Article Title
米大統領選後に株式市場が上昇したワケ
田中 純平
2020/11/06

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

現地11月3日(火)に実施された米国大統領選挙の結果は、東京時間11月6日(金)午前の段階でも判明していない状況だ。しかし、マーケットは先んじて「ねじれ議会」(大統領:バイデン氏、上院:共和党、下院:民主党が制するシナリオ)の可能性を織り込み、株式市場は大幅高の展開となった。いったい何が株式市場の「買い材料」となったのか?



Article Body Text

「ねじれ議会」観測が好感された株式市場

米大統領選の開票前だった11月3日の米国株式市場では、「ブルーウェーブ」(大統領選と上院・下院選挙で民主党が圧勝するシナリオ)を前提とした「買い」が入り、NYダウは前日比2.06%上昇していた。しかし、当日引け後に開票が進むにつれ、 「ねじれ議会」(大統領はバイデン氏、上院は共和党、下院は民主党が制するシナリオ)の観測が高まったことから、11月4日以降のNYダウは2日連続で大きく上昇した。選挙結果のシナリオが変わったにもかかわらず、なぜNYダウは大幅高となったのか?

「ブルーウェーブ」のシナリオでは、大規模な財政支出と、連邦法人税等の増税がセットで株式市場に織り込まれていた。しかし、開票速報を受けて「ねじれ議会」シナリオの可能性が高まったことから、バイデン氏の政策が連邦議会で通過しづらくなるとの見方が広がり、「大規模な財政支出の可能性低下」→「財政赤字の改善」→「米10年国債利回りの低下による株高」という連想が働いたと考えられる。さらに、株式市場にとって逆風となりかねない増税の可能性が後退したことも、プラスに作用したとみられる。

 

 

マーケットの真の期待はFRBの追加緩和策か?

大規模な財政支出の可能性が低下したということは、当面の景気対策として、よりFRB(米連邦準備制度理事会)の追加緩和策に頼らざるを得ないことを意味する。米国では新型コロナウイルスの新規感染者数が再拡大しており、このまま感染が収束しなければ、欧州のようなロックダウン(都市封鎖)の可能性も最悪のシナリオとして想定される。そうなれば、新型コロナウイルスの感染第1波の時のような、FRBによる大規模な金融緩和策を頼りにするしかない。

11月5日にはイングランド銀行(英中央銀行)が市場予想を上回る1,500億ポンドの量的緩和拡大を発表した。英国では首都ロンドンのあるイングランドが11月5日から約1ヶ月間のロックダウンに入っていた。マーケットが期待しているのは、万一に備えたFRBの追加緩和策かもしれない。


田中 純平
ピクテ・ジャパン株式会社
投資戦略部長

日系運用会社に入社後、主に世界株式を対象としたファンドのアクティブ・ファンドマネージャーとして約14年間運用に従事。北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードの受賞歴を誇る。ピクテ入社後はストラテジストとして主に世界株式市場の投資戦略等を担う。ピクテのハウス・ビューを策定するピクテ・ストラテジー・ユニット(PSU)の参加メンバー。日経CNBC「朝エクスプレス」、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」に出演。週刊エコノミスト「THE MARKET」で連載中。日本経済新聞やブルームバーグではコメント多数引用。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●投資信託は値動きのある有価証券等に投資するため、基準価額は変動します。外貨建資産の場合は為替変動リスクもあります。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により損失が生じ、投資元本を割り込むことがあります。運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性、特定の目的への適合性を保証するものではありません。記載内容は作成日現在のものであり、予告なく変更される場合があります。また、過去の実績は、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
●投資信託は預金等ではないため、元本および利回りの保証はなく、預金保険機構または保険契約者保護機構の対象ではありません。また、登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料の内容は、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を目的としたものではありません。
●当資料に掲載されている内容に関する著作権その他の知的財産権は、原則として、当社、ピクテ・グループまたは正当な権利者に帰属します。無断での使用、複製、転載、改変、翻訳、配布等は禁止されています。マーケット・データのご利用に関する詳細は、当社ウェブサイト 「会社情報」の「運用・方針等」内の「マーケット・データ利用規約」をご参照ください。

手数料およびリスクについてはこちら



関連記事


イラン攻撃:時間が決める勝敗

米国によるイラン攻撃の行方

リフレ派とされる2名の日銀人事提案と金融政策

長期金利上昇のリスクシナリオ:過去事例からの検討

関税敗訴 トランプ大統領の次の一手

政府債務対GDP比率は減るのか?