべきだろう。理由は、ニューヨークなど北東部から始まった米国の新型コロナウイルスの感染が、西部、南部へと広がり、国全体としては収束することなく感染者が増加しているからだ。

トランプ大統領は、4月17日、各州がロックダウンを解除する上でのガイドラインを発表した。これに従い、共和党の知事を中心に経済活動再開への舵が切られ、経済指標は改善しているが、感染抑止に関しては裏目に出た感が強い。

特に深刻な状況にあるのが、テキサス、フロリダ、アリゾナなど南部、西部の主要州である(図表1)。早い段階で州境を封鎖、感染の抑制に成功したと言われたカリフォルニアも感染者が急増している。一部の都市で集中治療室(ICU)の収容能力が限界に近づいたことなどから、テキサス、フロリダ両州ではグレッグ・アボット、ロン・デンサンティス両知事が経済活動再開の一時中止に追い込まれた。

市場変動要因:流動性からイベントへシフト

米国の州別GDPウェートを見ると、カリフォルニアは14.6%を占め、テキサスの8.8%が続く(図表2)。フロリダは4番目で5.1%だ。これにアリゾナを加えると、米国全体の経済規模の30.2%に達する。

一方、6月30日現在、人口100万人当たりの感染者は、カリフォルニア5,849人、テキサス人、フロリダ7,264人で、ニューヨークの1万9,822人には遠く及んでいない。従って、現状には楽観的な見方もあるようだ。しかし、新型コロナウイルスは感染が一気に拡大する傾向があるだけに、気を抜くことはできないだろう。

今後、テキサス、フロリダなど主要州が再び都市封鎖を余儀なくされた場合、心理面も含めて米国の政治・経済に与えるダメージは相当に大きなものになると想定される。結局、今、市場を支配しているのはこの感染のイベントリスクであることから、治療薬・治療法、ワクチンの開発と普及が進まない限り、景気・企業業績に対し確信を持つことはできないだろう。

これまで、主要中央銀行による流動性の大量供給が、ファンダメンタルズの不透明ななかで株価を押し上げる主な要因だった。しかし、FRBによる流動性供給も取り敢えず一巡した模様であることから、今後はイベントの市場支配力がさらに強まることが想定される。


市川 眞一
シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。2011年6月よりテレビ東京『ワールドビジネスサテライト(WBS)』レギュラー・コメンテーター。


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