Article Title
ナスダック急落の背景と今後のポイント
田中 純平
2020/09/04

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

9月3日(木)の米国株式市場は、大型成長株の下落をきっかけとした利益確定売りが広がり、NYダウ指数は前日比2.78%安、S&P500指数は同3.51%安、ナスダック総合指数は同4.96%安となった。大型成長株が下落した要因としては、①アップル/テスラ株式分割による材料一巡、②テスラの増資や大株主の保有縮小、③投資初心者によるパニック売りなどが挙げられる。



Article Body Text

過熱感が高まっていた大型成長株

今回の米国株式市場、とりわけナスダックの急落は、複合的な要因が背景にある。まずは、ナスダック総合指数の上位を占めるテスラやアップルが株式分割を8/31に行い、材料一巡感が出ていた中で9/1にテスラが最大50億ドル相当の増資を発表した。そして、翌日9/2にはテスラの大株主である英資産運用会社ベイリー・ギフォードがテスラ株の保有を縮小したことを受けて、テスラ株が連日急落する展開となった。これに「連れ安」するかたちで、9/3は急激な株価上昇で過熱感が高まっていた大型成長株全般に利益確定売りが広がった、という流れだ。そして、その利益確定売りに拍車をかけたのが、投資初心者によるパニック売りだ。

米国ではコロナショック後、新興オンライン証券会社ロビンフッドが急激にシェアを伸ばしており、特に20代~30代の投資初心者が口座開設をしていると言われている。その投資初心者が買い上げてきた大型成長株が一転して下落しはじめたため、パニック的な売りを誘発したと考えられる。

今後のポイントは?米国大型成長株の「一極集中相場」の対処法

今後のポイントは、①実質金利、②新型コロナワクチンの承認、③巨大IT企業の規制強化だろう。大型成長株の一極集中相場をもたらしたひとつの要因は、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利の低下だ。その実質金利は、FRB(米連邦準備制度理事会)による積極的な金融緩和姿勢を反映して低下傾向にあるため、今後も「支援材料」であることに変わりはない。その一方で、②や③は大型成長株にとっては目先リスク要因となりうる。中でも②はすでにFDA(米食品医薬品局)が新型コロナワクチンの緊急承認に向けて準備を進めているため、投資家の注目がアップルやテスラのような大型成長株から(経済活動の更なる再開見通しを受けて)幅広い景気敏感株へシフトする可能性がある。

このように大型成長株にはプラス材料とマイナス材料が入り混じっていることから、今後は米国の大型成長株だけでなく、地域分散や業種分散、スタイル分散(成長株/割安株など)を徹底していくことが重要になるだろう。


田中 純平
ピクテ・ジャパン株式会社
投資戦略部長

日系運用会社に入社後、主に世界株式を対象としたファンドのアクティブ・ファンドマネージャーとして約14年間運用に従事。北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードの受賞歴を誇る。ピクテ入社後はストラテジストとして主に世界株式市場の投資戦略等を担う。ピクテのハウス・ビューを策定するピクテ・ストラテジー・ユニット(PSU)の参加メンバー。日経CNBC「朝エクスプレス」、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」に出演。週刊エコノミスト「THE MARKET」で連載中。日本経済新聞やブルームバーグではコメント多数引用。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●投資信託は値動きのある有価証券等に投資するため、基準価額は変動します。外貨建資産の場合は為替変動リスクもあります。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により損失が生じ、投資元本を割り込むことがあります。運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性、特定の目的への適合性を保証するものではありません。記載内容は作成日現在のものであり、予告なく変更される場合があります。また、過去の実績は、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
●投資信託は預金等ではないため、元本および利回りの保証はなく、預金保険機構または保険契約者保護機構の対象ではありません。また、登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料の内容は、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を目的としたものではありません。
●当資料に掲載されている内容に関する著作権その他の知的財産権は、原則として、当社、ピクテ・グループまたは正当な権利者に帰属します。無断での使用、複製、転載、改変、翻訳、配布等は禁止されています。マーケット・データのご利用に関する詳細は、当社ウェブサイト 「会社情報」の「運用・方針等」内の「マーケット・データ利用規約」をご参照ください。

手数料およびリスクについてはこちら



関連記事


イラン攻撃:時間が決める勝敗

米国によるイラン攻撃の行方

リフレ派とされる2名の日銀人事提案と金融政策

長期金利上昇のリスクシナリオ:過去事例からの検討

関税敗訴 トランプ大統領の次の一手

政府債務対GDP比率は減るのか?