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より機能性が求められる定番食品
2025/08/28

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概要

基本的で信頼性が高く一見地味な食品が、いまや食品業界の新たな注目株になっています



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卵、ヨーグルト、牛乳。これらは基本的で信頼性が高く、一見退屈にも思える食品ですが、日々の食生活の基礎を成しています。

しかし今日では、こうしたありふれた食品の一部が「機能性食品」へと変貌を遂げたことで、食品業界の新たな注目の的となっています。機能性食品とは、タンパク質や脂肪酸、プロバイオティクスなどの栄養素が強化され、さらなる健康効果をもたらし、より多くの消費者を惹きつける食品のことです。

定番食品の生産者は小規模で専門特化型であることが多いですが、社会的なトレンドに支えられた安定したキャッシュフローと堅実なビジネスモデルによって投資家の関心を集め、より規模の大きな競合他社を上回る成長を遂げています。

これは数年前のパンデミック(新型コロナの世界的大流行)後のトレンドとは対照的です。当時は、代替肉、培養タンパク質、垂直農法といった革新的技術を開発する企業が、将来の成長への期待から高い評価を得ていました。

しかしSF的なビジョンは現実のものとはなりませんでした。そうした企業の多くは、ビジネスモデルが確立されておらず、初期費用や運営コストも高額でした。味や健康効果、価格が消費者の期待に応えるものではありませんでした。しかも、パンデミック後の混乱期でインフレと金利がピークに達しようとしていた、まさに不運なタイミングで市場に参入したのです。その結果、多くの企業が事業をたたむか、当初のミッションから大幅な方向転換を余儀なくされました。

消費者が基本に立ち返る中、他のさまざまな要因も重なり、一部の定番食品が非常に人気の高い商品となっています。

卵を例に挙げましょう。今年初め、ニューヨーク、デンバー、シカゴの食料品店では、地元のスーパーマーケットの卵の棚が空になり、一部の食堂では卵に50%の追加料金が課されていました。鳥インフルエンザの発生により、工業的な屋内の卵生産施設を中心に大きな影響を受け、卵の価格は過去10年で最高になりました。



売り場に残っていたのは、鶏を放し飼いにして生産されるプレミアム卵だけでした。これらの卵は、屋外飼育など鶏に配慮した飼育環境により、病気の蔓延を抑えることができた生産者によるものです。こうした卵のパッケージの中には、消費者が卵を産んだ鶏まで遡って追跡できるQRコードが付いているものもあり、サプライチェーンの透明性が高められています。

生産履歴の追跡性が高いだけでなく、放牧卵は工業的なケージ飼い卵よりも栄養価に優れているのが特徴です。鶏が自然の牧草を食べられる環境にあるため、オメガ3脂肪酸やビタミンD・B群、抗酸化物質がより多く含まれています。また、鶏が屋内でケージ飼いされることが多い工業型農場では急速に広がりやすい、感染症のリスクも低くなっています。

卵のような基本的な食品に対する消費者の需要は非弾力的と考えられています。つまり、価格が上昇しても消費者の需要はあまり減らないということです。そして、消費者はより健康的な選択肢に対して、より高い価格を支払う意欲があります。ある調査によると、消費者26人中23人が、より健康的な代替品に対して3割以上高い価格を支払う意思を示しました1

機能性ヨーグルト

ヨーグルトも再び注目を集めています。健康的な食事やアクティブなライフスタイルを好む消費者が、腸内環境の改善などの効果が期待できる、ミネラルやタンパク質が強化された機能性ヨーグルトや飲料の需要を押し上げています。

機能性食品・飲料市場は急速に成長しており、現在の2,810億米ドルから2028年には5,000億米ドルを超える規模に達すると予測されています2

この分野では、小規模で専門特化型の企業が大手食品会社と互角に競争し、2桁成長を遂げています。

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)などの減量薬の利用拡大が重要な役割を果たしているようです。今年初めに発表された調査によると、食欲抑制薬を使用し始めた消費者は、ヨーグルトをはじめとする栄養価の高い食品3を選ぶなど、食料品の購買行動を変化させていることが明らかになりました。

GLP-1の使用者が少なくとも1人以上いる世帯では、GLP-1の使用開始から6ヵ月以内に食料品への支出が約6%減少しており、ポテトチップスや菓子パンなど高カロリーの加工食品への支出が最も大きく減少しています。そのため、栄養価の高い定番食品を購入する余裕があるのです。

ジャンクフードに対する規制強化も、健康的な定番食品への需要を後押しし、専門的な植物由来食品やオーガニック食品の小売業者を支えています。例えば英国では、政府は2025年10月から、脂肪、塩分、糖分を多く含む食品や飲料の販売促進活動に対し「1つ買うと1つ無料」などのキャンペーンや、午後9時前のテレビ広告を制限する法令を導入する予定です。

卵やヨーグルトはごくありふれた商品かもしれませんが、これらが食品業界の状況を大きく変えつつあります。


■投資のためのインサイト

ピクテ・アセット・マネジメント、テーマ株式運用 シニア・インベストメント・マネージャー
マイサ・アルミダニ(Mayssa Al-Midani)


プレミアム卵や栄養強化ヨーグルト、ビタミン強化牛乳など、新たな工夫を加えた定番食品を提供する革新的な食品企業は、健康志向の高まりや超加工食品離れといった幅広い社会的トレンドを活かした強力なビジネスモデルに支えられ、力強い成長が期待されています。これらの企業は多くの場合、中小規模で特定分野に強みを持ち、高品質を追求して米国に本社を置いているという特徴があります。


機能性食品・飲料は急成長している産業であり、2028年までにその市場規模は現在のほぼ2倍である5,000億米ドルを超えると予想されています。米国を拠点とするバイタル・ファームズ(Vital Farms)のような専門特化型の革新的企業の株価は、過去1年間で2倍以上に上昇しており、一般的な消費財企業の株価が一桁台の伸びにとどまっているのとは対照的です。


肥満治療薬の普及が進むことで、消費者の行動変化が加速し、健康志向の高まりが一層強まると考えられます。これにより、機能性食品の生産者は恩恵を受けることになるでしょう。





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