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弱みが見え隠れするイールドカーブコントロール
梅澤 利文
2019/06/24

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概要

日銀は6月19~20日に開催された金融政策決定会合において、大方(ほぼ全員)の予想通り、現状維持を決定しました。その点では、注目度合いが低い会合であったのかも知れませんが、マイナス0.2%をうかがう長期金利の低下をどこまで容認するかについて、黒田総裁は、ある程度弾力的に対応していくことが適当との考えを示しました。



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日銀金融政策決定会合:市場予想通り現状維持だが、金利変動幅に柔軟性を示唆

日本銀行は2019年6月20日、金融政策決定会合を開催し、市場予想通り短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)の現状維持を賛成多数で決定したと発表しました。

長短金利操作の現状維持は9人の政策委員のうち7人の賛成多数で決定しました。上場投資信託(ETF)などの資産買い入れ方針も継続するとしています。長期金利の変動幅(プラスマイナス0.1%の倍)について、日銀の黒田総裁は記者会見である程度弾力的に考えるのが適当、過度に厳格にとらえる必要はないと述べています。

 

 

どこに注目すべきか:イールドカーブコントロール、マイナス金利

日銀は6月19~20日に開催された金融政策決定会合において、大方(ほぼ全員)の予想通り、現状維持を決定しました。その点では、注目度合いが低い会合であったのかも知れませんが、マイナス0.2%をうかがう長期金利の低下をどこまで容認するかについて、黒田総裁は、ある程度弾力的に対応していくことが適当との考えを示しました。

いまさらの感じはありますが、長短金利操作(イールドカーブコントロール)を振り返ると、16年9月金融政策決定会合において、従来の「量的・質的金融緩和」、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を強化する政策として導入され、短期金利はマイナス0.1%、長期金利はゼロ%程度に誘導するとしています。長期金利の変動幅は、18年7月末からプラスマイナス0.1%の倍と、やや回りくどい言い方になっていますが、要は許容範囲をプラスマイナス0.2%としています。

次に、イールドカーブコントロールが導入されてからの日本の10年国債利回りの推移を見ると、19年年初の頃まで、おおむね0~0.1%を目処とした範囲での推移でした(図表1参照)。同じ時期の米国10年国債の利回りは1%半ば程度から3%の間の推移で、全般に上昇傾向でした。

イールドカーブコントロールは金融政策ですが、米国との金利差を維持(拡大)したことで、(結果として)過度な円高抑制に寄与していたと見られます。なお、結果としてということであれば、国債利回りの低下が日本の財政負担軽減に側面から支援した格好と見られます。

日銀が長期金利の上昇に対してある程度金融調整で対応可能なことと、米国金利が上昇傾向であったことから、イールドカーブコントロールは機能していたと見られます。

問題は米国の金利は低下傾向で、世界を見渡すと債券利回りが、マイナス幅を拡大させて低下する中(図表2参照)、日銀がどこまで長期金利のマイナス幅を許容し、どのようにコントロールするのか不透明なことです。

仮に米国国債利回りが低下する局面で、マイナス幅を厳格に運用すれば、金利差縮小により円高進行が懸念されるなど、米国金利低下局面では扱いにくい可能性があります。

その意味で黒田総裁が会見でイールドカーブコントロールの弾力的な運営に言及したのはもっともなことと思われます。ただ、今後の市場の展開によっては、変動幅の拡大、さらには撤廃などが検討される可能性も考えられます。


梅澤 利文
ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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